出会いは「彼方の地」から ( No.2 ) |
- 日時: 2008/01/28 18:35:41
- 名前: Gard
- 参照: http://watari.kitunebi.com/
- つい先日のことだ。
どこの街にも規模の大小はともかく存在する戦女神様の神殿で落書き騒ぎが起きた。 実際は落書きじゃなくて、神話の中に出て来る魔族が復讐にやってきた、とかいうことらしい。 興味がなかったし、実際戦女神様なんているのかいないのかよく解らないものを崇める気もないから、神殿なんてずっと行ってない。 そんな不信心なオレの所に、この街の権力者から手紙が届いた。 手紙、と言うより命令書だろうか。オレの狩りの腕を見込んで、魔族退治に出かけて欲しいとかそういう内容だった。 そこらにいる危険な生き物を退治してこい、なんて言う風な軽々しい感じではなかったけれど、同じような内容だ。複雑。 それ以前に、そういうのって都の人間が結局やるんだよな、なんて思ってしまう。 ちなみにこのアバリムは、別名「彼方の地」と呼ばれるほど都から離れた場所に存在する。 けれどそのお陰か、都にはないものが多く揃うということで一部の人には人気だ。 とりあえず、アバリムから有名人を出したいと目論んでいるんだろうな、と思ったオレは、けれど断るのも後々面倒なので、命令を引き受けた。 その為、ただいま旅立つための準備の真っ最中だったりする。 「ええと、弓の弦は新調した、剣は先刻研ぎ屋から引き取った、と。後は……」 ぼそぼそとパーカの襟の中で呟きながら他に買うものを頭の中にピックアップしていく。 とりあえず薬と保存食は欲しい。 大通りを歩きながらそこに考えが至り、けれどその二つがある店は今いる場所、歩いている方向の完璧反対方向だった。 仕方ないので方向転換。振り返って、自分が流れに乗って歩いてきたのだなということがわかった。 何故なら、振り返った途端、目の前に人がやってくるやってくる。 これを掻き分けて店に行くのはめんどくさそうだ。 側にあった路地の方へ歩を進め、そこを歩いて店に向かうことにする。 辺境にありがちな複雑な路地構造をしているが、生まれてこの方この街で十九年も生きてきたオレにとっては自分の庭と同じ事。 もちろん、目的の店へ行く道も熟知している。 急ぐ旅立ちでもないしゆっくり歩いていこう。 そう思って歩いていたのが悪かったのか、それともボーッとしていたのが悪かったのか。 路地のとある曲がり角で、思いっきり他人とぶつかってしまった。 転ぶ相手と自分。 …………ああ、どうやって謝ろうか。
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はい、こんな感じでどうでしょう。 まだまだ1と2の間辺りですね。そう簡単に私が進めたら駄目だけど。 それでは次は玲、お願いしまっす!
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.3 ) |
- 日時: 2008/02/02 14:43:05
- 名前: 玲
- 「すみません。大丈夫ですか」
頭上から降り注がれた声に、青年は首を持ち上げた。 見たところ堅実そうな――自分と同じか、若しくは年下の若者が右手を差し出してくれていた。 お言葉に甘えてその手をとる。 よいしょ、と年寄り臭い言葉を漏らして立ち上がった青年は、衣服についた埃を払ってから言った。 「ごめんね――。余所見してたのこっちなのに」 微かに笑んで謝る青年に対して、見た目通り堅実そうで、けれど無表情に若者は「いえ」とだけ返した。 「何か武道大会でもあるの?」 そんな若者のなりを見て青年が問うた。腰には剣、肩には弓を備えていたからだ。 青年の思惑を理解してか、若者は自分がこの場にいる理由を律儀に説明してくれた。 多分、根が凄く真面目なのだろう。或いは極度の天然か。 若者の話を時には頷き、時には突っ込みながら聞いた青年は、大体の内容は把握したようだった。 そして逆に、このご時世に“神聖典”を知らない青年に疑問を覚えた若者は、表情を変えずに問い返す。 「旅行者ですか」 「うーん。まぁそんなところかなぁ」 変わらずの微笑で曖昧に返事をした。 「面白い街だよねぇ。見たことのない店に物。見てて飽きないや」 確かに、と若者は青年の言葉に納得した。