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異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕
日時: 2014/05/28 23:29:47
名前: 孝(たか)

シンクロ解禁。
エクシーズ解禁。

一応GXなので…

サイバー・ドラゴン系

サイバー・ダーク系

サイバー・エンジェル系

宝玉獣系

ヴォルカニック系

化石(中生代騎士など)系

青眼の白龍系

三幻神

三幻魔

ブラマジガール。

D・HERO系

などのカードは原作キャラのみ使用出来る様にしてありますので、お気を付けください!!

特定のキャラの好感度次第でそれ系統のカードを受け取るのはありです。

以前まではモンスター・エクシーズは、召喚方法が特殊な融合モンスターカードでしたが、前幕よりエクシーズが解禁し能力覚醒により本来のエクシーズモンスターカードに進化しました。

そして、このリレー内では……

"表側守備表示での通常召喚"も可能です。
展開の都合上、”一部アニメ効果”のカードも使用しています。


遂にY幕か・・・・・・セブンスターズまだ半分も残ってるorz

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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.111 )
日時: 2016/10/28 23:58:06
名前: 孝(たか)

アムナエル「さぁ十代!見せてくれ!お前の力を!お前の扱う融合こそお前に秘められた力、お前が一流の錬金術師である証を!」

 まるで、十代の真の力を見抜いているかのように言葉を発している。

十代「大徳寺先生・・・俺に錬金術の才能があるってのは、とんだ勘違いだったな。俺の手札は0、何かを生み出す素材さえ残っていない。」

 残りのライフポイントも僅か。既に戦意を喪失しかけている十代。

アムナエル「・・・所詮、お前は一年前と同じなのか?」
十代「一年前?(一年前、俺はデュエルアカデミアに・・・)」
ハネクリ『クリクリ〜』

 十代を心配してか、精霊状態で十代の横に現れるハネクリボー。

十代「(ハネクリボー・・・俺は一年前、お前にさえ出会ってなかったな。一年前・・・俺は、みんなと出会って・・・)」

 ふと、翔達、アカデミアに来てからであった仲間を・・・そして、ライ達アカデミアに来る前からの仲間を見る十代。

十代「(一緒にに笑って、泣いて・・・一年前の俺にはなくて・・・今の俺にはあるもの・・・!そうか・・・この一年、皆と作った記憶・・・思い出!・・・これからみんなと作る未来・・・!仲間を作り上げることこそ、錬金術・・・!)」

 十代は、1つの答えを導き出す。

十代「そうだ。なら俺には、まだまだいくらだって可能性が・・・!俺の仲間だってこの中にも・・・!」

 そう言って、十代はデッキに手をかける。新たな可能性・・・過去であり未来でもあるデッキに望みを託す。

 十代は気付いてないが、この時、十代の両目は、一瞬ではあるが微かに金色へと変化していた。

 そして、本当に一瞬、デッキにかけた十代の右腕が僅かに輝いていた。

十代「俺の可能性・・・仲間の力・・・足りないなら合わせればいい。錬金術とは、奇跡ではない。この世に偶然なんてない。あるのは必然。錬金術は、必然を手繰り寄せる力。過去を、現在を、未来を・・・繋ぐ物・・・そう、この・・・カードをドローして、未来に繋ぐように!」
隼人「きばれー!十代!お前になら出来るんだな!」
翔「そうっス!アニキならきっと出来るッス!」

十代「俺を信じる仲間の為にも、俺は勝つ!!俺のターン。ドロオオオオオオオオオオ!!!」

 その時、十代の脳裏にはある言霊が聞こえてきた。

最強デュエリストのデュエルはすべて必然

ドローカードさえもデュエリストが創造する

全ての光よ 力よ 我が右腕に宿り、希望の光を照らせ

 以前、カイとカノンノがNo.96とのデュエルの時に言っていた。

今この場で、この瞬間、誰も言葉を発していないにも関わらず

だが、確かに十代には聞こえたのだ。可能性という物を。

十代「俺は[E・HEROバブルマン]を守備表示で特殊召喚!バブルマンは手札がこのカード1枚の時、手札から特殊召喚出来る!更に、俺の場に他のカードがない事で、更に2枚ドロー出来る!これが、俺の錬金術!仲間との絆を繋ぎ、引き寄せ、新た可能性を導き出す!魔法発動!!『エクストラ・フュージョン』!!」
アムナエル「エクストラ・フュージョン・・・聞いた事の無いカードだ」

十代「このカードは、”エクストラデッキのカードで融合召喚”を行う!」
カイ「エクストラデッキのカードで!?」
佐助「融合を行うでござるか!?」

氷牙「うっそだろオイ。マジで手札消費1枚で融合出来るのか!?墓地肥やしの必要も無く!?」
ライ「それって、アレ一枚で先攻1ターン目から[ナチュル・エクストリオ]とかが出てくるって事かよ!?」

 そう、このカードは、ドラゴンデッキならかの[F・G・D]もこのカード1枚で賄え、墓地に5体のドラゴン族を肥やすだけでなく、貪欲な壺の発動条件すら容易く満たせるのだ。

アムナエル「バカな・・・十代、お前の可能性は・・・そこまでの力を・・・!?」
十代「俺は、エクストラデッキから、[HERO]融合モンスターの[ノヴァ・マスター][Great tornado][ガイア][セイラーマン][Theシャイニング]の五体を融合!」
アムナエル「融合モンスター5体による融合モンスターだと!?」

十代「四大元素を司る[火]よ[風]よ[大地]よ[水]よ今[光]の下に集い、新たな可能性を引き出せ!融合召喚!レベル10!現れろ!賢者の石の力を宿せし英雄![E・HERO The マジスタリー]!!」

マジスタリー:ATK2900

十代「マジスタリーの効果発動!マジスタリーは、融合素材となった仲間の属性を全て受け継ぎ、その種類だけ己の力を解放する!」
アムナエル「マジスタリーの融合素材となったモンスターは、5体!?」
十代「マジスタリーの力は全部で五つ。よって、全ての力を解放できる!1つ以上!バトルフェイズ中に二回攻撃できる。2つ以上!マジスタリーの持つ属性と同じ属性のフィールドのモンスターの数の300倍の攻撃力を得る!」
アムナエル「マジスタリーと同じ属性・・・私の場のメタルフォーゼは三体とも炎属性、そして、十代の場のバブルマンは、水属性」
十代「言っただろ。”フィールドの同じ属性のモンスターの数”つまり、マジスタリー自身も含む!よって、5の300倍だ!」

