ring-a-ring 21
作者: ルーク   2011年01月27日(木) 17時04分34秒公開   ID:gDpB60zr1as
〜〜atモーガン分家のアルフレッド屋敷、エイクの叔父アルフレッドの部屋〜〜

「そうか、そんな気はしていたが、やはりそうだったか…」
エイクの父、ダグラスが重々しげにうなった。
「私自身の気持ちを答えると、エイクにはちゃんと好きな人と結ばれてほしいものなんだが、立場的に答えると、やはり身分の差というのが…私と彼ら自身が良くても、周りが良く思わないだろうな」
その言葉に、彼の弟、アルフレッドもうなずいた。
「そうだな。私も彼は嫌いじゃないし、感じのいい青年だと思うのだが…どうだ、兄さん。ここは、あの方に交渉してみては…?」
「そうだな。その手があったか。よし、すぐに手紙を送らせよう」

〜〜atキットリー学園〜〜

エイクの誕生日パーティーも終わり、まぁ色々怒られてしまった俺たちだったが、どうにか2ヶ月後、俺たち4人は最上級生に進級した。
そして、ゆっくりと、歯車が動き出した。

「あ、レイル。さっき、にいさ…ノルモント先生が探してたよ?」
トイレから戻ると、ミッツが机の上に座って足をぶらぶらさせていた。
「え?今どこにいるかわかる?」
職員室ー、と彼女が気のない返事をした。

俺は廊下は走るなと怒られないように早足で職員室の扉を開けた。
「あ、レイル。ちょうどよかった。探してたぞ」
開けた瞬間、ミッツの兄、ノルモント先生が顔を出した。
「はい、ミッツに聞きました。…どうかなさいましたか?」
ああ、とノルモント先生がうなずく。

「キットリー学長がな、今日の放課後に学長室に来いと」

……学長室?

俺、そんなまずいことしたかな。俺たちの身の上のことについては旦那さまから内密にという話が上がっていて、それを学長は承諾したらしいし。
考えれば考えるほど、わからなくなっていく。

「おい、どうした?」

ノルモント先生の声ではっとする。
「あ、はい。わかりました。放課後に、学長室ですね」
「ああ。用はそれだけだ」

そのあとの授業は、どうにも集中できなかった。


〜〜放課後、at学長室〜〜

「失礼します」
深呼吸をひとつして、落ち着いてから俺は学長室の扉を開けた。
「ああ、よく来たね。ギャント君」

「あの、ところで…?」
「モーガン君の父上と叔父上は、私の友人でね、そのよしみで頼まれたことがあるんだ。君にも意見を求めたくてね。こういう形になってしまったことは申し訳ない」
「いえ。ところで、そのお話とは…?」

モーガン氏と旦那様が、わざわざ学長を介してまで言いにくかったこととは、何なんだ。
学長は、俺を見据えた。


「君を、私の家の養子にしてほしい、と」


「……へ?養子、ですか…?」

「ああ、養子だ」
「で、ですが、キットリー家には後継ぎとなるご子息がいらっしゃるはず…」
キットリー家は、侯爵だ。身分の上ではモーガン家よりも下だが、キットリー家は事業を次々に成功させて、最近は公爵に昇格するのでは、という話もある。

その立派な家に、なぜ俺が、養子として?

「考えておいてはくれないかね」

「え、でも、俺がキットリー家に養子として入ると、エイクのそばには誰がつくんですか。俺は、」
と、そこまで言っておいて、次の言葉が出てこなかった。

所詮は付き人。所詮は使用人。俺とエイクは、それだけの関係だったのだ。
主に捨てられたら、それまでの、もろい関係でしかなかったのだ。

それを瞬時に悟ってしまった俺には、続く言葉が見つからなかった。

「……失礼します」
すっかり意気消沈してしまった俺の耳には、学長のこの言葉がすっかり聞こえなかった。

「…君は、よっぽどモーガン君のことを気に入っているみたいだね。彼らの言った通りだ」

                [続く]
■作者からのメッセージ
こんにちは、ルークです!
インフル完治しましたぁ!!やったぁ〜

ああ、だんだん設定どおりになってきたぞぅ(にやにや)
後何話くらいかな。4、5話で済むといいんだけど…?
早く書きたい…!これからもがんばります、よろしくお願いします!!
では。

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