(SCREAM) ( No.9 ) |
- 日時: 2007/07/08 17:56:10
- 名前: 竜崎総久◆OMBM0w5yVFM
- 参照: http://ameblo.jp/html202/
- ……今日も、大音量。
耳を大切にしようなんて考えは捨てた。聴こえるか聴こえないか、最低限の音量で聴いてなんかいたら、自分がイライラする。だったら、自分が落ち着いて聴ける方を選ぶしかあるまい。 尚(すなお)はこの頃、自分の耳が悪くなるのを感じていた。……当然だろう。毎日4時間以上も、周りの音を完全にシャットアウトするくらいの音量で、ヘッドフォンをつけて音楽を聴いていては。 自分でも、いけないことなのはわかる。このままでは近い将来、「彼ら」の音楽を聴けなくなるだろう。 ……でも。音量キーを少し上げて、尚は思う。こうでもしないと、私は自分を保っていられない。 何かに八つ当たりしたいけれど、理性が邪魔をするから。感情に任せて、狂ってしまいたいけれど、メッキ張りの自分が、それを批判する。煮え切らない気持ちを、高まる衝動を静めるのは、今の尚には「彼ら」しか居ない。 しなくてすむのなら、依存なんてしたくない。「彼ら」が居なくなってしまったとき、尚が今の――普通の「尚」で居られる保障など、どこにもないのだ。 ……だったら。 今の私にできるのは、堕ちるところまで堕ちていくだけ。 もう一度、今度は大幅に音量キーを上げる。 ヘッドフォンから聞こえる割れかけた声は、どこか悲鳴のように思えた。
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