(場所なんて関係ない) ( No.35 ) |
- 日時: 2007/07/22 15:46:40
- 名前: Gard
- 参照: http://watari.kitunebi.com/
- ゆっくりと下ろした目蓋の向こう。そこにはいつもの授業風景が広がっていた。
ただちょっと違うのは、あたしの大事な友達がぼーっと上の空だったってことだけ。それ以外は変わりない。 まぁ、だからこそ私はいつもの如く目蓋を下ろしたのだけれど。 下ろしただけでは音って消えない。聞こえてくる教師の声に数式(奇しくも数学の時間だった)を頭の中に展開させる。 ただ、それだって面倒なので、思考を放棄する。 そして眠りの世界へ…………。
授業が終わって叩き起こしてきたのは、何故かこっちに来てた隣のクラスの弟だった。 「姉貴! ちょ、あれ何とかしてよ!」 「……うっせーのよ、礼治。つかあれって何さ」 「あれはあれだよ!」 半分以上悲鳴の混ざった声で訴えられる。 主語を隠すなと言いたいのに全然伝わっていない。伝わってないのではなくて、ただ言いたくないだけなのかも。 そう思ってると、ある一点を礼治が指さしているのが見える。 「うげ」 思わず声が漏れた。 礼治の指が指し示す方向にはあたしの友達とその彼氏の姿。ピンク色のオーラが見えるような気がする。 思わず腕に鳥肌を立てながら(なんか精神に悪いと思う、知り合いがああしてるのって)あたしは礼治を見た。 「ごめん、あたしにも無理」 「…………だと思った」 がっくりと肩を落と弟を慰めるためにポフポフと肩を叩いてやる。 時計に目をやれば、どうやら昼休みになっていたらしい。そう言えば今日の数学、四限だっけ。 友達の手には二つの弁当箱(!)。どうやら彼氏と食べるために作ってきたらしい(!!)。 当の彼氏はどうやらそれを事前に聞いていたのか、迎えに来たといったところだろう。 「で、何であんたがここにいるの?」 「……恭哉の付き添い」 「あれ、何時の間に名前呼び?」 「ついこないだ」 「はーん、漸く学校でも名前呼び出来る仲になったわけ」 「うるせーよ、姉貴」 そんな私達の視線は同時に問題の二人の方へ向かってしまった。 そして同時に後悔する。 まだピンクのオーラが発せられていた。思わず高速で目を逸らす。 「ば、場所ぐらい気にしろ……」 「姉貴、それ、本人達に言って」 「無理。恋は盲目」 「だったら諦めて」 がっくりと姉弟揃って肩を落とす。 ああもう、これからこういう光景を目にすること、多くなるのかしら。 …………やってける自信、ないかもしれない。
――――――――――――――――――――――――― (>>22の続き) (>>83へ続く)
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