田舎の中にそびえ立つ屋敷
作者: 海老フライ   2024年08月25日(日) 21時33分26秒公開   ID:6OhVvnn6k8o
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目が覚めると、僕は畳の上に敷かれた布団の中で眠っていた。
身体は金縛りに遭ったかのように動かなかったが、頭は動いたので周りを見た。

タカさんと一緒に来た時とは違って綺麗にされている内観だった。


(あの時僕は…後ろから誰かに捕まって…)

状況を整理しようとすると…




『フフ…目が覚めたようだね』

藍色の髪色をした着物を着た人が部屋に入ってきた。
一見美しい見た目で女性かと思ったが、着物の隙間から見える筋肉からこの人は男性だろうと思った。


『こうやって会うのは初めてだよね。俺は幸村精市。これからよろしくね、不二。』

「なんで僕の名前を…?」

『不思議なことを聞くね。俺は君がこの村に来た時からずっと見ていたんだ。…そう、ずっとね。』

僕の中で震えが止まらなくなった。あの日見た得体のしれない者の正体はこの幸村精市だったことに…僕をずっと見ていたことに…。


『可哀想に。本当は家族が大好きで仕方ないのに追い出されるようにこの村に連れて来られて…。』

そう言って動けない僕の頬を撫でてくる。

『俺はそんな寂しい君の気持ちがすぐに分かったんだ。俺もこの屋敷から出られない身体だからね…気持ちはすぐに分かるんだ。…でも』



⇒To Be Continued...

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