Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.12 ) |
- 日時: 2008/03/20 19:08:00
- 名前: 栞
- 参照: http://www.geocities.jp/akatukiquartet
- ――――――――――『完全記憶能力』。
自分のちょっとした特技を、そう呼ばれたこともあっただろうか。 便利なもんだ、と今更ながら思う。 自分が追いかけてきたとある女が、どの道順をどう走っていったのか、性格に記憶に刻み込まれている。 逃げ込んだのは、この街に来て一日目に宿の主人から行かないほうが良いと言われた、無法者の集まる酒場。 「あーあ。これは本格的に関わることになりそうか…………?」 言葉とは裏腹に楽しそうに笑いながら、男は今走ってきた道を逆送し始めた。 スリ退治、もとい―――――魔物討伐の一行のもとへ。
「…………………え?」
縋る様に袖を掴まれ、センリが明らかに狼狽した様子で周囲を見る。
「えっと…どうしよう?」 「あたしに聞かないでよ」
とりあえず隣のフェローラに聞いてみるも、即座に跳ね返されて会話が終了。 どうしようかと視線を宙に泳がせていると、スィッタがひょい、とセンリの横へ顔を出す。
「ねぇキミ――――キリュウ君だっけ、大丈夫?」 会話と視線から察するに、白いフードの少年――――鬼柳に対してだろう。
「そ、そうですよ!出血が酷かったですし――――――病院に、」
萱田が賛同するように言うのを途中で押し留めるように、鬼柳はゆっくりと首を横に振った。
「大丈夫。…大分マシ。血、すぐに見つかればいいんだけど」
にこにこ笑いながら物騒な台詞を吐く少年。心なしかその表情は、口を歪めているようにも見えた。
「そう。――――――ならいいわね、行くわよ」
刹那がそう言って身を翻す。動作と同時に青みがかった黒髪が風に舞い揺れる。
「ねぇちょっとっ、まだ何者かも解ってないのにっ――――――――――」
慌てた様に言ったのはフェローラであったろうか。 歩き出した刹那に向かって言い出したが、それでも刹那は歩みを止めない。 6人が慌てて追いかけると、適当な路地に入った刹那の歩みが、急に止まった。 「え、どうしたんですか?何か――――――――――」 怪訝そうな顔をしたエリエットの問いが、止まる。 そこで彼らが見たのは――――――――――鮮やかな、緋色。 薄暗い路地の中でも、ひときわ鮮やかに見えるそれは、どうやら刹那の前方に立ちはだかる人物が身に纏っているものらしかった。
「こんにちは、魔物討伐御一行様――――いや、スリ退治御一行様、かな?」
薄笑いを浮かべて言うその言葉で、一同に緊張が走る。 人影が一歩踏み出す。緋色は首元に巻かれ、背丈からして若い男。 センリの手が、ゆっくりと柄に添えられた。
「成程…さっきの痛い視線は、貴方からも、って訳ね?」
男を睨み付けながら、フェローラが呟く。 鬼柳一人だけの視線なら、全員がはっきりと察するほどではなかっただろうと、誰もが疑問に思っていたのだ。 しかし付近に気配がなかった。…なら、視線の主はどこに?
「でも、視線は付近からは感じなかった…貴方、どこから…?」
エリエットが疑問を口にすると、男はああ、と笑って上を指差した。
「…屋根の上?」
にこにこと愛想の良い笑いを浮かべながら言う男に、刹那がいきなり手を上げた。 手に握られた銃口は、真っ直ぐに男の眉間を狙っている。
「盗み聞きなんて良い趣味してるのね。…何者なの?用件を言いなさい」
銃口を向けられてもなお、男は笑ったままだ。 怖いなぁ、と困ったように呟いて、男は言葉を口にする。
「ここの路地を出て右、三つ目の通りを左に曲がる。行った先の宿屋の角を右、突き当りの酒場の地下へ」
男がいきなり言い出した意味不明な言葉に、一同が沈黙する。 暫くしてから、怒気を含んだ声で刹那が呟く。
「…ふざけないで。貴方何が言いたいの?」 「…………………何って、そりゃ勿論―――――、スリの逃走先」
「…………!」
「おにいさん凄いね、覚えてるの?」 「ああ、記憶は得意だよ?………完全記憶能力、とか言われたっけか」 鬼柳が感心したように言って、男が笑う。 一同が瞠目して、やっと言葉を紡いだのは萱田だ。 「ほ…本当、なんですか…?」 「…………………勿論。君から財布を盗った人、追いかけてったんだけどな。 ――――――――因みに盗み聞きじゃないよ?君達声がすごい大きいから。 逃げ込んだ先の酒場って結構物騒な噂があるところって聞いたから、多勢に無勢もいかがなものと思って。 だから君達に協力してあげようと思ってさ。」 「協、力…………………?」 エリエットが言うと、男はそう、と頷く。 「そこの人は、この街の人だろ?…有名人らしいじゃないか。狩りの腕前やらで。 俺はここに来てそんなに日が経ってない。―――――――俺は各地を回ってる傭兵みたいなものだからね。 で、君に道案内して欲しいわけよ。道順は俺が覚えてるから」 『そこの人』『君』と呼ばれたのはセンリで、いきなり指名され戸惑いつつも頷いた。
