(MIRROR) ( No.67 ) |
- 日時: 2007/08/20 16:33:38
- 名前: 竜崎総久◆OMBM0w5yVFM
- ……許されないことをした。
あの日、汚い自分を見られて。狂ったような表情の尚を見て、夏音は、ひどく痛感した。 自分はしてはならない事をしたのだと。どんな理由があれ、許される事ではないと。この人は、騙してはいけない人だったのだと。 そう思った瞬間、夏音は、何かが壊れるような音を聞いた。「日向夏音(ひゅうが・なつの)」という人間を支えていた膜が、壁が、柱が壊れていく音だ。そして、夏音自身そのものを壊す音。 何をしていても、その音は耳の奥で止まなかった。数日経っても、瞼の裏の残像は消えることなく、むしろ鮮やかすぎるほどに焼き付いた。 ……これは、報いだ。 この痛みは、尚の痛みだ。 壊れていく自分の中で、最後に夏音が聞いた声は。 「夏音さん、おはよ。」 いつもと変わらず、あまりに純粋で優しすぎる、尚の声だった。
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>>45とほぼ同じ時期の、夏音さん目線という感じです。
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