都から離れて位置するアバリムには稀に見る珍品が多数存在する。 だからここで武具や薬を買うことに意味があるのだ。 「そういえばさー、さっきの話なんだけど」 物思いに耽っていた若者は、青年の言葉で意識を覚醒させられる。 青年は感情を映さない若者の顔を覗きこんで、また微笑んだ。 「オレも行っちゃ駄目かなぁ」 興味あるんだとねぇ、そういうの――と青年は続けた。 「“神聖典”によると魔族と人の差って力の強さだけみたいだし、“人であって人ではないモノ”とあいまみえる体験なんてそうできるもんじゃないしね」 それは先刻までと同じ表情だったが、若者にはその笑顔の裏には何かあるように思えた。 しかしそれも一瞬で、成年は若者に顔を向け直すとまたにっこり微笑んで名乗った。 「オレ、スィッタ・ハヴァドゥエル・パーミアね――。よろしく、ホワイトくん」 「……」 「あ。可愛い子発見ー」 さて、どうしたものか。 若者は再び頭を悩まさなければならなかった。
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話全然進んでないよどうしよう! とりあえずセンリくんとスィッタを会わせてみましたGardのお心遣いに感謝! とゆーわけで、お次は神子の羅菜! 宜しくお願いします〜w
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.4 ) |
- 日時: 2008/02/06 10:08:58
- 名前: 三谷羅菜
「……“人であって人ではないモノ”、ですか?」 「ええ、この世にあってはならないもの」 「……それは、魔物ですか?」 「そうとも言えるし、そうでないとも言えます」
子供じみた謎かけのようなやり取りに、苛立ちを覚えなかったと言えば嘘になる。しかしそれを表に出すほど、未熟なつもりはなかった。もっとも……いくら隠したところで師に見抜かれているだろうとは思っていたが。
「そもそも魔物とは何でしょう?」 「は?」 「人でないものは皆魔物と言えます。しかし、人もまた魔物だと言える」 「…………」 「また人の方が余程残忍な真似もしてみせる。……戦女神様の神殿は、果たして誰の仕業でしょうね?」
そうして師は妖艶に微笑んだ。年齢も性別も判断できない、その顔で、ぞっとする程美しく。
「……魔王を語り、世界を欺くものが居ると?」 「この世の真理がすべて正しいとは限らない。……その真理は私たちが正しいと思っているものですから」
それが問いかけの答えかどうか……判断する術はない。そこまで達していると自惚れてもいない。だから素直に視線で意味を問う。しかし師はそこまで未熟な弟子に甘くなかった。
「答えが知りたければ、見極めなさい。エリエット・トーラ。あなたにはもうそれだけの力があるはずです」 「しかし、私は――――」 「ひとつだけ、贈り物をしてあげるとすれば……アバリムの街へ行きなさい。そこにヒントがあるでしょう」 「……承知致しました」
一礼し、師に背を向ける。……こうして、若き魔術師は旅立った。
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.5 ) |
- 日時: 2008/02/06 10:30:59
- 名前: 三谷羅菜
- 「あ。可愛い子発見ー」
青年の声。それが自分の事だとすぐに思ってしまうのは、自意識過剰なのかどうか。しかしこの街にたどり着いてから、すでに数回そんな事を言われたような気がする。だから自意識過剰ではないと思う。
「あ、あのやめた方が――」 「ねえねえ、お嬢さん、お茶でもしないー?」
ひとりは、長身痩躯の白金色の髪を持った青年。もうひとりは、何やら色々と武装している白髪赤瞳の少年。 そういえば、戦女神様の神殿がどうこう、とか魔族退治がどうこう、とか言っていたような気がする。思い出した瞬間、エリエットは青年の襟首を掴んでいた。
「あなた、魔族退治がどうってお話してた方々ですよねっ?」 「え、まあ、うん。詳しい話はこっちから聞いてもらえるかなぁ? ついでにその手離してくれると嬉しいかも」
言われて大慌てで青年から離れる。「詳しい話」を知っているらしい少年の方に視線を向け、まだ自分が名乗っても居ないことに気づいた。