「という訳で――――――――――仲間に入れてよ?」
奇妙な同行志望者が、またひとり。
―――――――――――――――――――― あわわわごめんなさい…! まだ期限大丈夫ですか!? 本当意味不明な登場の仕方でごめんなさい。 ってか鬼柳君あんな感じでいいのかなごめんなさい。 次の方お願いします!(逃走)
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.13 ) |
- 日時: 2008/03/25 17:55:13
- 名前: 絵瑠◆OMBM0w5yVFM
- 歌を歌っていた。
誰のために、何のために。 ……思い出せない。 でも、歌っていれば、何かを思い出せるような気がした。
アイ・ファウストにとって、一人で歌っている時間は至福の時だった。 観客の勝手な要求に左右されず、一人気ままに歌う。 「吟遊詩人」を自称する彼にとって、それは本当に楽しくてたまらない時間だったのだ。 そして今日も酒場の地下室を借りて、ギターマシンガン片手に、朧げな記憶の中の歌を歌う。 ……はずだった。
「……誰だ、オマエ」 そこには既に先客がいた。 今日は誰も来ないとマスターが言っていた、それなのに、だ。 何があったのかは知らないが、はぁはぁと息を切らしているその女。 手には明らかにふつりあいな財布。 「……スリか。」 女の肩がびくりと震えた。図星だ。 逆上してきて襲ってきたその女の首筋を、アイは軽くギターマシンガンで小突いた。 カク、と女の体が傾ぎ、そのまま意識を失う。 「……女相手にこういうことは、したくなかったのにな。」 とりあえずこれを持ち主に返さなければ。 そう思い、女の手から財布を取り、酒場から外に出た時。
アイの中の悪魔が、顔を出してきたような気がした。
-------- ちょっと皆さんのキャラが把握できてないのでアイだけにしちゃいましたごめんなさい……! っちゅーか、何が言いたいのか全くわからない(汗) とりあえずアイは女から奪った財布をそのままいただいちゃおうとしてるってことで!(ぇ 桜ちゃん、やりずらくてホントごめん↓ よろしくお願いします!
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.14 ) |
- 日時: 2008/04/01 00:49:28
- 名前: 桜
- 参照: http://mist26.jugem.jp/
地下室から上がろうと、隠し階段へと続くドアにアイが手を掛けた瞬間だった。 カタリ、という物音と右肩をぐいと背後へ引かれる感触。 反射的に目をやると、なんとも信じがたい光景がそこにあった。
手が自分の肩を掴んでいる。
それも、手首の本体が無い。 つまり手首はそれのみで意思を持ったようにアイの肩を掴んで離さない。
「………どういう真似だ?」 「その質問、そっくりそのまま返させて貰うぜ」
声がしたかと思うと直後に、地下室の天井板が扉のように開く。 そこから目に刺さるような赤い色の髪をした青年が床に降り立った。 そしてそのまま言葉を続ける。
「それ、お前のじゃないだろ」 「……何の話だ」 「堂々とすっとぼけやがって…」 「だいたいオマエこそ天井裏で何をやっていた?」 「話を逸らすな。その財布、持ち主に返すんだろうな」
辺りを沈黙が包んだ。 二つずつの紅い瞳がお互いを探るように対峙する。
「…………指図される筋合いは無いな」 「…、そうかよ」
手首が肩から離れ、右手に掴まれた財布を狙う。 アイは無駄のない動きでそれを避ける。 金色の髪が小さく揺れる。
互いに、たった一つの財布を巡って、正義や何か確固たる意志をもって動いているわけではないようだった。 相手に対する、ちょっとした好奇心と、反抗心。 知りたいという気持ちの歪み。
篝雪人は、単なる音楽家では無さそうなアイの体裁きに目を眇めた。 同志となる者か、はたまた。
“魔物退治”とやらに大きく近づいたのを悟った。
***
「ここで間違いないのね?」 「……ああ」
刹那が尋ね、男が返事をした。 なかなか洒落た酒場である。 物語の序章を飾るにはもってこい、そんな雰囲気を醸し出している。
「な、なんかすみません…、たかがスリなんかにこんな…」 「…水臭いなぁ。ていうか本番これからだよ?」 「本番………。」
センリは本番、というスィッタの言い草に少し違和感を覚えたが敢えて言葉を飲み込んだ。 何と言うか、スリ退治という時点でまだなにも始まっちゃいないような、そうでもないような。
