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作者: ルーク 2010年08月01日(日) 13時22分43秒公開 ID:gDpB60zr1as |
「たな…ばた?」 何だろう、頭の中の辞書を駆使しても、うまくつながらないのだ。 たなばた。 だが、エイクは嬉しそうに大きくうなずいた。 「そう!七夕っ!ニッポンっていう国の言い伝えなんだって。ちょうど今日、7月7日なんだよ!」 エイクの表情はよく見えないけど、声色でうれしそうだということが十二分に理解できた。 なぜなら、ただ今の時刻、午後4時。 後1時間もすれば、エイクの誕生日パーティーが始まる。 そのドレスの着付けだった。 もちろん、なぜだかは分からないけど、着付け役は……俺だった。 「はいっ、着付け終了。じゃあ、こっち座って?」 そう言って鏡の前の椅子を指差す。 エイクはおとなしく椅子に座ってこっちを見上げた。 「なにするの?」 その質問にはすぐには答えず、俺はエイクの長い金髪を持ち上げた。ふわふわしていて気持ちがいい。 「髪……あげたほうがいいかな」 「……私、まだ15だよ」 この国では、髪の毛を結いあげていいのは18からと決まっている。結いあげるのはダメ、と言っているのだ。 「ん、そうだった。じゃあ……」 エイクのサイドの髪を後ろに持ってきて、赤いリボンで結ぶ。 「これは、どう?」 エイクは嬉しそうにうなずいた。 「ありがと。 じゃあ、レイルも赤いリボンね?」 そう言って俺の後ろでまとめてある髪の毛のゴムをほどく。 「わ、何すんだよ」 「動かない!今度はレイルがこっちに座るの」 もともと童顔のせいか、俺は髪をおろすと少しだけ女の子に見える。 「ちょっと待ってね〜」 コームを持ってきて、手早く俺の髪を軽くまとめる。 「やっぱり、黒に赤は映えるんだね!すごいきれい…!」 そう言ってエイクが笑う。 鏡の前に映っていたのは、漆黒の髪にアクセントのように赤く細いリボンが結ばれていて、正装しているせいか少しだけ大人っぽい俺だった。 「じゃ、行こ!」 [続く] |
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