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作者: ルーク 2011年01月14日(金) 17時57分45秒公開 ID:gDpB60zr1as |
「そんなわけで、今日からわが7年生のクラスメイトになるエイク・モーガンとレイル・ギャントだ。ほら、挨拶しなさい」 ノルモント先生に連れられて来たのは教室だ。なんか、ちょっと埃っぽくて、叔父さまや父さまの家みたいに広くはないけど、なんだかちょっと落ち着く。様な気がする。 「エイク・モーガンです。色々不慣れなことも多いので、みなさんが助けてくれると嬉しいです。早くこのクラスになれたいと思います。よろしくお願いします」 一瞬頭が真っ白になって、ちょっと変な文になっちゃったかな。失敗…。 と、私の横でレイルが挨拶を始めた。 「レイルです。ええっと、……よろしくお願いします」 しまった、忘れてたわ。レイルはちょっとあがり症なんだった。私よりも失敗した、って顔してる。 「はいじゃぁ、みんな仲良くやれよ。エイク、レイル、今日はとりあえずあいている席に座りなさい。次の授業からは席を自由に変えてもかまいません」 「はい」 緊張して口が思うように動かないレイルの代わりに私はうなずいた。見渡すと、ちょうど日の当たりそうな二人用の机がぽっかりと開いていた。先生はそこを指差していたのだった。 「行こ、レイル」 レイルにしか聞こえないような小声で言うと、レイルも小さくうなずいた。まだ顔が少し赤い。 移動する間も、なんだか周りがざわざわしていた。さすがに何を言っているのかまではわからなかったけど。 陽だまりの席に二人で座ると、ノルモント先生がざわついた教室を沈めるように咳払いをした。 「はいじゃぁ、幾何の授業を始めるぞ。早く教科書と石盤チョーク出せ」 うゎ、私、あんまり幾何って好きじゃないんだよね。レイルは好きみたいなんだけど。考えてると頭がこんがらがってくる。 ちょっと先行きが不安になってきちゃった。 と、思ったんだけど、結論から言うと、いらぬ不安だった。 ノルモント先生の授業はモーガン家の家庭教師の先生よりもずっとわかりやすくて、私でも理解しやすかった。 やがて、授業が終わり、先生が教卓に腰をおろすと、ミッツが一番に駆け寄ってきた。 「どうだった?初めての授業は」 「うん、わかりやすかったよ。私、実は幾何って苦手だったんだけど、今日のところは理解できたわ」 笑顔で報告すると、そう、よかったとミッツも笑顔になった。 「あの〜」 その時、後ろから恐る恐るといった感じで声を掛けられて、私もレイルもびくっとなった。ミッツは一瞬目を見開かせると後ろを向いてため息をついた。 「どーしたの、あんたから来るなんて珍しいじゃない、レイト」 後ろに立っていたのは、丸い眼鏡をかけた少年だった。おとなしそうな顔をしている。だけど、丸眼鏡の奥の若草色の瞳は優しそうだった。 「君たちのことだったんだね」 「は?」 「へ?」 「何の話してんのよ」 突拍子もない話題にちょっと驚く。レイトと呼ばれた少年は続けた。 「あー、やっぱ気付かなかったかぁ。僕、校門に君たちが入った時から気付いてて、知らない顔だし、どこの学年の転校生かなーって思ってたんだよ」 「げ、あんたいたの!?」 もろびっくりしたのはミッツ。口をへの字に曲げている。 「うん、実はね」 もぉ、あんたは影薄すぎなのよ、とミッツがため息をついた。 「この子はレイト・フレーベル。まぁ影は薄いけど、頭いいし、いいやつだよ」 「よろしく」 彼女の紹介に、レイトはちょっと頼りなさげににこ、と笑った。 [続く] |
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