個性的な8人が酒場の中へ入り、マスターには目もくれずに一直線に地下へと向かう。 一人、隅のほうの席で葡萄酒の入ったグラスを傾けていた者の一瞥を受けながら。
入り口から普通に入って、普通に酒を飲んで帰るだけの人間には知りえない扉がある。 これがこの酒場を物騒な噂が飛び交う場所となる所以だったりする。 間接照明しか取り付けられていない階段は広いが薄暗かった。 そもそも明るくする必要がない。夜目のきくであろう者達しか寄せ付けない為だ。 緩やかなカーブに差し掛かった所で、8人に一種の緊張が走った。
「…誰か、いる」
フェローラがぽつりと零した。
「…………用心して進みましょう」
エリエットがそう言い、暫くの後、階段の終わりに辿りついた。
「…準備はいい?」 「ガツンといくんだよ、おデコくん」 「え、がつん…?」
全員が身構え、刹那が地下室の扉を開け放った。 瞬間、何か小さな物体がこちらを目掛けて迫ってくる。
「…ぅ、わっ」
スィッタに軽く小突かれて前に出た萱田が、驚きの声を上げつつも飛来物を細剣で跳ね除けた。 弾かれて床近くまで下降したそれを鬼柳がキャッチする。
「…手首だ」 「……え?」 「手首が飛んできたよ、ほら」
鬼柳は造作もなくその手首、とやらを屈んだセンリの顔に近づける。 センリは何か死体的なものじゃないだろうな、と嫌な予感を過ぎらせながらそれを注視した。
「…人形……?」
よくよく見ると手首の全ての間接の中に球体が埋まっていて、動きを滑らかにさせているようだ。 センリが節々にちらつく透明な蜘蛛の糸のようなものに気付くか気付かないか、というときに声が掛かった。
「…悪い、それ俺の」
視線を下げて人形の手首を凝視するセンリと鬼柳の頭上に影が落ちる。
「あ、……はぁ」 「あなたがこれ作ったの?」 「まぁそんなところだな」 「…ちょっと待って下さい」
センリと鬼柳が、地下室にいた赤髪の青年と打ち解けそうになっていたところを、エリエットが静かに制した。
「貴方…、いえ、あなた方は一体こんな所で何を?」
地上からやってきた一同がそうだ、というように青年とアイと、机の上に寝かされた女性を見る。
「…………教育的指導?」 「……オレに振るな」
青年の視線を避けるようにアイは顔を背けた。 その手に萱田の財布を手にしたまま。
「あ…、それは私のっ……!」
手首が飛んできたり打ち解けそうになったり、という混沌とした雰囲気に飲まれていた萱田がハッとして声を上げる。
「…お前のだったのか」 「そうなんです!町でスリにあってしまって……」
萱田は細剣を収めると足早に青年とアイの方へ駆け寄った。 女性の方を見、複雑そうな表情になる。
「あなた達がこの人から取り返してくれたんですか?」 「…や、俺は違うよ。この人が取り返したみたいだぜ」
すんなり返すつもりがあったのかどうかは怪しいけどな、と心の中で付け加える。
「えと…とにかくありがとございます、これで私は…………ってアレ?」
礼を言いながらアイから財布を受け取ろうとした萱田が目を見張る。 無理もない。 アイは財布をひょいと萱田の手の前から避けたのだ。 一同が呆気に取られる。
「………あ、のー…」
ニヤ、と楽しそうに笑ってから、たっぷり間をおいてアイは萱田の手に財布を持たせた。
「……剣捌き、なかなかだった。もう盗られんなよ?」 「………………どうも」
スリ退治というより財布奪還がついに成功した瞬間だった。 地下室が心なしか柔らかい雰囲気に包まれたのも束の間、刹那が鋭く言葉を発した。
「…お前達、何者だ」
アイが再びにやりと笑う。 答える気があるのかないのか、正体と共に曖昧にさせる表情だ。
「吟遊詩人…、アイ・ファウスト。よろしくするかどうかは分からないけど」
萱田が再びぎょっと肩を僅かに震わせ、地下室の雰囲気が張り詰めた。 赤髪の青年が構わず口を開いた。
「…名乗ってなかったな」
掴んでいる手首、人形のような指たちがガクリと音を立てて、糸が切れたかのように下を向いた。
「俺の名は篝 雪人。 魔族と戦いに来た。」
----- な、なんかやたら長くなっちゃったような…。汗 とりあえず出ているキャラさんたち全員喋らせるっていう目的を果たせました……きっと(そこなのか) 心残りはエルティさんが名乗る機会を作れなかったこと…あああ〜…。 …というわけで、トップバッターのGardにバトンタッチしまっす!よろしくお願いしますっ。
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.15 ) |
- 日時: 2008/04/04 16:12:28
- 名前: Gard
- 参照: http://watari.kitunebi.com/
- ――――――――魔族と戦いに来た。