「突然失礼致しました。私、エリエット・トーラと申します。……念のために言っておきますと、男です」 「へっ?」
驚いたような声をあげる青年。目を丸くする少年。予想通りの反応だった。エリエットは小柄で、声もそう低くない。おまけに顔が女顔だ。いい加減慣れてきた。
青年――スィッタ・ハヴァドゥエル・パーミアと少年――センリ・ヤザキからも簡単に自己紹介をしてもらい、本題である「詳しい話」を聞こうとしたところ――――
「…………っ、きゃああああああああああああああああ――――!」
悲鳴が、響いた。
★★★ 高校入試のため学校お休みの三谷です。 ふふふふふー、文才の無さに泣けてくる(滝涙)。 とりあえず事件っぽいもの起こしてみようかな、と。 次は涼様! なんか激しく足を引っ張ってるよーな気がしますが、どうかよろしくお願いします!(逃亡)
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.6 ) |
- 日時: 2008/02/09 00:41:50
- 名前: 涼
- 参照: http://green.ap.teacup.com/ryou/
- 別に聞きたかったわけじゃない。ただ聞こえしまっただけ……。
あそこにいる彼等が「魔物退治」らしき話をしていた。興味はある。だが、すぐに声をかけれないのは実力と想像の間に佇んでいるからだ。
思うが、人間なら誰しも『私ならそれ程の力量は持っているはずだ』という自信、悪く言えば自惚れに近い心と『私が出来るわけがない、手に負えないかもしれない仕事をせずに低賃金でもコツコツ生きていこう』という慎重な、臆病な心を持っていると思う。そしてそれは時々私を悩ましている。今も尚、魔物くらいどうって事ないだろう。金も相当貰えるはずだ。いや、下手したら死んでしまうのだ。命が何より……等と自分で言うのも何だが、くだらない煩悶を繰り返している。
私がこうも悩んでいるのは経済的に苦しいからだ。家にはまとまったお金が無い。恥ずかしい話、結構その日暮しが多く、せっかく入った収入も一日で消費してしまうに等しい。たまにはいってくる警護等による仕事は命を張るだけ高くなるのでそれに頼って生活しているのが現状だ。加えて、最近割のいい仕事は入らず、ただ今の残金は財布の中身のみ。其れ故、私には魔物退治なる仕事はベストだとは思うが、しかし其れに伴う自信がないわけだ……。
どん、と軽くぶつかる音がする。考え事をしていただけに誰かとぶつかってしまったらしい。突然、耳を劈く(つんざく)、高い声が届いた。
「…………っ、きゃああああああああああああああああ――――!」
ぶつかった相手の失礼ながら五月蝿い、大きな声には閉口した。謝ろうとしたが、口を開いたのは彼女の方が先だった。 「何するのよ、変態ッ!!」 「……へ?」 全く身に覚えが無い。さっきはぶつかっただけじゃないか。しかし、世間は冷たいもので悪いのは変態、つまり私という事になる。現に周りには軽蔑の目と悪意に満ちた目で溢れている。例の三人組も何事かと少々注意を向けているようだ。ちょっ、ちょっと待て!私は違う!!
女性は走り去っていたようで、私一人が大衆の真ん中に取り残された。はっと気付き、ポケットに手をやる。予想通り、そこにあるべき財布は無かった。……最後の生活の綱だったのに。取り合えず、私にはあの「魔物退治」という仕事をやろうかどうか迷う必要は無くなったみたいだ。逆に何が何でも頼んで仕事を貰わなければ……。
今は身の潔白を示すのが先だ。何よりも彼等が移動してしまえば元も子もない。出来る限り早いうちに解決せねば……!!そこで目に入った一人の男に声を掛ける。彼ならあの時傍にいたはずだから分かってくれるだろう………と信じて。
「貴方、見てましたよね?私はそんな事してないですよね?!」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 事件といえば痴漢等という発想しか思い浮かばない悲しさ 魔物を少し出そうかと思ったんですが、まだ早い気がして…… なんて言い訳を少々(多少?)させて頂きました やりにくいトコでまわしちゃってすみません!! 逃げ腰ぎみで私は退散いたします。ホント申し訳ないっす!!! お次は凛華様!!よろしくお願いしますッ!!
