Re: 世界を彩る物語。 ( No.42 )
日時: 2007/05/12 23:54:35
名前: 黒瀬
参照: http://id29.fm-p.jp/8/ginduki/

◆水風船


あなたのことを想う度 水風船が
ぷわり とふくらみます



( 色は匂へと、散りぬるを )

いつか散り行く花だとしても、咲いた限りは
この憂世を精一杯謳歌する所存に御座います

( 我が世誰ぞ、常ならむ )

人の世は雲同然に移ろいやすきもの
私は千切れ雲の中、命散るまで貴方を想い続けます

( 有為の奥山、今日越えて )

想いの竹林駆け抜けて、私怨の森林かき分けて
私は貴方にお逢いしたい一心で 聳える山を歩みます

( 浅き夢見し、酔ひもせす )

人のこころは水面のように揺らぎやすきものに御座います
されど貴方は私の想いや夢に気付くことなく酔うこともなく、
ただ前を向いて私を置いて、背中を向けて道を歩んでいくのでしょう
二人の命が果てるまで
蘇芳の糸が交わることはないのです



あなたのことを想う度 水風船が
ぷわり とふくらみます

あなたのことを想う度 水風船が
ぱちん、
と弾けます

割れた風船の
水は、私の心を濡らします
濡らした心は、想いとなって私の頬を伝うのです

嗚呼、どんな寂寞や孤独を感じようとも
私は貴方を想い続ける所存に御座います
貴方のためならこの命、かんたんに捧げる覚悟に御座います

いつか散り行くこの身なら、
どうか祈りが果てるまで
貴方の帰りを待つ 所存に御座います