つまるところ、同じ志の人間がここにもいたわけだ、と雪人の言葉を聞いた今その場にいる人間の内、少なくとも四名はそう思っただろう。 何故かスリ退治がメインのように思えてしまったが、実際それは単なる親切心から始まったサブイベントの筈である。否、そうであった筈なのだ。 まるで何かに引き寄せられるかのように、ここにいる者達は集まった。 切っ掛けはスィッタという青年とセンリという少年が魔族退治の話をしていたことだろうか。それとも、女性の悲鳴が響き渡ったことだろうか。 どちらにしても、こうして集まった人々は徒者ではないだろう。そして、これはただの偶然では、無い。 何故かそう思ってしまったエリエットは、知らず知らず全員を見渡せる位置で観察を始めようとしていた。師の言った言葉の意味がわかるかもしれない。そのヒントが今ここに存在しているかもしれない。そんな考えが根底にあるのだろう。 そんなエリエットの前で、「完全記憶能力」を持つという男――――外見で判断するならば、青年と言っていいだろう――――が自己紹介を終えた。彼はエルティ・ベルシュタットと言うらしい。 「それで、これからどうするのかな?」 くり、と首を傾げてスィッタが萱田を見る。 「とりあえず財布が戻ってきたので…………お金のことを考えようかと」 「だったらさぁ、オレ達と一緒に行かない?」 「…………え?」 溜息混じりで呟いた萱田がスィッタの言葉にきょとん、と目を丸くした。 願ってもない言葉なのだろう。願ってもない言葉ではあるのだが、どうしてその言葉が自分に掛けられたのか解らない、と言った顔をしている。 それを読み取ったらしいスィッタは、簡単な話だよ、と口を開く。 「さっき手首が飛んできた時さ」 「ああ、雪人って人の人形の?」 「そうそう」 刹那の言葉に頷き、更にスィッタは続ける。 「アイちゃんが言ってたでしょ。剣捌きがなかなかだったって」 魔族退治なんだから、少しでも腕利きがいた方がいいと思って。 そう締め括ったスィッタに萱田は暫くぽかんとしていたが、声を掛けてもらえると言うことは自信を持っていいのだろうか、という考えに至り、ぺこり、と頭を下げることにした。 「よろしくお願い、」 けれどそれは全て言いきることは出来ず。 「俺は男だ。ちゃん付けするな」 というアイの言葉で中途半端に途切れることとなった。 更に運が悪いことに、 「え! アイちゃんって男だったのっ? ごめん、じゃあアイくんだね」 「同じようなこと、私にもしてましたよね」 「エリエットも女の子扱いされたの? 外見だけで判断してる所為ね」 「うーん、二人とも可愛いから仕方ないと思ってよ、フェローラちゃん」 と会話が流れていってしまったために、改めて挨拶をする機会を逃す羽目になってしまった。 はぁ、と溜息を吐く萱田の横、貧血で辛いのか鬼柳がセンリの服を掴みながら俯き加減で黙ったまま立っている。彼に気を使っているのか、センリは先程から何も言わず、動かずに立ち尽くしている。 会話から抜け出て改めてそんな一同を見回したエリエットは、誰にも気付かれないように小さく溜息を吐き出した。 その心境は恐らく、「大丈夫だろうか、この集団」といったところであろう。 目的を同じくする者、成り行き上、といった感じで付いてくる者、よろしくするかどうかわからない等と言う者。個性豊かでまとまりに今ひとつ欠けるメンバーでは誰もが一度はそう思うはずだ。 ふと、雪人が動いた。 そちらに目を向ければ、どこから出したのかロープをその手に持っていて、机の上に未だ寝かされたままの女性に近付いていく。 「とりあえず、こいつ、自治組織に渡した方がいいか?」 雪人の言葉は誰かに向かって投げかけられたわけではない。強いて言うならば、その場にいる全員に向かって投げかけられたものである。 けれど自然、全員の視線がセンリへと向いた。 ボーッとしていたのか、数拍遅れてその視線に気付くと、はしり、とセンリは瞬いた。 「…………なんでオレを見ているんだ?」 「だって君、この街の人だろ? 地理に詳しく、かつ、自治組織の場所も知ってるはずだし」 エルティの言葉に、その場にいた全員が同意し、頷いた。当事者であるセンリですら、納得したように頷いている。 「解った。じゃあ早くここから出ようか。そろそろ見回りの時間だし、詰め所、いなくなってるかも」 そして踵を返そうとし、けれど服を掴んでいる鬼柳を思い出して一旦足を止めると、大丈夫かどうか聞いてから再び歩き出した。 「近道するから、はぐれると迷うと思う」 普通に行くと時間掛かると思うから。 その言葉に、恐らく全員がセンリを見失わないようにしよう、と思ったはずだ。
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み、短い……! んで殆ど進んでない……! とりあえず、出ているキャラの名前を一度は書こう、と意気込んだはいいものの、読み辛くなっちまったぃ。 次は玲、よろしく!(こいつ投げた!)