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.7 ) |
- 日時: 2008/02/09 21:44:08
- 名前: 凛華
- 「え、私ですか!? いや、知りませんよ、そんなのっ」
終わった。 萱田は刹那、頭を抱え込みたい衝動に駆られて、立ちつくした。 よりにもよって、知らない、とは。 これでもう、自分の身の潔白を証明するすべはなくなった。 周りからの視線が、痛い。 そんな中。 騒ぎの中心にいる、どこか項垂れた青年を見ながら、センリは眉を寄せていた。 女は痴漢、と言ったが。どうも、おかしい。 もし本当に痴漢されたのなら、わざわざ叫んでから走り去る必要はあるのだろうか。 「……おかしい、ですよね」 突然隣りから声を掛けられて、センリは視線を隣へ移した。 移した視線の先では、先ほどまでのセンリのように、怪訝そうな視線をエリエットが青年へ向けていた。 「そうは思いません?」 「……思い、ます」 やはりおかしい、だろう。明らかに。 考えるに、あの青年はきっと先ほどの女に痴漢の濡れ衣を着せられている。 果たして、その理由は。 「スリでしょうか」 エリエットの言葉に、センリはひとつ、頷いた。 恐らく、そうだろう。というか、それしか考えられない。 「……そんなにわかってるんならさぁ」 何も言わずにふたりの会話を聞いていたスィッタが、突然、ひょいと間に入り込んできた。 「あの人、助けてあげよっか」 「へ、」 「はーい、ちょっとちょっとぉ」 センリとエリエットが意見するよりも、ましてや止めるよりも早く。 スィッタがずいと、萱田に歩み寄った。 「ねぇ、キミ痴漢やってないって本当?」 「え、あ、もちろんっ!」 突然の事に面食らった萱田は、それでも身の潔白を証明しようと、ふたつ返事に頷いた。 「やってない、絶対っ」 「じゃぁ、スリにあっちゃっていうのは?」 「なんでそれを……」 驚いたように目を見開いた萱田ににっこりと笑いかけると、スィッタはくるり、とセンリとエリエットに振り向いた。 「ねぇ、どうせだからさぁ。スリ、捕まえちゃってあげないっ?」
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ なんだか、全然話が進んでおりません(爆 スリを捕まえに行かせたかったのですが……っ これ以上書くと、止まらない気がしたので(ぇ ……はぃ、言い訳は止めておきます↓↓ 春歌ちゃん、ほんとやりにくいところで回してしまって申し訳ないっっ なんとかしてつなげてやってくださいませー……^^;
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.8 ) |
- 日時: 2008/02/29 22:48:43
- 名前: そら
- 参照: http://yaplog.jp/sora_nyanko/
- 「……は?」
「だからね、困ってるこの人のためにスリを捕まえてあげちゃおうよってこと」 何となくこの流れを感じてはいたが、こうもさらりと言われてしまうと返しようがない。 センリはエリエットと顔を見合わせる。 「たしかにここまで分かっていて放っておく理由もありませんが……」 エリエットは1度視線を落とす、しかしすぐにスィッタへと再び視線を戻した。 「わかりました、私も協力いたします」 「さすがぁ」 スィッタは手を叩く。 そしてセンリに向かってもにこりと笑う。 思わずため息をつきたい衝動に駆られたが、ここは堪えて。 「……オレも」 「じゃあ決定だね。そこの――おデコくん」 「は、はい!?」 まさかここでこちらに話しを振られるとは思わず、何となく置いてけぼりとなっていた萱田は思わず返事をする。 が、はたとその呼ばれように気が付き額に手を当てた。 「おデコって……」 間違ってはいない気もするが、あまりいい呼ばれ方とは思えない。 まあ先ほどの痴漢扱いよりは遥かにマシか。 萱田は確認ともいえる疑問を口にする。 「……あの、さっきのスリを捕まえるって本気ですか?」 「本気じゃなきゃ言わないよ。犯人確保ってやってみたくない?」 そう答えたスィッタはどこか楽しそうにも見えた。見間違いであってほしい。 そんな彼らの様子を見ながら、エリエットはセンリに耳打ちする。 「彼はいつもああいう風なんですか?」 「……少なくとも、会ってからずっとああです」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 微動だにしない……。 すみません、次が好きに展開できるように!と長くなったとこをカットしたら無意味な1場面になりました; しかも思いきり楽しんで書きました、すみませんっ。 つ、次の鈴花ちゃん頑張ってくださいませ…!
