江戸組っ!第一章 総集編(?) #1 |
作者: ちびハチ公 2011年01月19日(水) 19時24分18秒公開 ID:MRiX6gH5OZ6 |
「あれ、シンジ?」 あの三人組の内の女だった。 そして、背後からも声がした。 「シンジ!久しぶりだな!」 黒髪の人間と、いかにもぬるそうな茶髪の男。黒髪のやつは、初対面では男と見間違えた。名前は、忘れたな。 「あれ?俺達の名前覚えてないんだ」けろりとしたような声で黒髪の女が言った。 それを聞いた瞬間、茶髪の男が怒声を上げた。 「何だって?!お前、ふざけるな!命の恩人の名前ぐらい覚えとけ!」 しかし、黒髪の女はそれを鎮めようとこう言った。 「おいおい。そんなカリカリするな、龍馬。お前そんなキレキャラだったっけ」 「良は名前間違えられて嫌じゃないの?!」茶髪の男はそう言った。 しかし、黒髪の女の返事は・・・腹への蹴りだった。茶髪はそれでしばらく気絶かと思いきやすぐに立ち上がった。 「良。今の、本気で痛い」 「仕方ないだろ、お前がうるさかったから」女は呆れた表情だ。 と、その時だった。 『さあ、遊びのハジマリだ。』 不気味な声がどこからか聞こえた。しかも、聞いた事もない。 「龍馬、今の聞こえたか?」黒髪の女が茶髪に向かって言った。 「何が?」 「声がしたんだ。しかも、すごく不気味な声で!」 黒髪の女は慌てているようだった。しかし、茶髪の男は不思議そうな顔をしていた。 「良、神経張りすぎ。いくら今回は任務が重大だからって・・・。本番上手くいかないよ?」 「任務?」 あの三人組が声をそろえていった。俺には、『任務』が何か分かっていたが。 「僕らは、別の世界からここに来たんだ。そして僕らの任務は、見えない殺人犯を捕まえること。その殺人犯は、『誘い神(さそいがみ)』と呼ばれてるんだ。何せ、人を死に『誘う』からね。まあ、それで前にもここに来て誘い神に襲われたシンジを助けたって訳なんだけど。」茶髪は、冷静さを失っている女の代わりのように言った。 「龍馬!お前何してるんだよ!それより、さっきの声!俺以外誰にも聞こえなかったのか?!」黒髪の女が叫んだ。 「さあ・・・。」「俺は聞いてないぜ。」「私も。」 三人組は口々に言った。 「・・・俺には聞こえた。」 茶髪と黒髪の女は黙り込んだ。驚いているみたいだ。 「まあ、とりあえずこんなトコで突っ立ってないで進もう。」 茶髪がそう言った。その一声で、俺たちは前に進んだ。 黒髪の女はずっと頭をかきむしりながら、「おかしいな・・・。何で龍馬には聞こえないんだろう」と首をかしげていたが。 しばらくして、俺は背後に妙な雰囲気を感じた。今までに感じたことのない雰囲気だ。しかし、そのまま進んだ。と、その時だった。 目の前が暗闇につつまれた。 ==================================== しばらく歩いて、俺は周りを見回した。 「何か・・・おかしいな」 と、その時。 後ろから足音がした。俺達の方に来ている。足音の主は三人の男。 「シンジ、隠れるぞ」俺はシンジの腕をつかみ、小声で言った。 俺はシンジを引っ張って走る。その間、紙を三枚バッグから取り、地面に落とした。路地裏に隠れ、足音の主が過ぎるのを待つ事にした。 俺は紙に意識を集中する。これで紙は俺の分身だ。紙が三人の男の背中にくっつくイメージをつくる。こうすると、紙はイメージ通りに動く。 紙を通じて三人の男の心を覗く。こいつらは奉行所の人間だ。誰かを探してる。 俺は紙にもっと意識を集中する。すると、一人の心の声とイメージが伝わってきた。 『全く・・・どこにいるんだ!あの謀反者の宮元良と宮元信二は!宮元信二は髪色が違うから見つけやすいというのに!』 その声は殺意がこもっていた。 俺達、捕まったら殺されるな。多分。十三で死ぬなんてまっぴらだけど。 その声とともに伝わってきたのは二枚の顔写真。明らかに俺とシンジだ。 急いで紙に俺の手元に戻るイメージをつくる。三枚の紙は奉行所の背中から離れ、地面を這うように俺の手元に戻ってきた。 「・・・シンジ。俺達、まずいぞ」 「何がまずいんだ」 「・・・俺達、追われてる。捕まえられたら即殺されるな」 俺達は運良く宿場に泊まれた。正体もばれなかった。ちょっと意識いじったけど。でもばれなかったのは80%奇跡。 ついでを言うと、俺の肩にはムックルが乗っている。偵察中に見つけた奴だ。 「・・・・面倒だな」 「ああ。よりによって誘い神が絡んでくるとは思わなかった」 そして、二人同時にため息。 「見つかったら殺されるなんて・・・・恐ろしいとしか言いようがないな」 「あ、お前でも怖いと思うことあるんだ」 「殺されるかもしれないのに恐ろしいと思わない奴、いないだろ」 「あ、そっか」俺はけろりとした感じで言った。でも心の中は・・・・色ない。恐怖で。 深夜になって、やっとシンジもムーも寝た。俺は一人、機械いじりをしていた。 |
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