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.16 ) |
- 日時: 2008/04/05 00:29:35
- 名前: 玲
- 何度目のことか、センリは再び頭を悩ませていた。
早く行かなければ詰め所が閉まってしまうのは確か。ならば走るかしてでも急げばいい……のだが。 「……」 ちらりと、会った時からずっと自分の服を掴んで離さない幼い少年を見た。 血が逃げたとか言っていたか。いまいち意味を理解しかねるが、苦しそうにしているあたり無理矢理引き剥がすのも可哀想だ。だとすれば、 「え……?」 不意に、ひょいっと身体を持ち上げられた鬼柳は驚きの声を上げた。 そのまま背中へと移動させられ、面を食らったような表情をしているとセンリが口を開く。 「詰め所まで背負っていくけど、いいかな」 嫌なら下ろすけど、と言われ、断る理由もなかった鬼柳は素直に頷いた。 「ありがとう」 今までどこか薄気味悪かった微笑みが、天使のような愛らしいものへと変わった。 鬼柳がしっかりしがみついたのを確認すると、センリは今までゆっくりだった歩調を改め地面を蹴った。 仮にも魔物胎児を志願してきた者たち――腕には自信があるだろうから、走ってもついてきてくれると思ったのだ。 「ちょ……急に走んじゃないわよ!」 後ろから怒声が聞こえたので少しスピードを落として様子を窺う。 視線の先では片腕を振り上げて憤るフェローラを先頭に列を成して全員ついてきているようだった。 ――大丈夫か 安心して前に向き直った瞬間、 「んぶっ」 壁に衝突した。 赤くなった鼻を擦り、同時に背負っていた鬼柳の身を案じたがどうやら無事のようで。 「ほら、後ろ見ながら走ったりするからそんなことになるのよ」 すぐ近くでフェローラの呆れた声が聞こえた。 「それはあんたが大きい声を出すから……」 「何、あたしの所為だって言いたいわけ?」 「そういうわけじゃ」 じゃあどういうわけよ、と続ける彼女に相応の対応をしていると後ろの方でスィッタが笑い声を上げる。 「あはは、痴話喧嘩みたいだねー」 どうやら隣のエリエットに話しかけている様子。 そう、そんなに大きな声で言ったわけではないのに、フェローラの耳にはしっかり聞こえていたようで。 「誰が痴話喧嘩よ!」 軽く叱咤されたが本人は全然反省する気がないようだ。にこやかな笑顔で彼女とやりとりしている。 「成程、確かに近道と言える道だな」 いつの間に隣に来ていたのだろう、雪人が壁に手をついて言った。 彼の視線を辿ると薄暗い小道が目に留まる。 「ああ、そこを抜けて右に曲がり真ん中の道を下って右に行き十字路で左を選び右に注意していればすぐだから」 「……それってすぐじゃありませんよね」 全員が思ったであろう感想を萱田が代表して述べた。 「そうか?」 どこまで天然なんだと周りが突っ込む前にセンリは小道に足を踏み入れていた。 「またあなたはっ」 文句を言いながらフェローラが後に続く。 小道の入口にはスィッタが立っていて「レディファーストー」と笑顔で誘導している。 「だからレディじゃないって……」 「一緒一緒。ほら、早くしないとホワイトくん見失っちゃうよー」 「……」 不本意ながらアイが小道に入る。それに萱田も続き、残ったのは雪人とスィッタだけとなった。 「じゃ、オレたちも行こっか」 先に雪人が入り後にスィッタが続く……はずだったのだが、 「――――」 ふと足を止めるスィッタ。何か感じたのか、くるっと後ろを振り向き辺りを見渡した。 「……あれ?」 何もないことを確認し、気のせいかと視線を戻そうとした時、 「…………」 そこには片目がとれかかった歪な兎のぬいぐるみが落ちている。 行く人行く人に踏み潰されて何か可哀想だったので、スィッタは兎のぬいぐるみを拾い上げ埃を払った。 ――誰かの落し物かな そう思った瞬間、服の裾を引っ張られる感覚がしてゆっくり身体を回すと、鬼柳と同じか若しくはもっと幼い少女が俯き加減に立っている。 「……それ」 年相応の、けれど感情のこもらない声がした。 どうやら目の前の少女が喋っているようで――まさかまた男じゃないよなとかそんなことを思いながら兎を少女の手元に置いた。 「はい、キミのなのかな?」 少女は無言で兎のぬいぐるみを受け取ると顔も上げずに人混みへと紛れていった。 「もう落としちゃ駄目だよー」 笑顔でぶんぶん手を振りながら走り行く少女に声をかけるスィッタ。 その時、揺れる少女の髪の隙間に微かな光が映った。 「え……」 刹那、スィッタの顔から笑顔が消える。 自然と足が地面を蹴り上げ、一度は見送った少女を追おうとしていた。……が、 「おい」 後ろから肩を掴まれた。振り向くと雪人が冷戦状態の某国のような表情で立っている。 「何してんだよ、皆もう行っちまったぜ」 「あ……」 雪人の姿を確認し、もう一度少女の走り去った方向を見た。 ――いない…… いつもらしかぬ表情のスィッタを見て雪人は眉を顰めた。 「何かあったのか」 「んー……なんでもない。ごめんね、行こっか。……あ」 「今度はなんだ」 「道、覚えてないんだけど」 あははーと微笑を向けてくるスィッタに半分呆れ、雪人は親指を立てて後ろを指した。 「そうだと思ってこいつ、連れて来た」 彼が指し示す方に視線を合わせて辿り着いたのは、 「どうもー」 笑顔のエルティさん。
「……ちょっと」 先程からしきりに後ろを振り向いていた刹那が立ち止まって言った。 「どうしました?」 「後方、ついてきてないんじゃない?」 刹那の言葉にエリエットが後ろを確認すると、 「……ワオ」 明らかに人数が足りない。 一人ひとり顔を確認するとスィッタ、雪人、エルティの三人がいないことが解った。 「手間掛けさせてくれるわね」 苛立たしげに呟く刹那の忌々しそうな声が、薄暗い路地に溶け込んでいった――。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
んぎゅおあぁぁぁぁぁぁあああ!!(黙れ え、なんかごめんなさい。無駄に会話文多くなっちゃった★ …って、自信もって言うことじゃない。 私も目標全員出す!だったんですけど、あれ、皆出てます?(おい 性格とか口調とか「ちょちげーよバロー」ってものがあったら遠慮なくご指摘下さいっ。 ではでは、お次は羅菜だよ〜w よろしく!
