ひざまくら(薄桜鬼二次創作 平千 SSL) |
作者: 林檎頭巾 2011年10月21日(金) 17時27分35秒公開 ID:CoM.9X5NVEE |
「けほけほっ……」 風邪を引いたかもしれない。咳は止まらないし頭は痛い。 私は幼馴染の平助君に連れて来られた保健室で彼と並んでソファーに座っている。 「本当に…寝なくていいのか?」 平助君が心配そうな声で訊ねかけてきた。 「うん…大丈夫。山南先生も山崎先輩もいないから勝手にベッドは使えなさそうだし…」 そこまで言って再び、私は咳込んだ。 「大丈夫か?」 平助君が背中をさすってくれる。そのお陰で、咳はやっとおさまった。 「ごめんね、平助君」 私は俯きながら彼に謝る。いつも彼には迷惑ばかりかけていて何だか申し訳ない気持ちになったから。 「千鶴…顔、上げろよ」 不意にそんなことを言われたから私は顔を上げた。額の上に何かがそっと乗せられる。 平助君の手だ。 「平助君…?」 彼は私の額に手を当てながら少し心配そうな表情で私を見つめている。 やがて、額に置かれた手は離された。 「熱、あるじゃねーか。そんなで大丈夫、って言うのか?お前は」 「……」 何も言い返せずに、私は黙り込んでしまう。 そんな私を見て平助君はため息を一つついてからこう言った。 「オレの膝、貸してやるから寝てろ」 「で…でも悪いよそんなの……」 「ずっと座ったままでいるのも辛いだろ?オレのことは気にしなくていいからさ」 「……」 私はしばらく悩んだけど、彼の好意に甘えようと思い、平助君の膝の上に頭を乗せた。 彼の膝の上はとても気持ち良くて、それが私の眠気を誘う。 寝てしまうのは彼に悪い、と思った私は寝るのを我慢しようとしたけど、平助君はどうやら私が眠いのを知っているようだ。 「眠かったら寝ろよ。オレは気にしないから」 微笑みながら平助君は私の頭を優しく撫でてくれる。それが嬉しくて、私も思わず微笑んでしまう。 「おやすみ、平助君」 私はそう言って目を閉じた。 「…おやすみ、千鶴」 眠りに落ちる前に、彼がそんなことを言った気がした。 |
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