正義の味方VS悪の組織<2>
作者: 神田 凪   2011年03月28日(月) 18時24分30秒公開   ID:Fpk3UqE6X6I












私の名前は、py@jd¥|f;jgh。
・・・っと、すまない、地球の言葉ではないので聞き取りにくかったかもしれない。


そうだな、私のことはAと呼んでくれ。
先ほどの言葉で何となく分かった方がいるかもしれないが、私は地球人ではない。
他の惑星から、任務を受けここにやってきた。


任務の内容を話すには、まず私の住む惑星のことを知ってもらいたい。
惑星の名前も聞き取れないと思うから、この場合シンプルに『惑星』と仮名しておこう。
惑星は地球と大体似通った部分が多々ある。住んでいる人々も見た感じでは地球人と変わりないからな。
だが、大きな違いと言えば科学の発達が地球よりも進んでいるということか。ここに来るにも宇宙船で、しかも数日で来られたしね。
そのせいか、我々の住む惑星はある組織に狙われた。悪の組織と名乗る奴らは、次々と建物を破壊しまくった。
そして、すべての科学情報が入ったデータを入手すると惑星を出て新しい獲物を求めていった。 


このままでは宇宙が危ない。


我々は奴らを倒すため、惑星が誇るエリート5人を選び悪の組織を追うことにした。
彼らは、命を懸けて、大切な人々から離れ旅立って行った。



さて、それでは任務の内容を話そう。
実は、ここ3ヶ月彼らと連絡が取れないのだ。定期的に行われている報告がいきなり音信不通になってしまった。
もしや、全員悪の組織にやられてしまったのではないか。危惧した惑星の人々は、新たに視察員を選び出した。
それが私ということである。私に戦闘能力はない。私に課せられた任務はただ、この地球の様子を報告することのみだ。
つまり、生存率は限りなく低い。この任務が決まったとき、家族は泣いた。だが、最後には力強く見送ってくれた。
だからこそ、私は、必ず、この任務を遂行すると誓った。




のだが・・・・・・、







目の前には、麦わら帽子を被りTシャツと半ズボン片手には大根を持ったエリート5人の中のリーダーがいた。










正義の味方 VS 悪の組織





− 赤色さんの場合 −













「いやぁ、久し振りだな。あっちのみんなは元気?帰りにはお土産渡すからさ、みんなに配ってよ」


あれ、私ってばもう惑星に帰れない雰囲気出してこの地球にやってきたんじゃなかったっけ・・・?


突っ込むところが多すぎて、どこか現実逃避をしながらそう思う。
いや、確かに地球にやって来たとき変だなとは思ったのだ。悪の組織がやってきたにしては地球の人々は普通に日常を送っている。もしかしたら、何か罠か?と深読みしたが。


現在の居場所が掴めない5人を探すのはとても難しいことだ。
一応、最後の確認が取れた「日本」というエリアに降り立ったがこの日本もなかなか広い。どうしようかと思いながらとりあえず歩いていて、先ほどの光景だ。
会えたのは奇跡と言って良いだろう。これは感動の再会のはずだ。



・・・・・・・・・・・・・・・どうしよう、素直に喜べない。





ずっと、考えていた。
もし、もし5人に会えたらと。
きっと私は泣いてしまうに違いない。
あの悪の組織に立ち向かうため選ばれた5人。どんな思いでいたのだろう。
つらくて、苦しくて、投げ出してしまいたい事もあっただろう。
それでも今まで必死に、それこそ命を懸けてくれた5人の姿を見たら込み上げて涙が止まらないはずだ。


そして、今この瞬間・・・




違う意味で涙が止まらない!



「何しに来たんだ? あ、観光か。それなら俺が案内するよ何処行きたい?」


はっはっはっ、と笑うリーダーの姿が信じられない。
“赤色”の称号を授かった彼は、それこそリーダーに相応しかった。
誰よりも悪の組織を倒すために努力をし、仲間を思う気持ちも強かった。
正義のために戦う彼は、とても格好良かった。


あの頃の面影が無い。どこかに消え去っている。なぜだっ!


軽トラというらしい車に乗って(後ろには大量の野菜が詰め込まれている)、ひたすら頭痛に耐えた。

もしかしたら、これが罠か!?
実はこの目の前の彼は悪の組織の仲間で、本物はどこかに捕まっているのでは?

だが、私という非戦闘員を騙してどうする?
しかも、今この場に私が来たのはまったくの偶然。

ぐるぐると疑問が回って気持ち悪い。
ここは素直に本人に聞いた方が良い。
話しかけたくないが何か近づきたくもないが、ここで逃げてはダメだ。


よっしゃ頑張れ私!


「あ、あ、あの・・・どうして貴方がここで野菜作りに励んでいるのですか?」

生きてきた中で一番勇気だったと思う。
その質問を聞いて、きょとんとした顔で(この表情も以前ならあり得ない)首を傾げた後、ああと何かに納得したように口を開いた。


「言ってなかったか? 俺、







 農家の家に婿入りしたんだ










赤色さんの場合・・・

農業はじめました。






「あ、結婚式に呼べなくてごめんな。あっちからわざわざ来てもらうのも大変だと思ってさ」

「・・・」

「あれ、もしかして泣いてる? そこまで喜んでくれたのか、ありがとう!」

「・・・(惑星への報告どうしよう)」








つづく


■作者からのメッセージ
前回の続きです。
前回がいつだ?とか聞かないでください。随分間が空きました。
他の色さんや悪の組織のその後も書く予定。
もちろん一般市民さんも登場させます。赤さんの奥様です。
それでは、ここまで読んで頂きありがとうございます。

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