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.17 ) |
- 日時: 2008/04/07 14:58:59
- 名前: 三谷羅菜
- 「で、どうすんのよ?」
ため息を一つついた後に、苛立ちを隠しもせずに睨み付けて来るフェローラの視線をまともに受けて、センリは息を呑んだ。それはオレが知りたい、と助けを求めるように残った面々の顔を見るが、気まずそうに視線を逸らされるか、肩を竦めて苦笑されるだけで終わった。 助け舟を出してくれたのは、背中の鬼柳だった。 「こうゆう時って、誰かが残って待ってた方が良いんじゃないかな……?」 「そうですね。全員で待ってたら、間に合わないかもだし」 萱田がうんうんと何度も頷いて、その案に賛成した。反対意見は特に出なかったので、次は誰が残ることになるか、が話題になる。 「とりあえずそこの人はないよな」 「え? オレ?」 「他じゃ道わからないだろう?」 「右に曲がって真ん中の道を下って右に行き十字路で左を選び右に注意していればすぐだよ?」 「それすぐじゃない。それに途中で迷ったらどうするんだよ」 アイにばっさりと言い切られ、センリは口をつぐんだ。先に行くのはセンリ、では残るのは―――― 「でも残るほうも、道がわからないから追いつけるとは限らないわよね」 「ああ、それでしたら」 ぽつりと呟くように言った刹那に、エリエットが何かを渡した。萱田、フェローラ、アイ、鬼柳、最後にセンリにそれを渡す。 それは、小さな水晶だった。これでどうするんだと、首を傾げて眺めていると、エリエットが得意げに説明してくる。 「魔術的な力を込めた水晶です。離れていてもこれを持っていれば、他の人と連絡が取れるんですよ」 一緒に行動する事になりましたから、そのうち渡そうと思っておりまして、とにっこり笑って続けた後、エリエットは告げた。 「後の三人にも、渡さなければなりませんから。私がここに残ります。迷子になったら、センリさん、貴方に連絡しますね」
☆☆☆ 全員出すのを目標〜のつもりが、置いていかれた組の皆さんを書けずに断念。 そして変なものを皆さんに配ってしまいました。てへっ☆(殴 涼様! またまた続けにくい書き方で本当に申し訳ありません(土下座)。 次よろしくお願いします(脱兎)。
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.18 ) |
- 日時: 2008/04/08 01:40:01
- 名前: 涼
- 参照: http://green.ap.teacup.com/ryou/
- 「あ、次こっちですよ。」
先頭に立ったエルティは曲がり角で一度立ち止まって振り返り、右を指した。 また、進むエルティに素直に付いて行く二人。
「全く。迷うかもしれないと言われた矢先に……」 ため息混じりに放った雪人に、スィッタは優しく肩をたたく。 「まぁまぁ、彼がいてくれたんだし結果オーライってヤツ?」 「全然、よくない。というか、それって普通お前がかける言葉か?」 すっぱりと切り捨てるような言い方だが、どこか冷たいやり取りに聞こえないエルティは小さく笑う。 笑った時に下を向いた顔がふっと上がり、立ち止まった。
「どうした?」 「えっと、ここまでみたいだね。俺の記憶ではここで前方と別れたかと。」 まだ前方には追いついていない。という事はここからは道が分からない…という事か。 これで、また再び会えるのだろうか……。 誰が言うとでもなく、多少の不安が各々の胸をかすめる。
ぽんっと軽く手を叩く音に、二人はスィッタの方を振り向いた。 「こういう時は、動かない方がいいんだよ? ほら、迷子になったら誰かが探してくれるまで待てっていうじゃない? 入れ違いになると困るからさ。」 雪人は静かに首をふる。 「道が分かる奴が少ないなかで、探してくれるとも限らない。」 「…どうする?」
エルティから投げ掛けられた言葉を受け取り、少し考えて雪人は慎重に答えを出した。 「……進もう。幸い、エルティがいるんだ。 先に進んで、もし間違った道を選んだとしてもここまで帰ってこれるだろう。」
雪人は辺りを見回す。 近くで音は立たないが、おそらく迷った俺等を置いていくような人達ではないだろう。 近くにいるか、あるいは何か印を付けて正しい道を教えてくれる………はずだ。
「…じゃぁ、行く?」 エルティの求めた確認に雪人、スィッタは頷いた。 そしてまた三人は前へ進むべく、薄暗い道の上を歩き出した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− うひゃぁ〜〜〜!! 文才の無い自分が恥ずかしいっす…… 「キャラ違うし!!」等等ありましたらびしばし言って下さい! 素敵なアイテムが出たにも関わらず、動かすことが出来なかった…… しかも今回後方組onlyで皆さんのキャラを動かすことが出来なかったよぅ(泣) いやはや、しかし! 私の後に書いて下さる凛華さんが、何とかフォローしてくれると見た☆(ぉぃ) よろしくお願いしますっ!!(逃亡)
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.19 ) |
- 日時: 2008/04/20 01:14:00
- 名前: 凛華
- 魔族とか人間とか。
そんなの自分にとってはどうでも良かった。 そう、ずっと昔から。 今でも、そう思ってる。 だから……
