千羽鶴-番外編その@ 原田篇- |
作者: 林檎頭巾 2011年11月21日(月) 18時59分15秒公開 ID:sTYIRFezUnY |
「暇だなぁ……」 することもなく私はぼんやりと明るい天井を見つめていた。 私は術後という理由で数日間安静にしていなければならない。そうして二日が過ぎた。 昨日と一昨日は傷跡の痛みで起き上がることが出来ず、ずっと寝ていた。そのせいか、床擦れになってしまって腰が痛い。 やっと起き上がれたから良かったんだけど…… 「する事が何もないんだよね…」 何か暇を潰せる事を考えていた時にコンコン、とドアをノックする音が聞こえた。 どうぞ、と私が返すと静かにドアが開き、見知った人が顔を出した。 「よお、雪村。久し振りだな」 「原田先生!どうしてここに!?」 そこには、担任である原田先生が立っていた。今は丁度学校が終わった頃の時間だ。放課後になった時、すぐに来てくれたのかな。 「ここにってお前…見舞いに来たに決まってんだろ。それで、具合はどうなんだ?平助からお前の様子聞いた時は起き上がれないって聞いたが……」 「それならもう大丈夫です。まだ傷跡は少し痛みますけど、大丈夫です」 胸に軽く手を当てながら先生に心配をかけないように私は言った。 「それなら良かった。そんで、お前に渡す物があったんだ。面白くも何もねえもんだけどな」 そう言って先生は大きめの茶封筒を出した。中には書類が入っているらしく、ずっしり重い。 それには、私が休んでいる間に配られたプリントと―― 桜をかたどった一つの小さな髪飾りが入っていた。 「これは……?」 思わず私は呟いていた。 「それは俺からの見舞いだ。早く元気になって、それ髪につけて学校にきてくれよな」 「あ…ありがとうございます!!」 私は髪飾りをそっと両手で包み込んで微笑む。 原田先生はそんな私を見て笑い、優しく頭を撫でてくれた。 |
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