5×300=1500
マジスタリー:ATK2900→4400

アムナエル「攻撃力4400の2回攻撃だと!?」
十代「まだマジスタリーの効果は残ってるぜ!3つ以上!マジスタリーは自分の効果以外の効果を受けない!4つ以上!1ターンに1度、俺の場のHEROモンスター1体をリリースして発動!互いのプレイヤーは、リリースされたモンスターの元々のレベルまたはランクの数だけ、エクストラデッキのカードを選んで除外する!」
氷牙「直接エクストラデッキのモンスターを除外する能力だと!?」
ライ「バブルマンのレベルは4。2人のプレイヤー合わせて8枚分除外って!?」

 HEROモンスターのレベル及びランクは大体3から8である。

十代「俺はエクストラデッキから[エスクリダオ][アシッド][フレイム・ウィングマン][ランパート・ガンナー]を除外する。」
アムナエル「私は、[アモルファージ・ガストル][メタルフォーゼ・スティエレン][ゴルドライバー][シルバード]の4枚を除外する。」

桃「これで、十代君のエクストラデッキはあと4枚・・・」
翔「大徳寺先生のエクストラデッキのペンデュラムモンスターを削ったけど、焼け石に水っすね。」

十代「マジスタリーの最後の効果!5つ以上!1ターンに1度、除外されている全てのカードを持ち主のデッキに戻し、その後、互いのプレイヤーは1枚ドローする!」
アムナエル「除外全てをリセットしてのドロー・・・なる程、お前の引きを最大限に扱う能力という訳か・・・」手札3
十代「更に、この効果で合わせて5枚以上戻した時、俺はもう一枚ドロー出来る!」手札3

凛「これで、お互いの手札は3枚。」
カノンノ「そして、十代君にはまだ通常召喚権が残ってる・・・!」

 ここからが、本当の正念場である。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.112 )
日時: 2016/12/01 20:30:01
名前: カイナ

十代「魔法カード[テイク・オーバー5]を発動! デッキの上から五枚のカードを墓地に送る。また、このカードが墓地に存在する限り、俺のカードの効果でデッキからカードを墓地に送る効果を無効にする」

十代はこれ以後の墓地肥やしを諦め、五枚のカードに未来を託す。不確定の未来の象徴であるデッキから、過去の象徴である墓地へと送られる五枚のカード。その中の二枚のカードを見て、十代はこくりと頷いた。

十代「魔法カード[ミラクル・フュージョン]! 墓地に存在する融合素材モンスターを除外し、E・HEROを融合召喚する! 俺が除外するのは[E・HERO フェザーマン]と[E・HERO バーストレディ]!!」

墓地から光となって飛び出すのは風の属性英雄と炎の属性英雄。二人は十代を見て頷き、十代もこくりと頷き返すと二人は「ハァッ!」と掛け声を上げて上空へと飛び立った。

佐助「フェザーマンとバーストレディ、属性は風と炎! しかし、ノヴァマスターもTORNADOも既にエクストラデッキからは消えている」
ライ「そんな心配は必要ない!」
翔「この状況でアニキが召喚するのはあの一体だけ!」

佐助はプレイング観点で呟き、しかしライは十代の気持ちを理解しているように続け、翔もそれに大きな声で同意する。墓地に眠る英雄達が奇跡の力により、未来を照らす。そう言うように奇跡融合の光が輝いていた。

十代「来い、マイフェイバリットヒーロー!! [E・HERO フレイム・ウィングマン]!!!」
E・HERO フレイム・ウィングマン 攻撃力:2100

二体の属性英雄が融合し、真の姿を現す。右腕に炎を象徴する竜の頭、左背に風を象徴する鳥の羽。十代のフェイバリットヒーロー、フレイム・ウィングマンが彼の場に降り立った。

十代「まだ終わらないぜ! 魔法カード[スカイスクレイパー・シュート]を発動! 自分フィールド上の融合E・HERO一体を対象にし、そのモンスターより攻撃力の高い相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する!」

アムナエル「なに!?」

十代「俺が対象とするのは、[E・HERO フレイム・ウィングマン]!!」

その言葉と共に、フィールドが再び摩天楼へと変化。フレイム・ウィングマンはその中でも一際高い高層ビルの上に、満月を背に立っていた。

アルフ「フレイム・ウィングマンの攻撃力は2100!」
翔「全てのモンスターが破壊出来るっす!」

アルフと翔が歓声を上げ、同時にフレイム・ウィングマンが摩天楼から飛び降りて急降下。その身に炎をまとい、アムナエルの場へと特攻した。

アムナエル「ぐああぁぁぁっ!!」

アムナエルのフィールドにフレイム・ウィングマンが着弾したと同時に大爆発が発生。アムナエルの悲鳴が響く。

アムナエル「ぐ……だが、フィールド魔法[メタモルF]の効果によりメタルフォーゼ・カーディナルは相手の効果を受けない!!」

十代「だが、スカイスクレイパー・シュートのさらなる効果発動! モンスターの破壊後、破壊され墓地へ送られたモンスターの中で元々の攻撃力が最も高いモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!! 破壊したモンスターの中で元々の攻撃力が最も高いのはメタルフォーゼ・オリハルク! その攻撃力分、2800のダメージを受けてもらうぜ!」

アムナエル「なに!? ぐあああぁぁぁぁっ!!!」LP3100→300

スカイスクレイパー・シュートによってアムナエルの場に降り立ったフレイム・ウィングマンが右腕の竜の頭をアムナエルの方に向け、火炎放射で一気に彼のライフを削り取る。

十代「これで終わりだ、アムナエル! バトルだ! 俺はE・HEROマジスタリーでメタルフォーゼ・カーディナルを攻撃!! フュージョニスト・エリクサー!!!」

アムナエル「うわああああぁぁぁぁぁ!!!」LP300→0

十代の宣言と共にマジスタリーから放たれた極光の輝き。その力がメタルフォーゼ・カーディナルを撃ち砕き、マジスタリーの存在に見惚れていたアムナエルにトドメを刺した。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.113 )
日時: 2016/12/03 05:22:48
名前: 孝(たか)

アム「う、ぐぅ・・・」

 デュエルの衝撃で吹き飛ばされたアムナエルは呻きながらゆっくりと上体を起こす。

アム「十代、最終試験は見事合格だ。私が捉えた生徒達は、私がデュエルに敗北した時点で解放され、今頃自室に戻っている事だろう・・・」
十代「アムナエル・・・いや、大徳寺先生」

 デュエルに負けた事で、ダークシグナーの恩恵が解けたのか、ボロボロと肉体が徐々に崩壊していく。

アム「錬金術が、全てを金に変えるというのは、表面の現象に過ぎない。その真意は、人の心をより高貴で純粋なものに変えることなのだ。」
十代「人の心を・・・?」

 デュエルの最中、十代もその片鱗を感じ取っていた。

アム「十代、今君はその真実を知った。・・・これで、私の目的は達した・・・」
氷牙「目的だと?」

 アムナエルは、エメラルドタブレットを・・・賢者の石を作ることが目的ではなかったのか?と疑問に思う一同。

アム「私の研究を支えてくれた人物は・・・強大な力を手に入れんとし、その心をいつの間にか曇らせてしまった。十代、いずれこの島には更なる災いが起きる」
カイ「まだ何か起こるってのか?一体、この島はなんだってこんなに事件に会うんだよ・・・」