「なんだかヘンな奴等がいるなぁ」 青い空を背景に、金色の髪とん長いマフラーが風に靡いている。 この街で一番高い屋根の上を陣取ったウィルドは、街を見下ろしながら口の端を吊り上げた。 「なーんか面白そうな事になってんじゃん」 そう言って、ウィルドは天を仰いだ。 もうすぐ日が暮れる。 夜までの間、もてあました時間を潰すには、いい戯れかも知れない。 「よっしゃ、俺も混ざるか!」 コバルトブルーの瞳を嬉々と輝かせながら。 ウィルドは、屋根の縁を蹴って下へ飛び降りた。
「じゃあ、エリエットさん、お願いします」 エリエットの機転に感謝しつつ、センリは渡された水晶玉を懐へ忍ばせた。 この水晶玉についてもエリエット自身についても利いてみたい事は山ほどあったが、今は時間が惜しい。 もし本当にこれから先一緒に行くとしたら、そっちの方はいつでも聞く事ができるだろう。 「それじゃあ、僕達は3人を探しに行こう」 「ちょっと待って」 今すぐにでも駆け出したい衝動を抑えつつ振り返ったセンリに、制止の声が掛かった。 何事かと視線を向ければ、フェローラが僅かに眉間に皺を寄せていた。 「その子を歩き回らせるのはどうかしら。危険では?」 「その子……」 フェローラの視線の先。 その子、が誰なのかを察して、センリはああ、と声を漏らした。 真っ青な顔をして、血を探しているという少年、鬼柳、だ。 センリは少しの逡巡の後、エリエットに振り返った。 「エリエット、鬼柳も残して行っていいかな。この状態で歩き回らせるのはちょっと、心配なんだ」 「もちろんです。では、2人でここでまっていましょう」 「……お気遣い、どうも」 いや、と鬼柳に声を掛けて置いて、今度こそ探しに聞こうとセンリが足を踏み出したその時。 「あれ、なんだ……?」 太陽の光を遮るものを感じて、アイが不意に天を仰いだ。 それに吊られるようにして、すぐ隣にいた萱田も天を仰ぐ。 次の瞬間、2人して息を呑んだ。 「危な……っ」 声を漏らすや否や、2人して地を蹴って両脇へ飛び退いた。 何が起こったのかと目を剥いた残りの5人の目の前に、突然砂埃が立ち上る。 「ちょ……一体……」 砂から目を守りつつ、なんとか声を上げたのは刹那だった。 それに対する返答はもちろん、望めなかったが。 その場の誰もが砂埃の中心に目を凝らす中、砂煙の中で、ゆらり、と影が躍った。 段々と砂煙が晴れて明瞭になる視界。 吹いてきた風に掻き消されるようにして横に凪いだ砂煙の、その中心には。 「……男の子……?」 口から零れ落ちた、と言った程度の呟きが、刹那の唇から漏れた。 眩しいほどの金色の癖毛に、コバルトブルーの瞳。 まだどこか幼ささえ窺えるその影の主はまさに、男の子、だった。 「あー失敗失敗。ちょっとここ、砂利だったね」 けむいったらありゃしない、と7人そっちのけで、その少年はぱんぱん、と自身の衣服を叩いた。 次いで、すいと顔を上げると、7人の顔をそれぞれ、見回した。 「えーとはじめまして? みなさん。お困りのようなので、助っ人に参上いたしました!……ってぇ感じかな?」 あっけからんと言ったその言葉に、思わず全員が目を瞬かせた。 助っ人もなにも。 なんなんだ、こいつは。 「あー、ミナサンの考えてる事は大方予想がつくけどよ。まぁなんだ、俺様が善意で力を貸してやろーかな、って。知ってるぜ、俺。あんたたちの、お仲間の居場所」 「本当か!?」 思わず、センリが声を上げた。 もしこれが本当だとしたら、願ってもないことだ。 「ああ、もちろん。俺はずっと屋根の上にいたからな。動向はぜーんぶ見てたぜ。あんたたち何かと目立つからなぁ!」 「じゃあ、それで今3人は一体何処にいるのよ?」 詰め寄ったフェローラに、少年はちちち、と指を振った。 「残念ながらオジョ―サン、この世には対価交換という摂理が存在していてね。ただじゃぁ教えられないかな」 「どうすれば教えてもらえるんだ!?」 センリが、焦ったように横から割り込んだ。 早くしなければ、本当に今日中にこの街を出るのが不可能になってしまう。 そんなセンリを面白そうに見つめて、少年はおもむろに、ぐいと顔を近づけた。 「そーだなぁ。あんたらの情報、ってのはどーよ」 センリの目の前で、すいとコバルトブルーの瞳が細められる。 「あんたら、何かしようってんだろ?残念ながら屋根の上からじゃ流石に詳しいことはわからなくてな。それはちと、教えてくれねーかい」
▲▽▲▽▲▽▲▽▲ 遅れた上にこんなのですいません; とりあえず自分、キャラをまだ出していない事に気が付いたので← 無理矢理出してみちゃいましたー…… ちなみに、後半に出てきた少年はウィルドのことなんで! 魔族ってことを明かすかどうかは、後々の方にお任せします(ぇ つなげにくいところで本当に申し訳ないです; 春歌、次頑張って!! 居残り組(?)の3人を出せなくて、本当に申し訳ありません↓↓
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.20 ) |
- 日時: 2008/05/05 21:12:07
- 名前: そら
- 参照: http://yaplog.jp/sora_nyanko/
- 「ちょっと待ちなさいよ、そんなことを知ってどうするつもり? あなたに何の得があるのよ?」
