おとーさんの厄介な遺産 11 |
作者: ルーク 2011年03月14日(月) 13時56分53秒公開 ID:SECjYw56uE2 |
荷物をどさっと床に置いて、私は部屋のベッドに飛び乗った。 ふかふかしてて、気持ちいい。スプリングがきしんで私の体が2、3度宙に舞った。 「わぁ〜、気持ちいぃ〜!!」 「喜んでもらえてよかった」 横で小さな子供を見るような優しい目で里香ちゃんが言う。ん?これって私が子供に見られてるんだろうか? 「とりあえず荷物置いたら、着替えて海行こ!もう奏多と夏目にも言ってあるからさ」 「うん!なんか海もきれいそうだったし!楽しみ!」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「お、やっと来たか」 海で一足先に泳いでいたら、遥と里香がやってきた。 「遅かったじゃん」 「やー、ごめんごめん。意外と手間取っちゃって〜」 里香が笑いながら走ってくる。 後ろから、遥が恥ずかしそうに里香を追いかけた。 「もう、いつまで恥ずかしがってんの?」 からかう里香に、妹がだって…と唇を尖らせた。 「…恥ずかしいじゃん!」 「……取りあえず健人に見せてきたら?」 向こうでひたすら泳いでいる健人を無理やり連れてこようと歩き出すと、遥が真っ赤になって俺の腕をがしっとつかんだ。 ……うん、やめてくれる? 「い、いい!!呼ばなくていい!!」 余計なことしないで、と必死に抵抗する遥ごとずるずる引きずっていく。 「や、やあ〜〜だぁ〜〜〜!!」 必死に足を踏ん張っている遥の踵の跡が白い砂浜に引かれていく。 「健人ー」 「だめえぇぇぇぇぇ!!!」 「遥来たよ」 「言わないでえぇぇぇぇ!!!」 耳元で叫ぶもんだからうるさくてしょうがない。 健人は気付いた様子で、こちらに向かって歩いてきた。 じゃ、頑張って、と俺は遥の手を振りほどいてさっきいた場所まで戻った。 「あれ、ほっといていいの?」 「問題ないだろ。俺がいたほうが邪魔なんじゃね?」 「そうかも。……にしてもあの子たちは見てるこっちが恥ずかしくなるくらい初々しいよね」 里香がため息をつく。その仕草がなんか世話焼きおばさんみたいで面白くて笑っていると何笑ってるのと肩をたたかれた。 向こうではいまだに下を向いてもじもじしている遥に健人が何か言って、2人とも顔が赤くなっていくのがわかった。 ……うん、見てるこっちもだいぶ恥ずかしいね。 そういえば、里香と俺はそういう初々しさがないような気もする。 里香がさばさばしているせいもあるのだろう。あんまり一緒にいて緊張しない。 「…さて。スイカと棒とタオル、持ってくるんだけど、手伝ってくんない?」 不意に里香が横で尋ねてきた。 「スイカ割りでもすんの?」 もちろんじゃない、と嬉しそうに里香が言う。 「夏で浜辺ときたらスイカ割りとバーベキューと肝試しでしょ!定番よ!」 「なんかそういう発想は庶民じみてるのな。こんな別荘あるのに」 「なによ、悪い?早くいこ!!」 はいはい悪くないです、と俺は里香の後ろをついて行った。 どうでもいいけど、あの2人ほっといていいんだろうな。 [続く] |
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