 今回のセブンスターズの事件だけでも、地縛神という脅威が襲来していたと言うのに、偽の闇のデュエル、バルバトスの再誕。そして更に災いが起こると言う。

アム「私には、その災いに対抗する力を育てる必要があった・・・これを受け取れ。」

 と、エメラルド・タブレットを十代に渡すアムナエル。

アム「出来れば、こんな形で、君達と別れたくは、無かった・・・こんな事を仕出かしておいて、言えた・・・義理ではないが・・・君達が、無事に、卒業する姿を、見た・・・かった」
十代「大、徳寺、先生・・・!」

 ボロボロと泣きながら、十代はアムナエルの手を取って大徳寺の名を叫ぶ。
 周りの皆も口々に「先生、大徳寺先生」と泣きながら呼ぶ。もう、彼をアムナエルと思う物はいない。

アム「にゃはは・・・まだ、私をその名で呼んで・・・十代、大いなる災いを防げるのは、君・・・だ・・・」

 その言葉とともに、遂に肉体は限界を迎え崩れ去さった。その際、崩れ去ったアムナエルを見て一同は悲しみを堪えられずに涙を流す。顔を手で覆う者、袖で拭う者と、揃って眼を瞑っていた為に気付かなかったが、崩れた肉体から抜け出た魂は、ファラオに飲み込まれてしまった。

 数分後・・・

氷牙「・・・きちんと、弔ってやらないとな。セブンスターズのアムナエルとしてではなく、”大徳寺”という一人の人間として・・・」

 そう言って、氷牙はアムナエル・・・否。大徳寺だった崩れて砂を近場にあった使えそうな箱に詰め、それを凛に持たせると、今度は大徳寺のミイラを棺桶に入れ直してそれ毎持ちあげる。

氷牙「行くぞ。こいつの願い。皆を見守れる場所・・・レッド寮を見渡せる場所に・・・な?」

『『『『・・・はい!!』』』』

 廃寮から戻った一同は、まず大徳寺の言葉通り、行方知れずだった生徒の自室を調べると、全員が無事に帰還して眠って居るのを確認できた。

 その後、レッド寮を正面から見渡せる場所に来ると生徒達はスコップで土を掘っていた。
 その間に、教師陣は大徳寺のミイラと砂を火葬している。日本では土葬は禁止されているので、念の為だ。

ライ「・・・なんか、やるせないよな・・・」
アルフ「・・・うん。そうだね。」

翔「・・・まだ、黒幕が残ってるんすよね?」
明日香「そう、ね・・・。先生が言っていた、”ある人”って言うのがきっと・・・」

カイ「そいつがこの島に災いを起こす張本人って奴か・・・」
カノンノ「許せないよ・・・大徳寺先生にこんな事までさせるなんて・・・」
十代「・・・・・・」

 そんな中、十代だけは始終無言だった。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.114 )
日時: 2016/12/11 12:06:49
名前: カイナ

サラ「……」

放課後、夕暮れ時の太陽の日差しが辺りを照らすデュエルアカデミアの廊下。元デュエルモンスターズにおける墓守の一族、その中の暗殺者の名を冠する存在の精霊であるサラはある縁によって今はデュエルアカデミアの警備員になっていた。

サラ(……困りました)

彼女は心中で呟く。

ブルーA「警備員さん。これからお茶でもいかがですか?」
ブルーB「いやいや、俺と一緒にどうです?」
ブルーC「仕事、もうすぐ終わりでしょ?」

ブルー男子が三人ほどまとわりついており、サラは困り果てていた。実体化しているデュエルモンスターズの精霊とはいえ一般人からすれば精霊という存在は認識すら出来ず、せいぜいが「新しくやってきたスタイル抜群の美人な褐色お姉さん系の警備員」という認識。ちなみに同じく新参のタニヤやカミューラ、エヴァに関してはそれぞれ「虎連れだし見た目恐ろしい」、「more恐ろしい」、「most恐ろしい」。というコンボが成立しているためあまりそういう目では見られていない模様である。

サラ(どうしましょう……)

元が穏和な性格からあまり怒ることも出来ず、サラはどうしようかと困る。確かに警備員の仕事のシフトはもう終わり、しばらく休憩になっているものの彼らに付き合っていては夜勤に支障が出るかもしれない。

??「こらこら君達。気持ちは分かるけど、仕事の邪魔をしちゃいけないよ?」

するとそこにそんな、軽薄そうながらも真面目に人に言い聞かせる声が聞こえてきた。

ブルーA「げ、天上院吹雪……」
ブルーB「ちっ、行こうぜ」
ブルーC「ああ」

かつてカイザー亮唯一のライバルと謳われた彼と関わるのが面倒だと思ったのかすごすご引き下がるブルー三人衆。歩き去っていくその姿を見届けた後、吹雪はサラに向けて申し訳なさそうに微笑んだ。

吹雪「やぁ、後輩……じゃないな、同級生が申し訳ない。あなたのようなお美しい方を見るとつい夢中になってしまうようだ」
サラ「……」

へらっと笑いながら謝罪しつつサラを美しいと褒める吹雪。その姿にサラは慌てたような顔を見せており、吹雪はきょとんとした顔を見せる。

吹雪「どうかしたのかい? 僕の顔に何かついてる?」
サラ「あ、い、いえ……し、失礼します!」

きょとんとしている吹雪に対し、サラははっと我に返るとぺこりと頭を下げて足早にその場を去っていく。吹雪はそれを見送りながら不思議そうな顔をするしか出来なかった。



サラ「……ど、どうしよう……あの、あのお方は……」

廊下を足早に歩きながらサラは考える。今は十代に預けているペンダントの片割れ、それの本来の持ち主。それを探すのが彼女が精霊界から人間界へとやってきた最大の目的。そして……今その彼が目の前にいた。

サラ(でも……どうすればいいんだろう……)

だが、そこからどうすればいいのかが分からない。彼が探していた相手で間違いない。しかし彼は自分の事を覚えていないようだった。

サラ「きゃっ!?」

と、そこまで考えていた時に、前をよく見ていなかったのか彼女は誰かにぶつかってしまう。

タニヤ「おっと……なんだ。お前か、サラ」

サラ「タ、タニヤ……さん?……」

ぶつかった相手は警備員の同僚――といっても校舎内警備と森の管理人という部署の違いはあるが――であるタニヤ。元セブンスターズで結果的には警備員の同期という関係上、たまに休憩時間が被った時に共に過ごす程度の仲だ。