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.9 ) |
- 日時: 2008/03/02 16:39:56
- 名前: 深月鈴花
- なるほど、とエリオットは納得したようで。
これから「魔族退治」に出かける前に何故か「スリ確保(?)」に巻き込まれてしまったセンリは内心肩をおとした。 「な、なんかすみません……」 萱田は少々複雑な面持ちでそう言った。 「そうと決まればレッツゴー!」 誰が決めたのだろうか、という疑問はおそらくその場にいた全員が持ったことだろう。そしてコンマ1秒ほどでああ、彼だったという結論に結び付く。 とりあえず基本の聞き込みから、ということらしい。 スィッタは傍で見ていたと思われる少々珍しい服装の女性に声をかけた。 「ねぇ、君。可愛いね―……」 「ちょっと待て!」 今の状況でナンパをおっぱじめようとしたスィッタにセンリのツッコミが入った。 「冗談だよー。君、さっきの女の人がどっち行ったか見てない?」 後ろを向いていた女性が振り向いた。少し鈍感らしく、この言葉は自分に向けられていたのだと今気づいたらしい。 女性は少女で、驚いたことが一つ。黒い目。それは普通だった。ただ、その片方の瞳孔が、真っ赤だ。 その場にいた全員が違和感を覚える。 「……失礼な人達ね。声をかけておいて人の目を化け物を見る目で見ないでくれる?」 その目は機能していないらしく、黒い目の方だけが動いていた。 「そんなつもりじゃ…」 言いかけて、センリは口をつぐんだ。きっぱりと否定はできないからだ。 「……別に、もう慣れてるからいいけど。さっきの人なら、あっちに逃げて行ったわよ。」 少女が指さしたのは人ごみの流れの反対側だった。……これは、進むのが大変そうだ。 「ねぇ、そちら方、魔物退治に行くんでしょ?話聞いちゃった。」 いきなり少女が話の腰を折った。そちら方、とはおそらくセンリとスィッタのことだ。 「そう、ですけど……」 おそらく年下だと思われるのに、なぜ敬語なのだろうか。 少女が口を開き、信じられないことを口にした。 「あたしも連れて行ってくれない?」 「………は?」 センリが少々間の抜けた声を出した。それも当然の反応だろうが。 偏見かもしれないが、こんな少女が、魔物退治を? 「あたし、一応戦闘の仕方とか一通り頭に入ってるし一応実戦も積んできてる。邪魔にはならないから!」 顔の前で柏手をうち、とても必死な様子。 独断では決められないため、センリはチラ、とスィッタの方に視線を向けた。 「オレなら全然かまわないよ。」 「決まりね!」 センリの意見はもはや聞いていない。 ……なんだか「スリ退治」以前に「魔物退治」の同行者が増えている気がする。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 我ながら文章力のなさに泣けてきます。 こんなとこできっちゃってすみません……!! 飛亜さん、続きお願いします(土下座)
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.10 ) |
- 日時: 2008/03/08 12:51:11
- 名前: 飛亜
- 「そういえば…君、名前は?」
「あたし?…フェローラ・グランディールよ」 なぜか間があったが、まぁそこは気にしないことにした。 「フェローラね、オレはスィッタ スィッタ・ハヴァドゥエル・パーミア よろしく」 「センリ・ヤザキです」 「私はエリエット・トーラ ちなみに男です」 「え、男!?嘘!女にしか見えない!」 「やっぱそう見える?オレも初めて会ったとき女だと思ってナンパ…」 「スィッタさん!!」 「はいはい…」 そうして街を歩いていると 「すみません」 「ん?」 少女が話しかけてきた。黒を基調とした服装。足にはホルダーが付いている。眼を見れば…赤と紫の異色眼(オッドアイ)。 「貴方達はどちらへ向かうおつもりですか…?」 「んー?スリ退治と同時に魔物退治に♪」 『魔物…』「私は倉崎刹那と申します 同行してもよろしいでしょうか?」 「……へ?」 センリの間抜けた声がまた出てしまった。先ほどのフェローラと同じことが起こってしまったのだから、無理もない。 「これでも銃や体術は得意ですから」 と同時にシュッと音がした。センリの頬に僅かだが血が出ている。そして刹那はセンリの頬から流れる血をとり、舐めた 「ん…美味」 このとき全員思った 『こいつ……吸血鬼じゃねぇよな?』 「…何見てんの」 「あ…すいません」 センリが謝ると、ツカツカと歩き出す。 「行くんでしょ?魔物退治」 「あー…うん」 『絶対にとってやる…あいつの仇を!』 刹那はそう決心したのだった
☆★☆★☆★☆★☆★☆★ すいません!!すんごい説明不足で!!! それにこんな中途半端なとこで切ってしまって…! 文章力なさすぎですね、私!! 日華さん、続きをお願いします!
