Re: 短筆部文集 3冊目 (行事があってもマイペースに製作中!) ( No.70 )
日時: 2008/02/25 20:55:15
名前: 深月鈴花

振り返ったら、「CROSS」の二人は何やら話をしていた。
ど、どうしよう、挨拶できなかったの、嫌な子って思われちゃったかな……
と、そのとき。
「CROSS」の「カイ」がこちらに向かって歩いてきた。それを追うようにして、「ユウ」もこちらに歩いてくる。
あたしは慌てて、
「えっ、こ、こんにちは!」
と挨拶をした。
「えっ」はどうしようもないよ、だってびっくりしたんだもん。まさか、あたしなんかのために引き返してきてくれるなんて思わなかったんだもん!
話したことなんて、数えるぐらいしかない。本当に人気があって、最近はドラマや雑誌でもよく見かける。
あたしにとっては、とっても尊敬する先輩。
そんな先輩が、目の前で笑ってる。
「こーんにちは。」
カイが、独特の甘い声でそう言った。
近くで見ると、本当に二人とも美形だ。
「あ、あの、ごめんなさい!ちょっと考え事してて、それで……あの、気づけなくって……」
あたしよりも頭1,5こ分くらい身長が高いカイが、ぷっ、と笑った。
「気にしてないよ。」
その言葉にホッと笑みをこぼしながらも、あたしははっと腕の時計を見た。
ラジオの生放送の収録まで、あと1時間とちょっと。
あたしはいつも寄せられてくる葉書を念入りに読んでから収録するため、早めに行かなければ間に合わなくなる。
もっと話していたいと思いながらも、時間は待ってはくれない。
「すみませんっ、もうそろそろ時間が……」
顔を上げないと合わない視線を、一生懸命合わせる。
カイの黒い瞳に、あたしが映った。
「うん、またね?」
「っ、はい!それじゃあ、失礼します!」
ぺこり、と一礼してから、ラジオ収録へと急いだ。



(またね、かぁ………)



今日はなんだかいいことありそう。

いつもより軽い足取りが、それを物語っている気がした。