タニヤ「ふ〜ん……」

サラ「え、えっと……」

するとタニヤは何かじろじろとサラの顔を眺めまわし、サラも困惑気にタニヤを見る。

タニヤ「ふむ……」

サラ「え?」

突然タニヤがサラの肩をがしっと掴んだ。

タニヤ「よし、一緒に食事でもどうだ?」

サラ「え、あの、ちょっと!?」

なんか有無を言わさずタニヤがそんな事を言い出す。

タニヤ「なぁに、話は飯を食いながら聞こう」

タニヤはアマゾネスの長と言える雄々しい笑みを浮かべ、その中にどこか女性らしい柔らかな笑みを見せる。

タニヤ「どうやら、恋の悩みのようだからね♪」

サラ「え、えええぇぇぇぇっ!!??」

その後、「ちょっと待ってくださいタニヤさぁーん!」というサラの悲鳴が食堂の方へと続いていった。
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やっと書き上がりました……むずい。
相手である吹雪はまた後で突っ込むとして、そこまでどうやって持っていくかと考えると他の恋愛脳はタニヤしか思いつきませんでした。
さて、ここからどうするか……。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.115 )
日時: 2016/12/12 01:58:48
名前: 孝(たか)

タニヤに連れられ、やってきたのは・・・レッド寮地下食堂。

 本当に、レッド寮の地下はどうなっているのだろうか?
今現在判明している施設は・・・

中心となる広場。そこから枝分かれの様に

デュエルマシーンのあるトレーニング場。

精霊の宿る捨てられたカード達が飾られたデッキ構築ルーム。

地下食堂兼カフェ。

冬用の炬燵部屋。

夏用のエアコンルーム。

補習部屋。

と、様々な部屋が用意されている。
当然、全て氷牙が実費で工事した結果である。恐らく、更に増えていく事だろう。

 そんな地下食堂の一角・・・既に女子会が開かれていた。

タニヤ「なるほど・・・話を要約すると、ダークネス化していた吹雪が墓守の領域に足を踏み入れ、試練を制覇。ペンダントの片割れを授け、その吹雪に心を奪われた・・・と。」
カミューラ「で、その片割れのペンダントは十代の持つペンダントと一つになって今は・・・ここのインテリアになり果てていると・・・」

 本来なら強力な守護の御守りなのだが、既にインテリアと化していた。

エヴァ「それにしても・・・あの仮面で素顔が判らんと言うのに、一目惚れか・・・傍から見たら厨二病全開の痛い奴にも見えると言うのに、酔狂な奴だな?」
凛「貴方がそれを言いますか・・・あまり、氷牙様を困らせないでくださいね?エヴァさん。」

 苦い顔をしながらエヴァをたしなめようとするが、それは右から左へ通り抜けていく。

サラ「皆さんの証言から、彼があの人である事は確かなのです。ですが・・・どうやら、そのダークネスとなっていた時やその直前の記憶があやふやになっていると・・・」

 自分の事を覚えていないという事実に、落ち込むサラ。これが、本当に墓守の暗殺者など、誰が信じるのだろうか?恋は人を変えると言う最たる例だろう・・・エヴァはエヴァで、文字通り性癖が変態したのだが汗

エヴァ「・・・・・・私に良い考えがある」
タニヤ「そこはかとなく、失敗する様な気がするな」
カミューラ「そうね。何か自爆する様なフラグ臭がするわね」
凛「どこかの司令官みたいに失敗する感じしかしないですね」

 物凄く嫌な予感しかしないのだが、他に誰も良い案が浮かばないので、とりあえず話を聞いてみる事に。

エヴァ「ようは、吹雪にサラの事を思い出させればいいのだろう?幸い、ダークネスだった時に受けた試練と言うのも、デュエル。そしてここはデュエルアカデミア。更に、デュエリストがやる事は、一つだけだ。丁度よく、其処のインテリアとなってしまった御守りとやらもあるのだ。当時の事を再現する事は・・・容易であろう?」

 エヴァの案とは・・・要約すればデュエル脳全開のデュエル万能説であった。

タニヤ「なるほど。思いを伝えるなら確かにデュエルは一番の手だな。」
カミューラ「デュエリストなら当然の帰結ね」
凛「デュエルで万事解決ですね」

 訂正。どうやらデュエル脳全開はデフォだったようだ。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.118 )
日時: 2017/02/02 23:39:45
名前: ミクニップ

一方場所は変わって、アカデミアの食堂にて。


ライ「警備員のサラさんについて教えてくれ…ですか?(もしゃもしゃ」
吹雪「そうそう」
焔「また唐突ですね?サラさんにナンパ吹っかける気ですか?(もしゃもしゃ」


それぞれ吹雪に奢ってもらった特選サンドイッチ詰め合わせと特盛りビフカツカレーをもしゃもしゃ喰いながら、サラの事を教えてくれと言って来た吹雪に、サラに成功するわけも無いナンパ吹っかけるモブルー男子連中を思い出して面倒臭そうな顔をするライと焔。


吹雪「いやそうじゃ無いさ。確かに僕は自他共に認めるイケメンだし、成績もデュエルも優秀だよ?」
ライ「それはまぁどうでもいいとして、何でサラさんの事が気になったんです?(もしゃもしゃ」
吹雪「うん。実はね…」


そう言って吹雪は困っていた彼女を善意で助けた事。そして彼女が自分の顔を見るなり慌てて走り去った事。そしてそんな彼女の様子をみて気になった為、前に十代達と一緒に彼女と話している所を見かけたので、何か知っているのではと思い、二人に声を掛けた事を話す。


ライ「おい。どう思うお前?(もしゃもしゃ」
焔「どうもこうも…。話を聞いた限りだと吹雪さんはサラさんの事を[知らない]が、サラさんは吹雪さんの事を[知っている]。普通なら実はサラさんがファンの一人で照れ隠しで逃げたのだと思うだろうが、絶対に違う。なら、答えは一つ(もしゃもしゃ」
ライ「ダークネスに体を乗っ取られていた時に会っていた…か」


ダークネスという単語を聞いてバツの悪そうな顔をする吹雪。そりゃあ本人がその時の記憶があやふやだったとはいえ、大事な妹やその友人達を傷つけたのだ。あんまり良い気はしないだろう。


ライ「ングッ…まぁ教えるだけなら実害も無いし別に構わないですけど。けど教えた後で何がしたいんですか?」
吹雪「え?うーんそうだなぁ…」


正直に言えば吹雪はその後の事は全く考えていなかった。ただ興味があったから。サラについて知りたかったから焔達に聞いただけであって、別に告白だとかそんな事は全く考えた事すらなかったのである。