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Re: お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」 ( No.11 ) |
- 日時: 2008/03/10 21:49:48
- 名前: 日華
- ――――マモノタイジ。
なんと日常から離れた突拍子もない言葉だろう。今まで生きてきて、そんな言葉を耳にすることはあっただろうか。 幼い頃母親に読んでもらった童話の中に出てきた魔物。それを退治。どこまでが御伽噺でどこからが史実なのか。 兎にも角にも、彼は魔物だろうが天使だろうが猫や狐であろうが、どうでもよかった。 手も錆びた。血は最近自分を蝕んでいる気がしてならない。その所為で来る日も来る日も気分が悪い。 今更人の役に立つだの、正義感だの、そんなものを掲げて行進をするつもりはなかった。ただ、気になることだけは一つある。 血は恐らく自分を壊したいのだ。さあ立てと、さあ向かえと、
雑踏雑踏雑踏。 人が一人ずつ増えていく。先程加わった新しい魔物――いやスリか――退治仲間は、さっさと先頭を歩いていた。 誰もが口を噤み、少々俯き加減に歩いていた。今まで常時ハイテンションだったスィッタさえ、センリと目を合わせて苦笑している。
「どうするの、これ」 「どうするって…だって先行っちゃうし」 「ていうか、これはスリの退治に向かってるわけ?それとも魔物直行?」 小さな声でぶつぶつと皆が不安やら不満やらを零し始める。刹那と名乗った少女は、気にする様子もなく、無表情のままに歩き続けている。
「止めてよ、エリエット」 「え、私?」 「貴方しかいませんって」
センリとスィッタは俯いたままエリエットに小さな声で言う。 何で私が、と反論していたエリエットが、急にぴたりと足を止めた。
「? どうしたの?エリエット」
エリエットのすぐ後ろを歩いていたフェローラは、急に足を止めたエリエットを見て不思議そうに首を傾げる。 エリエットの表情は先程とは打って変わって真剣で、このときばかりは男っぽく見えるような見えないような。 後ろを歩く人の足が止まったことに気付き、刹那も足を止める。誰もが、エリエットの視線の先を見ようと振り向く。
「…なんか見られてますね」 「はい、多分」
萱田もエリエットの視線の先を見つめて、無表情に低く呟いた。エリエットが同意する。 萱田が言葉にした途端、フェローラは顔を顰めて気持ち悪、と肩を竦めた。それを見てセンリが苦笑する。しかし6人が無意識のうちに身構えていたことは、誰もが気付いていた。 人はやかましく道を通り過ぎて行く。その中で一番雰囲気が違うのは―――
「フード…」 「それオレも思った」
ぽつり、とセンリが呟いたのをスィッタは聞き逃さず、すかさず同意した。他の4人も二人の視線の先を見る。 白いフードを被った、小柄な姿が人込みの中に紛れている。俯いているので、顔は分からず、性別も分からない。 早くも敵―――なんてことはないだろう、ゲームの世界じゃあるまいし。いや、これから行くのはゲームのような世界だが。 そんなに面白く進んでいくとは思えない。第一、まず敵って今の時点では何にあたるのだろう。 白いフードの「誰か」は、俯いたまま向こう側の壁に凭れかかっている。こちらを見ているのか見ていないのかさえ分からない。
