“綺麗すぎる世界だからこそもっと汚くなろう。” ( No.81 ) |
- 日時: 2008/03/01 17:31:45
- 名前: 一夜◆KFb2oRyLnqg
夜は、私の味方になった。 朝は、私の敵になった。
闇は、私の味方になった。 光は、私の敵になった。
憎しみは、私の味方になった。 愛は、私の敵になった。
今日も私は誰かに感情をぶつけている。この感情を誰かにぶつけなくては、私は私を保たれなかった。 感情が膨らみはち切れ、それは涙となって溢れてくる。
【憎しみ】
この感情が私を支配する。心にはそれ以外の感情がない。・・・いや、あったとしてもそれは粒のように淡いものだろう。
「ぐっ・・・・・・あっ、あぁっ・・・。」
女が低く擦れた声を漏らす。女の腹部には固く握り締められた私の拳。 ゆっくりと拳を離すと女はその場に崩れ落ちた。 ・・・この女だけではない。私の目の前でこのように崩れ落ちたものは何十人もいた。 “自分たちから喧嘩を仕掛けてきたのに弱い奴ら” そう思いながらグイっと崩れ落ちたばかりの女の胸倉を掴み上げた。
「お、願・・・い・・・っっ!!も、ぉ・・・ゆ、許して・・・よっ!!」
涙ながら必死に叫ぶぼろぼろになった女。 むかついて、むかついて、むかついて。 私はそんな思いを抑えきれずに腫れ上がった女の頬を思いっきり平手で打った。
「ぐあっ・・・・・・!!!―――――――。」
口から少量の血を吐きながら女は地面に打たれ、気を失った。 あたりから音が消えた。 あたりには気を失った何十人かのものたち。 世界には私一人しかいないかのように静寂だった。 その静寂を打ち破るかのように私は呟く。
「何でだよ。・・・何でみんなこんなに弱いんだよ。お願いだからみんな・・・私の敵に、なってよ・・・っ!!」
哀しく微笑みながら夜空を見上げる。無数の星がきらきらと夜空を瞬いていた。 この世界は、あまりにも綺麗すぎる。 綺麗な世界に汚い私。 もっと、もっともっともっと汚くなれば私は変わるのかな。 変われるかもしれない。でも、変わらないかもしれない。 そうだとしても、してみる価値はあるでしょう・・・?
幼い私が見つけたもの。 それは、それは・・・未来の道から外れてしまった、入ったら入口が消え、そして出口のない迷宮だった。
『もう、戻ることなんてできないんだ。私はこの迷路で彷徨うという道を選んだんだから・・・――――――。』
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