焔「俺達的には教えた後で、周りに迷惑掛けないなら吹雪さんが何しようと勝手です。サラさんに告白しようが謝ろうが好きにすればいい。…けど、考えなしでやるのだけは絶対にやめといた方がいいと思っています。自分も相手も傷付けるだけだし(もしゃもしゃ」
吹雪「むぅ…。意外とキツイこと言うね君。何かちょっと偉そうだし」
焔「すみません。祖父の影響なのか、アドバイスする時たまーにこうなるんですよ」
吹雪「まぁいいさ。けど、留年してるけど僕も一応年上だから、そこんとこは理解してくれよ?」
ライ「だったら年上なら年上らしくもう少し自覚持ってもいいんじゃ無いですか?また明日香にどやされますよ?」
吹雪「ウグッ…それを言われると弱いなぁ…」


 優等生の癖に基本お調子者な為、更には長期にわたって失踪していた事もあってか明日香に対しては非常に頭が上がらない吹雪。


明日香「あ、此処にいたのね兄さん」
桃「あ、丁度良く焔とライもいたわ」


 野郎三人で会話している最中、やって来たのは焔の妹の桃と明日香である。


焔「ん?桃と明日香か。何か用か?」
桃「えぇ。実はついさっき、桃と暇潰しに融合召喚の事で色々話してたら、凛さんとタニヤさんとエヴァちゃんが吹雪さんを呼んできてほしいって頼まれて」
ライ「凛さんは兎も角タニヤやエヴァまで?何で?」
明日香「さぁ?何だか恋愛がどうのとか言ってたけれど」
焔「恋愛でその面子とか、碌な事が起きそうに無いんだが…」
ライ「そういうお前はどうなんだよ[黒髪美人好き]」


 一瞬。ライのそんな一言で場の空気が凍った。


焔「……………何の話かなぁライ君?」


 行き成りそんな事言いだしたライに対し、平静を装っているのかもしれないが、完全に動揺している事が丸わかりな程震えた声で聴きだそうとする焔。


ライ「ん?そのままの意味だろ。お前、和服の似合いそうなクールな黒髪の美人が好きなんじゃないのか?」
焔「待て待て待て待て。…その情報、一体どこで知った?」
ライ「風華からだ。前にお前の部屋に行った時に、お前が愛用している本棚の裏に何冊か写真集g」
焔「ぁぁぁぁっ!!!?」


 取り乱しながらもニヤニヤしながらばらそうとしたライに掴みかかり、そのまま取っ組み合いになる二人。


桃「焔…アンタ、そんな今時ギャルゲーでも出るのかわからない様なタイプが好きなのね」
焔「悪いかよ俺が黒髪美人好きで!?あぁそうだよ!ウチの女性陣黒髪の奴あんまりいないから、黒髪の美人とか新鮮で何か惹かれるんだよ!知的でクールなキャラとか好きなんだよヴァ―カ!!」


 完全に気が動転しているらしく、取っ組み合いしながら別に聞いていない事も言っている焔に呆れる桃。この後彼が自己嫌悪に陥るのも時間の問題だろう。


吹雪「…えっと。じゃあ僕は行くね?」
桃「あ、はい。取り敢えずお気をつけて。…ホラ焔。誰だって性癖の一つや二つ持ってるものだから、バラされた位で狼狽えないの!」
焔「うがぁあああああああああああああああああ!!!」


何だか収拾がつかなくなってきたので、そろそろ凛の所へ向かおうと食堂を後にする吹雪。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.119 )
日時: 2017/02/18 20:16:00
名前: カイナ

吹雪が凜に呼ばれた場所、それは以前タニヤが作り上げたコロセウムである。曰く「せっかくデュエルアカデミアの生徒が作ったんだ。もったいないだろう」ということでタニヤが開放、たまに体育の授業で気分を変えたい時などに使用しているらしい。

吹雪「すいませーん……凜先生?」

若干恐る恐る、という足取りで入りながら吹雪は凜を呼ぶ。しかし返答がなく、吹雪はきょろきょろと辺りを見回しながらコロセウムの奥に入る。そしてコロセウムの中心部、三沢と風華、タニヤが戦ったところに入った時だった。

タニヤ「遅かったな、天上院吹雪とやら!」
吹雪「うわっ!?」

待ち構えていたタニヤが雄叫びをあげ、そう思うと先ほど吹雪が入ってきた出入り口が岩のペイントが施されたシャッターで閉じられてしまう。中世モチーフのコロセウムも若干近代化が進んでいるようだ。

凜「来てくれてありがとうね、吹雪君」
吹雪「凜先生……一体なんのつもりなんでしょうか?」

続けて出てきた凜の言葉に吹雪が若干困った様子を見せる。

凜「ええ。あなたにはデュエルをしてほしいの」
吹雪「デュエル? はぁ……構いませんが……」

凜の言葉に吹雪は呆けた声を出しつつも、断る理由もないしまあそれぐらいなら別にいいか。と若干首を傾げながら了解する。

エヴァ「くく、確かに了解を聞いたぞ」

すると、コロセウムの影からエヴァがぴょこっと顔を出し、ニヤニヤと笑いながらそう答える。

吹雪「え?」
エヴァ「案ずるな、命までは取らん。ただ、少々荒療治になるだけだ」

エヴァはそう言い、上を見上げる。つられて吹雪も見上げると、そこには何故か宙づりにされたカイの姿があった。

吹雪「カイ君!?」
エヴァ「そら、デュエルエナジーとやらを解放しろ! 維持は私が手伝ってやる!」

カイ「急に連れてきて何かと思ったら……」

縄で宙づりにされているカイはぶつぶつ言いながらも何かの力を光の形で解放。それがデュエルディスクへと伝わり、カイがデュエルディスクのフィールドカードゾーンに一枚のカードを差し込むとコロセウムへと光が広がる。

吹雪「これは!?」

吹雪が気づいた時、辺りの風景が変貌する。中世のコロセウムそのものだった場所はピラミッドのような祭殿の中らしき場所に変貌していたのだ。自分は今そのピラミッドの一つの辺から突き出たでっぱりの上に乗っている形になる。その場所は高く、落ちたら一巻の終わりだと直感させた。

凜「あなたにはここでデュエルをしてもらいます……彼女とね」

凜の言葉で吹雪は気づく。自分の立つでっぱりのある辺の対辺側。そこも大きなでっぱりが突き出ており、その上に一人の黒ずくめのローブのような服を着た女性が立っている事に。