「…どうします?」 「どうしようもないでしょ、いきなり、あんたこっち見てたよね、なんて声かけたらこっちが怪しい人ですよ」 「もし違ってたら立場逆転よ、あたしたちがすごい目で周りから見られるわよ」 「でもさあ、」
他の5人がいろいろと言っている隙に、刹那が消えていた。最初に気付いた時には、既にフードの近くまで行っていた。 いつの間に、と誰もが思ったと同時に、あとの5人も駆け付けた。 5人が刹那に追いついたのと、刹那がフードの前に立ったのは、ほぼ同時だった。
「あなた、さっき何を見てたの?」
ストレート。 白いフードは思ったより小柄で、刹那が見下ろす形になる。これ、傍から見ればこっちが危ない連中だ。 フードは返事をしない。俯いたまま、全く身じろぎもしない。 シュッ、という音が聞こえたのと、フードがぱさりと肩に落ちたのは本当に一瞬で、何が起こったかよくわからない者もいた。 フードの落ちた、白い頭がゆっくりと上がる。
白い髪。不思議な色をした目。首に巻かれた痛々しい包帯――― それから、頬から鮮血が一筋流れている。
「…なあに、お姉さんたち」
幼い声がはっとさせた。 薄く笑みを浮かべた少年は、軽く首を傾げてみせる。 思った以上に子供だったので、フードを取った刹那も少しばかり動じた。
「子供じゃん…」 「気の所為だった?」
不安が次々にぼそぼそと呟かれる。間違っていたなら、この頬の傷をどう償おう。また面倒だ。 みんなが気まずい雰囲気で顔を見合わせている中、少年はにっこりと笑った。 その笑い方は気味が悪くなる笑い方で、それはそれは天使のように微笑んでいるようにも見え、何かを見下ろしたような、歪んだ笑顔にも見えた。 そして次の瞬間、目を疑うこととなった。
ツ、と少年の頬を血が伝う。その量は傷の小ささに反して大量である。そしてその血は滴を一つだけ地面に落とした。 血は頬から出続け、やがてぴたりと止まると、シュ、と音がして血が消えた。全員が目を疑う。何が起こった? 残ったのは少年の笑顔と、元に戻った頬の傷と、地面に落ちた一つの血痕。 何をした? このガキ。
「あーあ」
突然、諦めたような声を出したので、びくりと現実に戻る。
「お姉さんが切ったりするから逃げちゃったじゃない。最近調子悪かったから少しの傷でも動脈並なのに」
そう言いながら、少年は頬を袖で拭う。赤くなった袖を一瞬無表情に見てから、もう一度視線を戻した。 緑色の目が不気味だ。 笑っているが、みるみる内に顔色が悪くなった。冷や汗が額に浮かぶ。
「急性失血性貧血って知ってる?」 「は?」 「結構辛いんだよ、責任とってくれるよね?」 「はい?」
少年はにっこりと愛想よく笑いながら、壁から離れた。状況を、この少年が言いたいことを理解した者はいない。 そして、一番傍にいたセンリの袖を半ば縋るように掴んだ。 気の所為か、息遣いが荒く聞こえる。
「僕、キリュウ。血が見つかるまで、面倒見て?」
幼い少年―――鬼柳は、驚く6人を気にも留めず笑顔のままだった。
■■■ おおおお…何かもう、よくわからん面倒な展開になってごめんなさい… そしてキャラの性格やら口調やらが間違ってたりしたらごめんなさいごめんなさい… 「血が見つかるまで面倒見て」=「仲間になってください」です(え) ていうか生意気! このガキ生意気! 文章力なんて知りません、もう諦めてます。そのくせやたら長くてすすすすいません… 書きにくいところで止まっちゃってごめんなさい栞! あとは任せた!(逃)
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