江戸組っ! 総集編(?) #2 |
作者: ちびハチ公 2011年01月27日(木) 19時56分15秒公開 ID:MRiX6gH5OZ6 |
しばらくはばれなかったが、俺の力でもここまでだった。ついに正体がばれた。 何とかシンジだけは正体がばれず捕まらないで済んだが、俺は見事に捕まった。ライチュウとアリアドスにやられ、意識を失ったのだ。 俺が目を覚ますと、そこは城の中みたいだった。 「やっと目を覚ましたな」 目の前にはまげを結った男がいた。多分、藩主だ。 「早速だが、おぬしの力をこの城のために使ってみたいとは思わぬか」 こいつの裏に誘い神がいるのは把握済み。 お前のために力を使うなんてまっぴらだね、誘い神! はっきりそう言うのも良いだろう。が、こいつの中には誘い神以外に城主本人がいる。ここは敬語で・・・。 「お断りさせて頂きます」 そして、俺はこう続けた。 「私はこの力を使うべき所がここだとは思いませぬ。何卒「この女、化け物共と共に閉じ込めておけ!」 俺は近くにいた武士達に牢屋らしき場所まで連れて行かれた。 そう言えば化け物って、まさか・・・・。ポケモン達の事か? 俺は牢屋にぶち込まれた。 アリアドスの糸が巻かれていて両腕は使えない。が、足は自由なので牢屋に突進をかけてみる。江戸時代の牢屋は木造のはずだから俺の力でなら木の一本ぐらい折れるだろう、と思った。だが、びくともせずに俺ははね返された。しかも、金属のような冷たい感触だ。 俺は、俺の周りに何かがいて、それが暗い気を放っているのに気づいた。俺の周りにいたのはすっかり怯えきっているポケモン達だった。あのライチュウとアリアドスが洗脳されていた事を考えると、こいつらは上手く洗脳出来かったからここにぶち込まれたのだろう。人間に対しての恐怖と怒りが同時に感じられる。 と、その時だった。ヒノアラシがそばに寄ってきて背中の炎でアリアドスの糸を取り除いてくれた。 「ヒノアラシ、ありがとう。お前は優しいんだな」 俺はヒノアラシの頭を優しくなでた。ヒノアラシは頭をなでた俺の手に擦り寄って来た。 ヒノアラシはいつの間にか寝ていた。 すると、ヒノアラシが寝た事で安心したのか、俺の周りにはいつの間にかヒノアラシを含む5匹がいた。 俺は奴らの事が許せなくなった。元々許してないけど。こんな恐怖に陥れて・・・・。龍馬がいたらすぐにでも連絡するのに。あいにく連絡手段は全てバッグの中。つまり、宿屋の中。つまり、シンジが持ってる。 俺はシンジが無線機に気づき、龍馬に連絡してくれる事を祈った。 ===================================== 俺はあの女のいない部屋で一人と一匹でいた。一匹とはあいつが連れてきたムックルだ。 ボーっとしていた俺は無意識に女のバッグをあさった。そこには無線機があった。俺はそれを手に取り、電源を入れた。すると突然、声が入った。 (良様、どうしてるんだろうな) 俺は立ち上がり、辺りを見回した。誰かに見られている以外、考えられなかったからだ。 (ここだよ、ここ。お前の目の前だよ、バーカ) 目の前にいる奴と言えば、あいつが連れてきたムックルだ。あいつが話せる訳が無い。まさか・・・。 (そう。そのまさかさ。その無線機を通してお前はこのムー様と話してるのさ。まあ、そんな事より、無線だ。電源、入れてみろよ) 「は?今入れてんだろうが」 (その電源じゃないぜ。さっきのスイッチの隣だよ。それと同じ物を良様の相棒は持ってるんだぜ。お前は良様を助けたくないのかよ。もしも良様を助けなかったら歴史は180度変わる。お前も死ぬかもしれない。それでもいいのか?) こいつは何を言ってるんだ。たかが女一人・・・。 (良様がここで死ぬか城主の家臣になれば、現代には戻れない。いなかった事になる。そうなると良様に命を助けてもらったお前と良様の相棒は死ぬ。どうだ、歴史が変わるだろ?) 「確かにそうだな。だが、何でお前がその事を知っている」 (良様から聞いたんだ。昨日の夜) 仕方なく、無線の電源を入れた。一発目に誰かの声が入った。 『良?!良だよね!』誰かと思えば、あの茶髪だ。 「違う。俺だ」 『・・・良は?』 「捕まった」 茶髪は無言になった。と、突然あの青い髪の女が割り込んできた。 『ちょっと!良さんが誰に捕まったのかは分かんないけど、あんただけ無事ってどう言う事?!まさか、良さんを見捨てて自分の身のことだけ考えて逃げたの?!』 『・・・ヒカリちゃん。シンジは何もやってないんだよ。』 茶髪が言った。 「アイツが自分の力を過信してただけだろ」 『ま、そうかもね』茶髪は苦笑した。 『良とシンジが何処かに飛ばされたのはわかってたから明日そっちに行くよ』 そう言うと、茶髪は無線を切った。 ===================================== 翌朝、茶髪とピカチュウ連れの合計四人が来た。 「へえ、良が・・・」 俺は今までの事を全て話した。 「何でも自分でやろうとする傾向があるからね、良は。困ったお嬢様だよ」 茶髪はため息をついた。 と、突然俺の肩にとまっていたムックルが後ろに向かって鳴き声を上げた。 