吹雪「づっ!?」

瞬間、吹雪は一瞬頭に痛みを感じ、うずくまる。そして頭の中にある光景がよぎっては消えていく。

吹雪「ここは……僕は、ここを知っている?……そして、誰かと戦った?……」

頭の中の風景にここと全く同じデュエル場のような風景がある。しかし、そこで戦ったのは目の前の女性ではなく、服装はよく似ていたがもっと年配の男性だったはず。

エヴァ「さあサラよ。お膳立てはここまでだ……後は自力でどうにかしてみせよ!」
サラ「は、はい!」

エヴァの号令を受け、吹雪と対面するように立つ女性――サラはこくんと頷いてデュエルディスクを構える。

吹雪「君が相手のようだね……分かった。全力でいこう!」

相手がサラだと気づいた吹雪も、彼女に対する謎の既視感の正体を掴めるかもしれない。と謎の頭痛をおして立ち上がり、デュエルディスクを構える。

吹雪・サラ「「デュエル!!!」」

そして、二人の声が重なり合った。

サラ「先攻はいただきます! 私のターン、ドロー! 私はモンスターをセットし、リバースカードを一枚セットしてターンを終了します!」手札四枚

先攻を取ったサラはモンスターを伏せカードを一枚ずつセットしてターンを終了する。

吹雪「僕のターン、ドロー!」

対する吹雪も凛々しい声でカードをドローし、手札を見る。

吹雪「僕は[黒竜の雛]を攻撃表示で召喚し、効果発動! このカードを墓地に送り、手札から[真紅眼の黒竜]を特殊召喚!!」
真紅眼の黒竜 攻撃力:2400

吹雪の場に現れた雛が成長し、真紅の瞳を宿す黒き竜が降臨する。

吹雪「バトルだ! 真紅眼の黒竜で守備モンスターを攻撃! ダーク・メガ・フレア!!」

指示を受け、黒竜の放った炎のブレスが守備モンスターを焼き尽くす。

サラ「守備モンスター[墓守の偵察者]のリバース効果を発動します! 自分のデッキから攻撃力1500以下の墓守一体を特殊召喚する! 私は[墓守の召喚師]を特殊召喚!」
墓守の召喚師 守備力:1500

しかしサラは新たなモンスターのリクルートに成功。防御を固める。

吹雪「……僕はリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」手札三枚

吹雪も相手の出方を伺うため、カードを一枚伏せてターンエンドを宣言した。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.120 )
日時: 2017/02/20 23:44:21
名前:

サラ「私のターン。ドロー!・・・私は、墓守の召喚師を墓地に送り、魔法カード『トランスターン』を発動。墓地に送ったモンスターと種族・属性が同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚します。よって、レベル4・闇属性・魔法使い族の・・・私自身『墓守の暗殺者』を特殊召喚!」

墓守の暗殺者 ATK:1500

吹雪「なっ!?サラさんが、2人!?」
サラ「続いて、墓地に送られた[墓守の召喚師]の効果発動!自分フィールドから墓地に送られた時、デッキから守備力1500以下の[墓守の]と名のついたモンスター1体を手札に加えます。」

 墓守の召喚師のサーチ効果は強制効果故に、タイミングを逃さない。サーチ出来るのは墓守のモンスターカードのみだが、一手間加える事で、別のカードを呼びこむ事も出来る。

サラ「私は、『墓守の司令官』をサーチし、そのまま手札から捨てて効果発動。デッキからフィールド魔法『王家の眠る谷−ネクロバレー』をサーチし、そのまま発動!」

 サラの発動したフィールド魔法により、周辺の地形が谷へと変貌する。

サラ「これにより、フィールドの[墓守]モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップします!そして、[暗殺者]をリリースして、『墓守の長』をアドバンス召喚します!そして、アドバンス召喚に成功した場合、墓地から[墓守の]と名のついたモンスター1体を特殊召喚出来る。この効果で、[墓守の暗殺者]を蘇生します!」手札4

墓守の長 ATK:1900→2400
墓守の暗殺者 ATK:1500→2000

吹雪「アレは・・・うぐっ!?」

 墓守の長を見た途端、吹雪は再び激しい頭痛に襲われた。

吹雪「・・・そ、うだ・・・あの時、僕は、墓守の、試練を・・・くっ・・・くっ!?」

 ふるふると頭を振ると、漸く頭痛が納まった吹雪。それに対し、サラは表情を悟られない為に、再びフードを被る。

サラ「ネクロバレーのもう一つの効果。お互いに墓地のカードを除外できず、墓地のカードへ及ぶ効果は無効化され、適用できません。」
吹雪「・・・だ、だけど・・・墓守の長が存在する事で、君の墓地はネクロバレーの効果を、受けない。」

 デュエルが進むにつれ・・・いや、サラが墓守カテゴリのカードを使う度に、吹雪の記憶が頭痛と共に蘇り始めた。

サラ「バトル!私は、私自身で、[真紅眼の黒竜]に攻撃!」
吹雪「暗殺者は・・・ネクロバレーが存在する時しか・・・効果が発動できない。その効果は、攻撃宣言時に相手の表側表示モンスターの、表示形式を変更する事ができる効果」

 頭を抑えながら吹雪は呼び起される記憶からサラの扱うカード効果を思い出して行く。

真紅眼の黒竜 ATK:2400→DEF2000

サラ「暗殺者の効果にチェーンして、罠発動!『マジシャンズ・サークル』!魔法使い族が攻撃宣言した時、お互いのプレイヤーはデッキから攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚します。私は、『墓守の巫女』を特殊召喚!そして、巫女の効果で[墓守]と名のついたモンスターの攻撃力・守備力は更に200ポイントアップします!」

墓守の巫女 ATK:1000→1700
墓守の長 ATK2400→2600
墓守の暗殺者 ATK:2000→2200

エヴァ「ほぉ・・・暗殺者で守備にして他の墓守で真紅眼を撃破する作戦かと思ったが、マジシャンズ・サークルで巫女を呼ぶ事で全体強化し、僅かに上回った暗殺者で真紅眼を撃破するか・・・墓守の巫女の弱い効果を見事に使いこなしているな・・・」

 例え、どんなに弱い効果でも、時としてバカにできない結果をもたらすのである。

吹雪「僕のデッキに、魔法使い族は入っていない。確認するかい?」
サラ「・・・いいえ。デュエルディスクがエラーを出していないので構いません。」

 互いのデッキに干渉する様な場合、その条件を満たしていない場合、相手のデッキを確認する事が出来る。不正を無くす為の一種の措置だ。一応、デュエルディスクにはそれらも処理してくれる装置は組み込まれているが、時々違法改造にっよって警報装置に細工するような輩も居る。だが、吹雪とて一流のデュエリスト。そんな不正は働かないので、サラも確認は不要とした。

吹雪「そうかい。では、続けてくれ」
サラ「では・・・墓守の巫女でダイレクトアタック!」
吹雪「ぐぅっ!?」LP4000→2300
サラ「墓守の長でトドメのダイレクトアタック!」
吹雪「流石にそれは通さない!罠発動!『ガード・ブロック』!相手ターンのダメージ計算時に発動でき、その戦闘ダメージを0にし、デッキから1枚ドローする!」手札4

