おとーさんの厄介な遺産 9 |
作者: ルーク 2011年02月25日(金) 15時48分46秒公開 ID:ECi1K661p.Q |
「ほんとごめんね、買い物つき合わせちゃって…」 謝る私に、里香ちゃんと麻里は首を横に振った。 「いーのいーの!私も新しい水着ほしかったし」 「しょうがないじゃない、遥が謝ることじゃないって」 そう、海に行く前に、大事なことを忘れていた。 水着、燃えちゃったじゃん……。 ってわけで、今日は女3人で買い物に来ています。 「…これとかどうかな!遥に似合いそうだよ」 そういって里香ちゃんが取り出したのは、ピンク色の水着だった。 「え、ちょっと派手だよ…」 「ちょっと派手なくらいがちょうどいいのよ!これで夏目悩殺してやりなさい!」 え、そんなこと考える気はなかったんだけど…。 「こういうのは里香ちゃんのほうが似合うって!」 「遥こういうの好き?」 麻里はいかにも夏!って感じの紺と白のストライプのものを持っている。 「んー…、こういうのも好きだけど、私は……」 そういって横に目を走らせる。 お、いいの見つけた。 「こっちの方が好みかなー」 パステルカラーの小花柄を取り出す。 「へー、いんじゃない?確かに遥っぽいかも」 「遥、ふんわりしてるの似合うもんね」 3人それぞれ、自分の好きな水着を買って、ついでに洋服を見ていた時、麻里が声を上げた。 「あっ、奏多くんだ」 「「え?」」 麻里の指さす方を見ると、奏多が健人君と一緒に服を見ているところだった。 「あ…」 そういえば、今日奏多も出かけるとかっていってたっけ。 「どうする?合流する?」 「や、いいよ。男の子は男の子で。 水着の入った袋、持つよとか言われたらちょっと困るじゃない?」 ああ、確かに。 里香ちゃんはほんとにこういうのよくわかるなー…。 「ただいまー」 家に帰ると、もう奏多は帰っていたらしくて「おかえり」という声が聞こえた。 「なに、買い物?」 「うん。麻里と里香ちゃんと3人で。 そういえば、奏多も健人君と一緒にいたよね?」 ソファに座ってテレビを見ていた奏多に言うと、びっくりしたように振り返った。 「げ、気づいてたのかよ。どこで見かけた?」 奏多、なんかあせってる…? 「え、服屋さんかな。向かいの服屋さんにいたんだよ、私たち。 ……そのあとすぐべつのところ行ったけど」 最後に付け足すと、奏多はほっとしたようにまた前を向いた。 「あ、そういえば今日は母さんかなり遅くなりそうってメールあったぜ」 「ああ、それは私のところにも来てたよ。……だから買ってきた」 そういって私は食材の入ったビニールを持ち上げた。 「腕痛いよ」 「あ、そ。お疲れさん」 今日は俺が作ってやるよ、と奏多が私からビニール袋を取り上げた。 奏多の料理かぁ…。食べたことないけど、まあ期待しとこうかな。 [つづく] |
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