「宮元良の事をそこまで知っているとは。おぬし達、宮元良の仲間だな」 「動くな!」 茶髪は武士の目の前で銃を構えた。武士は反応なしのようだったが。 「おぬし達に殿からお呼びがかかっとる。わしと来い」 意外だ。何故俺達が若草城の殿とやらに呼ばれなきゃいけないんだ? 「分かりました」茶髪は即答だった。驚いた顔もしていなかった。 「おい、罠かもしれないぞ」俺は小声で言った。 「大丈夫。城に潜入して良を助け出せるチャンスかもしれない」 俺達はそうして若草城に行く事となった。 ついに城だ。と、突然茶髪が小声で話しかけてきた。 「みんな、気をつけて。向こうには江戸時代の人達がたくさんいるから」 「服で怪しまれるんじゃないか?」ピカチュウ連れの奴が言った。 「大丈夫。異国人って事にしておけば何とかなる」 「殿。例の5人、連れてきました」 「通せ」 襖が開いた。その先にいたのは、女と似たような服を着た男だった。 「遠い世界からよく来たな」 「殿は何故それを?」茶髪は顔が引きつっていた。 「化け物達が情報収集を徹底していたからな」 突然、遠くの方から騒ぎ声がした。明らかにポケモンたちの声だ。 「入れろ」 騒ぎ声がだんだん近づいてきて・・・やってきた。ヒノアラシ、ベイリーフ、ワニノコ、リオル、レントラー。そして最後に出てきたのはポケモンじゃなかった。それは・・・。 「りょ、良?!」 とらわれていたあの自信過剰女、良だった。 ===================================== 「良!大丈夫?!」僕達は一斉に立ち上がった。 「テメエら、何で龍馬達を連れてきた」良は城主達を強く睨んだ。 「理由はただ一つ。見せしめだ」 「宮元旅人(りょうと)、ただいま参りました」 「入れ」 新たに入ってきたのは、狼の耳が生えた良と瓜二つの人物。不気味な笑みを浮かべている。 「よう、宮元良。かなり久しぶりだな」 「お前は・・・・!」 「日本人もいるのか。じゃあ、ここでばらすべきだな」 僕は嫌な予感がした。 「こいつは親兄弟を全て殺したんだ」 良は立ち上がり、反駁した。 「嘘言ってんじゃねえ!俺は何も「でも向こうに残っているDNAや指紋はお前のだぜ。どうやって無実を証明するって言うんだ」 良はそれを聞いて口をつぐんだ。 「さあ、消えてもらうぜ!」 狼耳の良は二本の刀を出した。その二本の刀の先からは電光が出ている。 その電光は良に向けられた。 その時だった。 「ヒノーッ!」ネズミのようなポケモン、ヒノアラシが光に包まれた。 「・・・進化だ!」サトシが叫んだ。 進化が始まったポケモンの体から光が消えた時には、ネズミではなくイタチのような姿だった。 そのイタチのようなポケモン、マグマラシは電光に対して火炎放射をした。電光と火は激しくぶつかり合い、爆発した。 爆発時の煙が消えた時、良の姿は無かった。その代わり、良を縛っていた縄が良のいた場所を示していた。 ===================================== 「嘘だ・・・」僕は目の前の光景を信じることはできなかった。 「残念だが本当だな」旅人が鼻で笑った。 と、突然再び爆発が起こった。 そして、さっき以上の煙が出た。 煙が消えた時、僕達の目の前に誰かが立った。 ポケモン達も縄が解かれ、その人の横にずらりと並んでいる。 「何故だ・・・何故お前がここにいる!」旅人は慌てていた。 「残念だったな!今までのは演技でした!」 そう言って良は二本の刀を出した。 「炎刃覚醒!」 良が持つ刀が炎に包まれた。炎が良の刀を守っているのだ。 「何だ、それは!」旅人が叫んだ。 「さあ、何でしょうな!」良はニヤリとして言った。 良の刀の炎が龍となって城主達を襲った。旅人は炎の龍を刀の中に吸収しようとした。が、旅人の刀が錆びた。 良は不気味な笑みを浮かべた。 と、突然良が口笛を吹いた。戦闘開始の合図だ。 「さて、シメといきますか。雷刃覚醒!」 良は器用に片方の刀を雷、もう片方の刀を炎が使えるようにした。 「いっけー!」 良は二本の刀をロイ達に向け、発射した。 炎と雷は融合し、大きな龍の姿になり、旅人達を襲った。爆風が起こり、しばらく目の前が見えなかった。煙が消えた時、そこに旅人達はいなかった。 結界のような物が解け、跡形無く消えていた若草城は元に戻った。それを見届け終わると、良は颯爽と若草城を去った。 「ちょ、良?!」 僕らは良の後を追った。 良はシンジと身を隠していた、と言う家の前に着いた。とそこで良は立ち止まり、僕らの方を向いた。そして僕らに敬礼をし、こう言った。 「宮元良、只今戻りました」 その声と共にポケモン達が一斉に良に飛びついた。さっきまでシンジの肩に止まっていたムックルも良の方に飛んでいった。飛びついたポケモンは合計6匹。さすがの良も倒れた。 「ぐああっ!重いぃー!!龍馬へールプ!!!!!」 僕は良に助けを求められている事を忘れ、笑ってしまった。 |
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