サラ「私は、カードを2枚伏せて、ターンエンドです。」手札2
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.121 )
日時: 2017/02/25 15:31:47
名前: カイナ

吹雪「僕のターン、ドロー!」

叫び、勢いよくカードをドロー。ドローカードを見た吹雪はニヤリと笑うと手札の一枚をデュエルディスクへと差し込んだ。

吹雪「速攻魔法[サイクロン]を発動! 王家の眠る谷−ネクロバレーを破壊する!」

墓守デッキの基点、それは墓守を全体強化し墓地を封じ込めるフィールド魔法ネクロバレー。特に吹雪のような墓地からの大型モンスターの特殊召喚を軸とするデッキに対しては天敵とさえ言えるそのカードの破壊をまずは狙う。

サラ「そうはいきません! カウンター罠発動[ネクロバレーの王墓]! 私の場に王家の眠る谷−ネクロバレー及び墓守の民が存在する時に発動でき、相手の効果モンスターの効果・魔法・罠の発動を無効にし破壊する!!」

しかしサラはその上をいき、サイクロンを封じ込める。だがしかし、吹雪の口から笑みは消えていなかった。

吹雪「かかったね」
サラ「?」
吹雪「フィールド魔法を基点とするデッキの場合、破壊対策をしてあるのは当然。ネクロバレーは比較的サーチ手段が多いカードではあるがそれでも基点である以上無駄遣いは出来ない。このくらいは想定の範囲内さ」

怪訝な目をしたサラに対しウィンクをしながらそう答える吹雪。ぱっと見はお調子者のチャラ男だがあのカイザー亮と双璧を成すと謳われたキング吹雪。その知識と実力の一端を垣間見せていた。そして彼はウィンクをしていた優し気な目をすぐさま真剣なものに変貌させる。

吹雪「儀式魔法[高等儀式術]! デッキからレベル6の通常モンスター[メテオ・ドラゴン]とレベル2の通常モンスター[ギャラクシー・サーペント]を儀式の贄に、手札から[ロード・オブ・ザ・レッド]を儀式召喚]!!」
ロード・オブ・ザ・レッド 攻撃力:2400

吹雪の言葉と共に現れるのは真紅眼の黒竜を模した鎧を纏った戦士。わざわざ自分のメインカードを破壊出来るカードを囮にして呼び出したモンスターにサラは警戒を強めた。

吹雪「魔法カード[レッドアイズ・インサイト]を発動! 発動コストとしてデッキからレッドアイズモンスター[真紅眼の飛竜]を墓地に送り、デッキからレッドアイズ・インサイト以外のレッドアイズ魔法・罠カード一枚を手札に加える! そしてこの瞬間ロード・オブ・ザ・レッドの効果を発動! 一ターンに一度、自分または相手がロード・オブ・ザ・レッド以外の魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、フィールドの魔法・罠カード一枚を対象とし、そのカードを破壊する!!」
サラ「しまった……」
吹雪「今度こそ貰うよ。王家の眠る谷−ネクロバレーを破壊!!」

ロード・オブ・ザ・レッドから炎のようなオーラが放射状に放たれ、ネクロバレーを焼き尽くしフィールドが元のピラミッド型の建造物内部へと戻る。ネクロバレーが消えた事で墓守達の攻撃力もダウンした。

墓守の巫女 ATK:1700→1200
墓守の長 ATK2600→2100
墓守の暗殺者 ATK:2200→1700

吹雪「レッドアイズ・インサイトの効果で[真紅眼の鎧旋]を手札に加える。さあバトルだ! ロード・オブ・ザ・レッドで墓守の長を攻撃!!」

サラ「く……」LP4000→3700

ロード・オブ・ザ・レッドのステータスはバランスが取れているものの攻撃力自体は控えめ、下手にバンプアップカードを使われて攻撃力が上回る前に墓守の長を破壊する事を吹雪は選び攻撃を指示、ロード・オブ・ザ・レッドの炎を纏った右ストレートが墓守の長を粉砕、飛び散った火の粉がサラにもダメージを与えた。

吹雪「リバースカードを二枚セットしてエンドフェイズ。墓地の[真紅眼の飛竜]の効果を発動! 通常召喚を行っていない自分エンドフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のレッドアイズモンスター一体を特殊召喚する! この瞬間ロード・オブ・ザ・レッドの効果発動! 一ターンに一度、自分または相手がロード・オブ・ザ・レッド」以外の魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、フィールドのモンスター一体を対象とし、そのモンスターを破壊する! 墓守の巫女を破壊!」

サラ「っ……」
墓守の暗殺者 攻撃力:1700→1500

中途半端なバンプアップとはいえ、つい先ほどその中途半端なバンプアップの前に敗北しかけた吹雪は現状通常モンスターと同様の暗殺者は後回しにし、巫女の破壊を優先する。

吹雪「そして真紅眼の飛竜の効果により戻ってこい、[真紅眼の黒竜]!! これで僕はターンエンドだ」手札零枚
真紅眼の黒竜 攻撃力:2400

そして自らのフェイバリットカードの蘇生も果たし、ターンエンドを宣言した。

サラ「私のターン、ドロー!」
吹雪「またネクロバレーが発動される前に使っておくよ! リバースカードオープン[真紅眼の鎧旋]! 自分フィールドにレッドアイズモンスターが存在する場合、自分の墓地の通常モンスター一体を特殊召喚する! おいで、[メテオ・ドラゴン]!!」
メテオ・ドラゴン 守備力:2000

サラがカードをドローすると同時、吹雪はまた墓地が封じられる前に先ほどのターンにサーチしたカードを発動。先ほどのターンに墓地へ送った流星の力を宿す竜を蘇らせる。

サラ「ならば私は墓守の暗殺者をリリースし、[墓守の大神官]を召喚!!」
墓守の大神官 攻撃力:2000

カイ「レベル8のモンスターをモンスター一体のリリースで!?」

サラの呼び出した墓守の大神官の姿に観客となっているカイ(宙づり)が驚いたように声を上げる。

サラ「墓守の大神官はこのカードは墓守の民一体をリリースして召喚できる。さらにこのカードの攻撃力は、自分の墓地に眠る墓守の民の数×200ポイントアップする。私の墓地の墓守は六体、よって1200ポイント攻撃力がアップ!」
墓守の大神官 攻撃力:2000→3200

吹雪「参ったね。永続効果じゃロード・オブ・ザ・レッドの効果でカウンター出来ないか……」

墓守の大神官は上級モンスターレベルのリリース数で最上級モンスターレベルの攻撃力を獲得、吹雪もロード・オブ・ザ・レッドの効果の抜け道を突かれ、参ったような声を出す。