訝しそうに少年を見据えて、フェローラが口を出した。 その口ぶりからは明らかに少年を警戒している様子が窺える。 少年はセンリからほんの少し顔を離し、馬鹿にするようにも聞こえる態度でさらりと答えた。 「そんなの面白そうだからに決まってんじゃん」 「どこがだ、少しも面白くなんかない」 センリは眉間にシワを寄せながらも、数歩後退って少年と距離を置こうとする。 しかし少年は再びセンリに顔を寄せた。 「あっそう。でもさぁ、お仲間さんと合流できない方がもっと面白くないんじゃない?」 それはご尤も、ともいえることだが。 「……別にいいんじゃないのか、大したことじゃないだろ」 渋る様子のセンリを見て、アイが口を挟む。 誰かに向かって言ったというよりは、どこでもない空中に呟いたような幾分か適当な口調だった。 「え……大したことじゃないんでしょうか、魔物退治って」 萱田がボソリと呟く。 すると、突然後ろから両肩に重さが加わり、ひっくり返りそうになったところを何とか持ちこたえた。 ずいぶんと格好の悪いポーズになってしまったが……。 「い、いきなり何ですか!」 「へーえっ、あんたら魔物退治するんだ?」 萱田にのし掛かるようにして、少年がにやりと笑んだ。 特に出し惜しみをしていたわけではなかったのだが、……。 「っ何故それを……!」 「……普通は気づくでしょ」 漫才でいうツッコミにあたる刹那の言葉にも、萱田はまだ意味がわからないようで首を捻る。 センリは声も出せないままため息と共にこめかみに手を当てた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 大して動いていない上になんかめちゃくちゃですね; ちなみにウィルドくんはちゃんと体ごと顔寄せてますよ! 顔だけ近づけて変に斜めってたりしませんよっ(← 表現力とかもうちょっと勉強しないとダメですねー……うわあ。 ごめんなさい、鈴花ちゃん! フォローお願いしますっ(ぁ
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.21 ) |
- 日時: 2008/05/08 23:58:00
- 名前: 深月鈴花
- ふいに少年が人の良さそうな笑みを浮かべた。
「俺、楽しいこと好きだからさぁ。」 にっこり、と笑みを崩さずセンリ達を見渡し、そう言った。 「要するに、一緒に来たい、と?」 「そーゆーこと。魔物退治、なんて楽しそうじゃん?」 アイが少年の思考を瞬時に読み取り、静かに一瞥する。 「……ずいぶん大所帯になったわね。」 はぁ、とフェローラがあからさまな溜息をついたが、その口調からして反対ではないようだった。そして確実に先ほど真剣な表情でスィッタとセンリに連れて行ってと懇願していた自分を忘れている。 「オレ達の一存では決められない。」 センリが、仕方ないと言うように遠まわしに言い放つ。 「……案内して。」 刹那が未だに萱田の上に乗っかったままの少年をまっすぐ見つめた。 「りょうかーい。」 ようやく萱田を開放し、身を翻して道を進もうとしたとき。鬼柳が何かを見つけたように指を指した。 「…あ、あれ!」 その指の先には遠くから見てもわかる臙脂色の髪。おそらく彼が完全記憶力による道案内をしていたのだろう。赤い髪の雪人もこちらに駆けてくる。 それからその後ろで少し高い身長が見えたのがスィッタだと気づくのに全員時間はかからなかったはずだ。 「みんな久し振り〜」 気の抜けたような声をスィッタがあげる。……第一声がこれか、と少なからず思った。 「迷惑をかけてすまなかった。」 「いえいえ、無事でよかったです。」 謝る雪人に、エリエットは微笑んだ。 「お、お仲間さん達見つかったー?」 再会を喜んでいる様子を見て、少年がよかったよかった、と言いながら笑う。 「ん……?誰かな?」 エルティが見知らぬ少年を見て表情に疑問符を浮かべる。 「あ、3人の居場所がわかるから案内をするって言ってくれてたんです。あれ、えーと……」 萱田が少し少年を見つめて考え込んでしまった。そんな様子に少年は何かに気づいたらしい。 「あ、そーだ!名前、まだ言ってなかったよな?俺はウィルド。これからどーぞよろしく。」 少年…ウィルドは人懐っこい笑顔を見せた。が。 「………これから?」 雪人が少し眉を寄せた。 「対価交換とやら、成立してたの?知らなかったわ。」 フェローラが腕を組んで軽くウィルドを睨む。 「オジョーサン、細かいこと気にしてたら世の中渡っていけないぜ?」 「全く細かくないと思うけど……」 エルティの言葉に全員が頷く。だが特に断る理由もない。先ほど屋根から飛び降りてきたところを見ると、足手纏いになることはまずないだろう。全員の意見は一致した。
かくして、また一人、魔物退治の仲間が増えた。 似通った者は自然に寄り集まる。類は友を呼ぶ、というどこかで聞いた格言は名言だな、とセンリは少し思った。 さて、時は夕暮れである。似た者同士の集まりであるこの御一行は、今夜泊まる場所のことを考えているのだろうか。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ はいっ、こじつけー!! ごめんなさい、大口たたいたのでどうにかこうにかつめこんだら全くわけわかんないことになっちゃいました!てへ!(死ねー) そして駄文度8割増し……!! 次飛亜さん!どうかよろしくお願いします(逃)
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