おとーさんの厄介な遺産 12 |
作者: ルーク 2011年03月22日(火) 17時55分04秒公開 ID:SECjYw56uE2 |
「わ、スイカだっ!!」 「こんなでっかいの久しぶりに見たかも……」 奏多が運んできたスイカはとてつもなく大きかった。 もしかして、これでスイカ割りするの? 「当たり前じゃーんっ! 夏といえばスイカ!スイカと言えばスイカ割り!そうでしょ?」 目を丸くした私と健人君に里香ちゃんが胸を張る。 「そうだね。私、スイカ割りするの久しぶり!楽しみだなぁ」 「俺も。幼稚園の時以来かも」 「ああ、そうだな。幼稚園の時に健人がスイカをけつまずいて割ったんだったな」 奏多がニヤッと笑う。とたんに健人君があわてだした。 「ちょ、何言ってんだよばか!!」 「へえ、そうなんだ」 里香ちゃんもニヤニヤ笑う。 私もこらえきれずにちょっと吹き出した。 「健人君かわいー」 「なっ……」 今度は健人君の顔が赤くなる。 ん?私変なこと言ったっけ? まあ、いっか。 「よぉしっ、順番決めよ!」 「何で決めんだよ?」 奏多の突っ込みに里香ちゃんがにやりと笑う。 「じゃじゃーんっ!!くじ引きっ!昨日の夜作ったんだよ!」 出してきたのは割り箸。 麻里の分もあったみたいで、5本ある。 「この中に1から5まで数字書いてあるから。その順番で割ろ?」 「待って、里香ちゃん。5番抜かないと」 「…あ、そっか」 5番の割り箸はビニールシートにおいて、みんなで里香ちゃんの手に握られた割り箸を一本ずつひっこ抜く。 「私はあまりものでいいから。そうじゃないと不公平でしょ?」 里香ちゃんはみんなが引くのを待っている。 私も適当にひっこ抜く。 「あ、俺3番だ」 初めに健人君が言う。続けて奏多が 「4番か…」 とつぶやく。 私は何番かな、と手元を見る。 「2番だよ」 「え、じゃあ……」 里香ちゃんが驚いたように手元を見る。 「私が1番だ……」 手拭いで里香ちゃんの目元を覆い、頭の後ろで縛る。 「このくらいでいい?きつくない?」 「うん、ちょうどいい。ありがと、遥」 スイカからだいたい10メートル。 「おし、始めるか」 奏多の言葉を合図に、私たちはそれぞれに方向を叫ぶ。 「あ、右、右だよ、そっち左!」 「そうそう、そのまままっすぐ…あ、ちがう、左!!」 「え、違うだろ、右じゃね!?」 「もぉ、何言ってるかわかんないよ!」 笑いながら里香ちゃんが言う。 そういってる里香ちゃんもこっちから背を向けていて、それがさらに面白かった。 「そうそう、そのまままっすぐ!」 「そこっ!」 「いけ!!」 バコンっ!! 「ふぅ…」 里香ちゃんが棒を置いて手拭いをずらす。 スイカははじっこのほうにひびが入っていた。 「わ、すごいじゃん!」 「やったー!はい、次遥!」 そういって里香ちゃんが私の目元に手拭いをまわす。 うーん、久しぶりだしな。 うまくできるかな。 [続く] |
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