サラ「さらに手札から[拡散する波動]を発動! ライフ1000ポイントをコストに、墓守の大神官にこのターン全体攻撃の権利を与える! くうぅ……」LP3700→2700
吹雪「……ロード・オブ・ザ・レッドの効果発動! 墓守の大神官を破壊する!!」

しかしサラは魔法カードを発動し、吹雪もロード・オブ・ザ・レッドがいるのを分かっていて敢えて発動してきたサラに一瞬怪訝な目を見せながらも効果を発動、ロード・オブ・ザ・レッドが両手を近づけると炎の球を生成、それを一気に墓守の大神官へと放つ。

サラ「この瞬間墓守の大神官の永続効果を適用します! フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりに手札から墓守の民一体を捨てる事ができる。私は[墓守の長槍兵]を捨て、墓守の大神官の破壊を無効化する。これも永続効果のためロード・オブ・ザ・レッドの効果は発動できません!」
墓守の大神官 攻撃力:3200→3400
吹雪「上手くしのがれたか……」

墓守の長槍兵が魂となって大神官を守り、消滅。しかしその魂は大神官へと力を与える。

サラ「バトル! 墓守の大神官でロード・オブ・ザ・レッドに攻撃!!」
吹雪「ぐあああぁぁぁぁっ!!!」LP2300→1300

大神官の威光がロード・オブ・ザ・レッドを破壊、その余波が一気に吹雪のライフを削り彼が苦痛に悲鳴を上げる。

サラ「っ……凜先生、これ以上は――」

この場に充満するデュエルエナジーによって自分のカードの精霊としての力が無意識の内に増幅され、ダメージが実体化しているのかもしれない。これ以上は吹雪の身が危険だとサラは進言しようとする。

吹雪「続けるんだ! サラ!!」

しかしそれを吹雪が制した。

吹雪「もう少しだ……もう少しで、思い出せそうなんだ……頼む。続けてくれ、サラ」

やはりダメージが実体化しているのだろう。吹雪の顔に傷がついており、服も若干だがボロボロになっている。しかし吹雪は立ち上がり、未だ闘志の消えていない目でサラを見ていた。それを受け、心配そうな眼差しを向けていたサラも躊躇いの消えた顔になり、こくりと頷く。

サラ「墓守の大神官で真紅眼の黒竜を攻撃!!」
吹雪「ぐあああぁぁぁぁっ!!!」LP1300→300

サラ「さらにメテオ・ドラゴンに攻撃!!」
吹雪「くぅっ……」

真紅眼の黒竜と流星竜も大神官の威光によって破壊され、吹雪はどうにかライフポイントギリギリで踏みとどまる。

タニヤ「危ないところだったな……サラの墓地にあと一体でも墓守のモンスターがいたら敗北していたか……」

サラ「私はこれでターンエンドです」手札零枚

タニヤも吹雪が本当にギリギリで耐えたと評価し、サラはそのままターンエンドを宣言した。
Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第Y幕 ( No.122 )
日時: 2017/02/25 15:32:14
名前: カイナ

吹雪「僕の、ターンッ! ドロー!!」

吹雪も息絶え絶えになりながらカードをドロー。ドローカードを確認する。

吹雪(強欲な壺! まだ運は尽きていないか!)

引き当てたのはスタンダードなドロー加速カード。それに吹雪は心の中で笑みを浮かべつつ、しかし、と考えて目を閉じる。

吹雪(だが、このままでは彼女の事を思い出せない……そうだ。僕は彼女と何か……大切な、何かを……)

無意識に自分が思い出そうとしている記憶の事を思い出す。あともう少し、それでこの霞がかったもやもやとした記憶を思い出せそうな気がする。自分は何かの影響で墓守の世界へと迷い込み、墓守の試練として墓守の長と戦った。そこまではざっくりとだが思い出した。これ以上思い出すためのきっかけ、吹雪はそれを考える。

吹雪「そうか……あの時の僕にあって、今の僕にないもの……」

墓守の試練を戦っていた時にあり、今の自分にないものに吹雪は気づく。しかしそれは危険と隣り合わせ、だが、

吹雪「やるしかない!」

吹雪はカッと目を見開き、デュエルディスクにドローカードを差し込んだ。

吹雪「魔法カード[強欲な壺]を発動! カードを二枚ドロー!!」

勢いよく二枚のカードをドローする吹雪。その一枚のカードに闇が走り、そう思った瞬間吹雪の足元から黒いオーラが彼を包み込むように吹き出る。

凜「これは、まさか!?」

凜が驚いて声を上げ、同時に黒いオーラが止まる。しかしその時吹雪の服はそのオーラに染まり上がったような黒い服へと変貌していた。

吹雪「僕は魔法カード[黙する死者]を発動! 自分の墓地に存在する通常モンスター一体を守備表示で特殊召喚する! 戻れ、[真紅眼の黒竜]!!」
真紅眼の黒竜 守備力:2000

三度彼の場に現れる真紅眼の黒竜。

吹雪「そして、真紅眼の黒竜を生贄に捧げ――」

しかしその足元がひび割れたかと思うと真紅眼の黒竜が吹き出た炎へと包まれる。

吹雪「――現れろ、[真紅眼の闇竜]!!!」
真紅眼の闇竜 攻撃力:2400

そして闇に落ちた真紅眼の黒竜が吹き出た炎を吹き飛ばして咆哮した。

吹雪「真紅眼の闇竜は通常召喚できず、自分フィールド上に存在する真紅眼の黒竜一体をリリースした場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター一体につき300ポイントアップする。僕の墓地に存在するドラゴン族モンスターは黒竜の雛、メテオ・ドラゴン、ギャラクシー・サーペント、ロード・オブ・ザ・レッド、そして真紅眼の黒竜の五体、よって攻撃力は1500ポイントアップする!」
真紅眼の闇竜 攻撃力:2400→3900

墓地のドラゴンの力を吸収し、攻撃力を上げる真紅眼の闇竜。その攻撃力が墓守の大神官を上回った。

吹雪「バトルだ! 真紅眼の闇竜で墓守の大神官を攻撃!! ダークネス・ギガ・フレイム!!!」
サラ「きゃああっ!!」LP2700→2200

闇竜のブレスが大神官の威光をかき消して大神官を粉砕、サラへもダメージを与える。

吹雪「さらに真紅眼の鎧旋の効果で墓地から通常モンスター[真紅眼の黒竜]を特殊召喚! いけ、レッドアイズ! ダーク・メガ・フレア!!」
サラ「きゃあああぁぁぁぁっ!!」LP2200→0

さらに蘇った真紅眼の黒竜のブレスがサラを飲み込み、彼女のライフを0が示した。

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