しゅごキャラ!キュンキュン 第三十二話「黒いジョーカー」
作者: My heart egg   2017年11月14日(火) 11時21分53秒公開   ID:y.W.qTLzo2E
しゅごキャラ!キュンキュン32

第三十二話「黒いジョーカー」
短かった春休みが終わった。今日は聖夜学園は始業式で、光輝は校門で他のみんなが来るのを待っていた。
光輝「あれから一年か。早かったな」
タイムラル「光輝は去年、ここでみんなを待てなかったな」
光輝「仕方ないだろ。先に流さんに会いに行かなくちゃならなかったんだから」
ミネルヴァ「全校生徒の中に、唯世の顔があるのを見つけた時のお前の驚いていた顔が、全然冷静じゃなかったな」
光輝「うるさいミネルヴァ。あれは俺も興奮するさ。表情だけで抑えたところは良かっただろ?」
スウィッシュ「満面の笑みを唯世に見せて、それから涙を流して……唯世以外の人にはどう見えたんすかね」
スウィッシュがそういうと、タイムラルとミネルヴァはコソコソ話を始め、三人で光輝のことを笑っていた。光輝は三人の話を知らんふりした。そこへいつもの顔触れが現れた。
光輝「あれ?みんな一緒だったのか?」
空海「おいおい、明日は唯世の家に集合なって言っただろ?」
光輝「唯世の家に集合………そうか!忘れてた!りまちゃんが学校と反対の方に行っていた理由はそれか!」
りまが笑い、みんなが笑った。光輝もそれに釣られ笑った。
空海「はぁはぁ。朝から笑い疲れたぜ。それにしても、お前らと笑えるのも、今年が最後か」
光輝「そうか。空海先輩は、三年生になるのか」
空海「そうだな。それに……いや、何でもない。さ、間も無く始業式だ。またロワイヤルキャッスルでな」
空海はそれだけ言って先に行ってしまった。
光輝「なんだったんだ、今の。あ、そういえば唯世。今日はガララ君のクラスがどこか決まるんだろ?楽しみだな」
りま「でも、なでしこがいない」
唯世「藤咲君のこと、まだ伝えていなくてごめん。今年は藤咲なぎひことして生活するそうだよ」
りま「そうだったの………なるほど。あのパーティの日にあんなことを言っていた理由がやっと分かったわ」
光輝「おいおい唯世。話逸らすなよ」
唯世「光輝君。それにみんな。ごめん。ガララ君は今日は、来れないんだ」
光輝「何でお前がそう言えるんだよ」
唯世は教室に行くまで、数日前にガララと会った時にガララの身が傷だらけであったことを話した。
光輝「そうだったのか」
唯世「そうなんだ。この話は、またロワイヤルキャッスルで話そう」
りま「生徒が並び始めている。あたし達もケープに着替えなきゃ……」
唯世「そうだね。それじゃ、また後でね」
三人はそれぞれの教室に荷物を置くと、ケープを羽織り、講堂へ向かった。
始業式は順序通りに進んだ。理事長のあいさつも終わり、各先生が先に講堂を出て、各生徒達も教室に帰れると思った時、演台に一人の少女が立った。突然のことだったので、全生徒がそちらを向いた。
黒あむ「日奈森あむです。今年の二月に私が誘拐された事件のことで、皆さんにご心配をかけましたことをお詫び申し上げます。この春休みに敵の服従から解かれ、今日聖夜学園に戻ることができました。また、よろしくお願い致します」
それだけ言って、あむはステージを降りずに、講堂の裏へと繋がる方に向かった。
唯世「待って、あむちゃん!!」
唯世は生徒達をどかしながら、ステージの方へ向かった。
時すでに遅く、講堂の裏に出たが、あむの姿はなかった。後ろにはついてきていた光輝達がいた。
光輝「唯世………」
唯世「……日奈森あむって言っていた。黒髪だったけど、あれは間違いなく、あむちゃんだ」
光輝「唯世、それはまだ分かったことじゃない。あむちゃんの髪はピンク色のはず。それに、あむちゃんが髪の色を変えることはない、それは唯世も知っているだろ?」
唯世「イメージチェンジかもしれない。僕は会って話して確かめたい!」
??「だめだ。辺里君」
聞き慣れた声が聞こえた。そこには、藤咲なでしこの本当の姿、藤咲なぎひこがあった。
空海「どういうことだよ、日奈森にあったのか?」
なぎひこ「ごめん。僕が演台であいさつを終えて、外の空気を吸っていた時に黒髪の少女が出てきて、僕の顔をみた途端、闇の中に消えたんだ。顔貌があむちゃんに見えたから、僕も闇の中へ飛び込もうとしたけど、消えるのが早かった」
唯世「そうだったんだ。でも、藤咲君が無事で良かった」
なぎひこ「僕も、あそこで飛び込んでなくて良かったよ。こうしてみんなに会う事も出来なかっただろう」
空海「いや、今までも会ってたから、別に合わなくても……痛い痛い、やめろ!」
なぎひこ「何のことかな?僕がみんなと会うのは久しぶりのはずだよ?」
唯世達は空海となぎひこのやり取りを見て笑った。その時光輝は何かに気づき、その場を離れた。
黒髪のあむは木陰からそれを見ていた。
黒あむ「………辺里唯世。そして、日黒光輝。今は倒せないけど、いつか、必ず」
あむがそう呟いた時、闇の中からリリスが現れた。
リリス「戦わないの?」
黒あむ「今はまだその時じゃない。今日はもう、帰りたい」
リリス「妹には会わなくていいの?」
黒あむ「それも後ででいいでしょう。それに、アッシュ様が目をつけているのは、あたしの妹と、あの日黒光輝の弟。つまり、二人がいる時がチャンス。だから今日はいい」
リリス「あっそ。つまんないの。それじゃ、あたし先に帰ってるわよ」
リリスはそれだけ言って、先に闇の中へ消えた。あむも闇の中へ行こうとした時、誰かが名を呼んだ。振り返ると、そこにいたのは、日黒光輝だった。
黒あむ「日黒、光輝……何故あたしがいることが分かった」
光輝「冷静な俺にキャラチェンジした時に、君がいることを感じ取った」
黒あむ「ほぅ。それで、何の用だ?」
光輝「オリジナルのあむちゃんはどこだ。教えろ!」
黒あむ「………フッ、そんなことか」
光輝「何だと?」
あむは手を出し、真っ黒な楕円形の球体を出した。
黒あむ「ならばついてこい」
光輝の足は竦んでいた。しかし、本当に真実にたどり着けるのなら、と思った光輝は、闇の中へと進んだ。
■作者からのメッセージ
どーも。お久しぶりです。
著者のMy heart eggです。
今回で32話となりました。
次回は、あむと光輝が対立するのか!?
次回もお楽しみに!

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