ring-a-ring 17
作者: ルーク   2011年01月22日(土) 12時59分36秒公開   ID:gDpB60zr1as
「ねぇ、エイク、レイル」
放課後、帰ろうかと思った俺たちに、ミッツが駆け寄ってきた。
「なに?どうしたの」

「ね、私さ、リッツが帰ってくるまで暇なんだ。家によっていかない?」
「いいの!?」
エイクがきらっと瞳を輝かせた。ん、ありゃぁそうとう行きたがってるな。
そして、ちらりと俺の方を見た。

―行っちゃダメかな?

「んー、俺はいいけど」
暇だしな、と付け足す。
「そうこなくっちゃ。決まりね。レイト、あんたも来る?」
「あぁ、そうする」
後ろに来ていたレイトも呼び込んだミッツは嬉しそうにうなずいた。

「あっ、ちょっと待ってて!」
いきなり声を上げたエイクは、突然玄関の扉に向かって走り出していった。
「どうしたのー!」
あわててミッツが後ろ姿に叫ぶが、聞こえているはずもない。
「大丈夫だってミッツ。家に連絡でもしに行ったんじゃね?」

一度決めたら突っ走っていく、それが俺のお嬢様だもんな。俺が多分一番よくわかってる。
ふぅん、そうなんだぁと呟きながら、ミッツが横眼でこっちを見ているのがわかった。
「何だよ」
「レイルってさ、エイクの婚約者か何かなの?」
「こ…ッ!?」
「確かに、仲いいね」
ミッツの突発的な発言とそれに便乗してきたレイトに俺は声も出なかった。

あほか、そんなわけがあったら……どんだけ嬉しいことかッ!
だけど俺はあくまで付き人なわけで、エイクとは身分が違いすぎることくらいわかってる。むしろ、こうやって普通の友達のように接することができている時点で異常なんだ。

「んなわけねぇだろ!エイクは友達だよ!」
「うん、そうだよ〜。それがどうしたの?」
あわてて反論した俺の横から、エイクの声がした。

「なんて、まさかね。何本気にしちゃってんのよ、ばぁか」
ミッツはコロコロと笑った。冗談だったのかよ!!
「ミッツ、今家に連絡してきたよ。今日はちょっと遅くなるかも、って言っておいたから大丈夫!行こっ」
きっと馬車の御者にも言ってきてくれたのだろう。

前をしゃべりながら歩きだしていったエイクとミッツの後を、俺とレイトが並んで歩きだした。
「レイトは家に連絡しなくて平気なのか?」
「うん。実は僕の家、ミッツの隣なんだ。だからちょっとだけ家に帰ってからミッツの家にすぐ行くよ」
そういう君は大丈夫なのかい、とレイトが訪ねてきて、ちょっとどうしようか迷った。本当のところは、エイクが一緒に言ってくれたんだろうけど、さっきああいってしまったし、そんなことは口が裂けても言えない。
「ん、平気」
「そっか、よかった」

婚約者、か。
言葉が途切れたから俺はちょっとそのことについて考えることにした。
エイクにもやっぱりいるんだろうか。俺はやっぱりいつか彼女からの任を解かれなければならないのだろうか。ずっと一緒にいられるならいいのに。
今のところ、婚約者だなんていう話は彼女の口から聞いたこともなかったから大して興味を持たなかったが、ミッツがあんなこと言うから、急に気になってきた。

……そんなことが、あるわけねぇだろ。

もう一度、心の中で呟いてみた。今度は、自分に向かって。

                 [続く]
■作者からのメッセージ
こんにちは、ルークです。
今日は久しぶりにレイル視点の小説にしてみました。

実は、超私事ながら、今日私はめでたく15歳になりました^^*V
早生まれだからみんなよりもはるかに誕生日が遅くて、ちょっといやなんですけど、やっぱり誕生日になると嬉しいものです。ようやく四捨五入して20歳になるように…(ん、これはこれですごく違和感があるのですが、10歳よりずっとマシ!)

何か、このあとがきのところで私事しか書いてないね、私。つまらなかったらごめんなさい。
早速質問くれた方々、本当にありがとう!嬉しいです><
では。

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