カケラ -1-
作者: 砕華   2011年03月25日(金) 13時05分00秒公開   ID:A3HN7yGmZxA



眩しすぎる太陽の中、知らない世界にいるのは、もう慣れた事だった
ギラギラと輝くそれは、私の色素の薄い髪と瞳かみとひとみにとっては拷問で...
目覚める度に、苦痛と戦っていた

ぐるりと辺りを見回すと、四方に広がる瑞々しい草原
空は、黒くも赤くもない、ただの青空が伸び続けている

「あぁ、普通だな...」


1人ぽつんと取り残されているのは、なんだかなれない
いつもなら、馴れ馴れしいぐらいに人が寄って来たから
それに慣れてしまっていた事に、少しだけ驚いた


とりあえず、歩くか...。
立ち上がると、前の世界で受けた足の傷が酷く裂けた
治りかけていたはずの傷口は、ぱっくりと開いて地を赤に染める


「...あぁ、痛いな...。」


また、呟いた





*  *  *  *  *  *  *  *  *




「っどこまで歩けば人が居るんだよぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!?」


怒声が響く、ここは暗い森
人が歩く事等無い、生き物に忌み嫌われた屍の森
いつかはここにたどり着かなければいけないのに、皆、ここを避ける
それは、死が恐ろしいから


「ったく、足痛いんだって、マジで。そんでもってハラ減ってるし眠いんだって」

ただ愚痴をこぼしながら歩く、異物を視る
...やけに色の失せた髪と瞳かみとひとみが、人目を引く
黒を基調とするこの森にとっては、月のような儚さを纏っている
話しかけてみようか


...そう考えて止まった
やみに生まれた我が、ただの娘に話しかける等、考えてみればなんと滑稽こっけいな事か
そんな事を一瞬でも思った自分が恥ずかしい、
なんと、なんと愚かな事か


「...誰か、居るのか?」

『...そうか、貴様は、落された者か』

「そんな呼び方するな、気分が悪くなる」

『そうだな、せめて堕天使とでも呼んでやろう』

「待て、ちょっと見解が違うぞ?俺は天使なんかじゃない」


その瞳で何を語るかと思えば、ただの言い訳か
応えた我が阿呆であった、いや失敬失敬

...それにしても、なんと空気の悪い娘だ
話すだけで浄化された事など、生まれてこのかた一度も無い
それだけ能力チカラが強いのか、はたまた只の偶然か
我に関係など、無いのだが



「っつうか、アンタ誰」


突然娘の目の前に紫の雷を帯びた槍が突き刺さった
よく知るそれに、少しだけ目を細めて、チラりと横を向く


我を慕う、この森の管理補佐、デュークだった


『何故攻撃した、デューク』

『お分かりでしょう、この娘は敵です。貴方様に無礼をはたらきました』

「え、何、初めて見るんだけど、この雷」



,,,,呆れた者だ、怖れることなくその槍に近づくなど、凡人でもするまい
しかし、それに触れる事は叶わなかった
デュークが風の如き動きでその槍を引き抜き、我の傍に戻ったからだ
深々と突き刺さっていた事が見て取れる
...どれだけ殺意剥き出しで攻撃したかが見て取れた




「うわぁ、死んでたなぁ俺。」

『そんな事、我が許さん。お前は実に面白い、デューク、連れて帰るぞ』

『はぁ!?...あ、失礼。しかしながらレイド様!!!!!!』

「レイド...アンタの名前は、レイド、ね」



呟かれた名に、酷く安心したのは







気のせいにしておく


『我が名はレイド=クラシウォン、この屍の森を管理する、死神よ』
■作者からのメッセージ
うわぁ、主語の無い会話文が多い。。。気がする←
ごめんなさい頑張ったけど無理かもです、グスン((

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