魔属となったボク〜第十話〜
作者: 零堵   2011年03月22日(火) 05時56分07秒公開   ID:YynBrr2ofCI
それは夏のある日の事、僕こと、城ヶ崎恵は、いつものようにユウリさんの屋敷の掃除をしていた
「恵」
「はい?」
僕に話しかけてきたのは、この屋敷の持ち主のユウリ・アスターシャさんで
ユウリさんは、僕にこう言った
「今から出かけるから、ついてきなさい」
「出かけるって、何所に向かうんですか?」
「シオリから連絡があって、またフールが現れたらしいのよ
そのフールが現れた場所に行く事にしたの、恵も来なさい」
「え〜っと・・・それは断っちゃ駄目ですか?」
「駄目よ」
「はあ・・・分かりました」
僕は、そう言って出かける準備を済ませると、外に出る事にした
外の天気は快晴とは言わず、大雨がザーザーと降っていました
「濡れて大丈夫なのかな?僕の体・・・」
僕はマリオネット、所謂機械人形なので、濡れるとショートしたり、動きが鈍くなったりと思ったりしたけど、数分間雨に当たっていても、何所も異常が無かったので、とりあえず安心したのでした
「準備出来たわね?恵」
「あ、はい、出来ました」
「じゃあ、出発よ」
そう言って、ユウリさんはすたすたと雨の中
傘もささずに歩いて行くのでした
僕は、濡れるの気にしないのかな〜?と、思いながら、その後をついていく事にしました

〜フールがいると思われる場所〜
その場所は、月野町から随分離れた場所で、近くに川が流れていて
その川が雨の影響で、今にも溢れそうになっていたのでした
「ユウリさん、一体ここの何所にフールがいるんですか?」
「シオリから得た情報は、この川、皆野川にいる筈よ」
「この川の中ですか・・・」
僕は、皆野川を覗き込んでみる、皆野川は雨の影響によって、水かさが増し
上流から流れてきたのか、土砂が混ざっていて、よく見えなかったのでした
「土砂が多くて、よく見えないですね」
「そうね、じゃあ、恵、ちょっと潜って、フールを見つけなさい」
「え?」
そう言った瞬間、僕の体がドンっと押されて、川に落とされた
「ちょ、ちょっと何するんですか!?」
「大丈夫よ、防水加工はちゃ〜んと施してあるはずだから
それに水の中でも大丈夫なはずよ・・・・多分」
「多分ってなんですか!・・・ちゃんと大丈夫って確信がついてから、言ってくださいよ〜・・・」
そう言って、僕は皆野川の中に入ってしまったのでした
皆野川の中は、土砂の影響で全く視界が見えず
魚さえ見つける事が困難な状況でした
「水の中だというのに、全く苦しくない・・・やっぱり僕
ヒトじゃないんだ・・・」
そう言っていると、水底から黒い何かが僕に向かって
突進して来るのが見えたのでした
「う、うわ、何あれ!?」
それは1メートルはあろうかという魚の形に何故か人の足が生えた
半漁人みたいな生物でした
その半漁人は僕に向かって、牙をむき出しにして噛みつこうとしているのが見えたので、僕はとっさに素早くその半漁人の背中に回り込み、胴体をつかんで、川底から地上に放り投げたのでした
「えい!」
半漁人みたいな生物は、よく分からない奇声をあげ、地上に打ち上げられた瞬間
「上出来よ?恵」
そう言ったユウリさんが、手に持っていた鎌で、その半漁人を一刀両断にしたのでした
一刀両断された半漁人は、数十秒は動いていたけど、その場からす〜っと消えて
地面に鉱物みたいな物体を落としたのでした
「フールの討伐完了っと、お疲れ様、恵」
地上に戻った僕にユウリさんがそう話しかけ、地面に落ちている鉱物を拾い上げていました
「あの、今度から突き落とさないで下さいよ・・・それにしても、その鉱物って一体なんですか?」
「これ?これは、レアクリスタルよ?」
「レアクリスタル?」
「そ、レアクリスタル、これはフールと呼ばれる物体だけが持っている鉱石で、色々な事に使われたり出来る優れものなの、ちなみにね?色によってさまざまな効果が得られるのよ、この鉱石がブルークリスタル、治癒や怪我に効果がある鉱石ね」
「じゃあ、ユウリさんがフールを討伐しているのって」
「このレアクリスタルが目当てなのよ、もっとも私がほしいのはレインボークリスタルだけどね」
「レインボークリスタル?」
「虹色の鉱石と言ったほうがいいかしら?それを手に入れようと、フール退治してるのよ」
「そうなんですか・・・」
「さてと、仕事も終わったし、戻るわよ?恵」
「あ、はい」
こうして、僕とユウリさんは元来た道へと引き返して行くのでした
僕は、歩きながらこう思いました、もしかしたらヒトに戻れるレアクリスタルがあるかもと・・・
そう思いながら、歩いて行ったのでした・・・


■作者からのメッセージ
はい、零堵です〜
魔族となったボクを投稿します
ここにきて、目的が分かってきたってかんじがするかな?
それにしても・・・やっぱり恵は災難かと・・・w
感想くれたルーク様、ちびハチ公様、ありがとうございました

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