Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.1 ) |
- 日時: 2013/04/29 04:20:11
- 名前: 孝(たか)
- 皆で太陽を眺め、1日の始まりを実感する。
さて、レオの下へ向かおうと太陽を背にした途端・・・
ブシャアアア・・・
カイが、全身から血を噴き出しながら、前のめりに倒れた。
カノンノ「・・・カ、イ?カイ!どうしたの!?カイ!」 氷牙「触るな!!!」
カイが倒れた事でカノンノが慌ててカイを抱き起そうとする前に、氷牙が怒鳴って止める。 急いでカイの下へ来ると脈や心拍を確かめる氷牙。
氷牙「……まずいな。誰でもいい!誰か棒を何本か拾ってこい!即席の担架を作る!!」 ライ「は、はい!アルフ!行くぞ!」 アルフ「あ、うん!」
十代「万丈目!俺達はあっちだ!」 万丈目「分かった!」
男子達はそれぞれ急いで長くて太めの棒と長めの蔦を拾い集めてくる。 氷牙はいつも着ている白衣をシーツ代わりにして担架を作る。
更に残った蔓でカイの身体を即席担架から落ちない様に固定する。
氷牙「鏡夜!手伝え、運ぶぞ!」 鏡夜「分かってる!」
鏡夜が前、氷牙が後ろを持って即席担架でカイを校舎の保健室の更に奥にある治療室へと運ぶ。
十数分掛けて到着すると呼吸器や心電図などの計器をつけ、点滴を打つ。 アレほどの闇のデュエルで小さいながらも蓄積されたバルバトスのバーンダメージは、確実にカイの体力と精神力を奪っていたのだ。
それからは時間との勝負だった。 幸い、カイの血液型はO型。ここに居る大抵の者がO型だった為、輸血には困らなかった。
消毒、縫合、輸血。 何分裂傷が12ヵ所もあり、それらは最低5針から8針も縫う程であった。時間はかかるが助からないなどと言う結末にはさせないと鬼気迫る表情で治療に当たる氷牙だった。
それから4時間程が経過した。
プシュー・・・
氷牙「ふぅぅいぃぃぃぃぃ〜〜〜」
氷牙が袖で汗を拭いながら大きく息を吐く。
カノンノ「氷牙さん!カイは!カイは大丈夫なんですか!?」
カイに血を提供した為か、心配のし過ぎかはたまた両方かは判らないがカノンノの顔色は真っ青であった。
氷牙「あぁ、もう安心だ。裂傷と疲労と出血だけだから縫合と輸血と休息で元気になるし、後遺症の心配もない。」 カノンノ「よ、よかった・・・よかったよぉぉぉ」
安心したのかそのまま腰が抜けてペタリと座り込むカノンノ。
氷牙「2〜3日もすれば目は覚めるだろう。後は、しっかり休養する事だな。傷も残らない様にしたし、何の心配もいらない。」 カノンノ「ありがとうございます!ありがとうございます氷牙さん!うう・・・ふぇぇぇぇぇ!えっぐ!ひっく、うぇぇぇぇんっ!!!」
両手で流れる涙を拭きながら泣きじゃくるカノンノ。 そのすぐ隣には精霊のウインダとライコウがカノンノを慰めている。
そして3日後の夕方・・・
病室にて・・・
カイ「ぅ、ぐ・・・ぅ・・・ここ・・・は?」
数日目を覚まさなかった為に間接等を痛めたのだろう。 予想通りの日数でカイは目を覚ました。
カノンノ「カイ!大丈夫?私の事、わかる?」 カイ「・・・・・・君、は・・・誰?」
しかし、カイはカノンノに対して誰かと聞いてきた。 一同も「まさか記憶が!?」と驚いている。
カノンノ「・・・え?・・・カ、イ?ウソ・・・だよね?カイ!!」 カイ「・・・ぷっ・・・冗談だよ。カノンノ」
だが、どうやらカイの冗談だったようで、直ぐに頬を弛めて苦笑いで訂正した。
カノンノ「・・・・・・ば、かぁ・・・・・カイの・・・カイのバカアアアアアアアアア!!」
バッチイイイイイイイイイイインッ!!
カイ「いってええええええええええええええええ!!」
その弛めた頬に強烈なビンタを受けたのは自業自得と言えるだろう。
氷牙「馬鹿者。そう言う冗談は時と場所を考えろよ?」 カイ「はい。すいません。つい魔がさしました。」
そこは素直に謝るカイ。どうやら最初はその気はなかった様だが、闇のデュエルでの疲労とかではなく、いつもの朝を迎えた感覚だったのだと言う。
カイ「・・・俺は、一体どうしたんですか?」 氷牙「ん〜〜。一言で言うなら、フィードバックだな。大抵、闇のゲームってのは終わったら精々疲労が残るとか精神的に限界が来て気絶する程度なんだが。お前の場合、ダメージを受け過ぎたんだ。闇のゲームは・・・精神が強ければ強い程、長時間耐えられる。だがその反面、限界を超えるとダメージが肉体にフィードバックするんだ。しかも、ライフが0になる以上の超過ダメージフィードバックは余計に・・・な。」
元精霊であるカイなら説明されなくても分かっていそうなものだが、今は目が覚めたばかりで思考はそこまで働いていないのだろう。
カイ「そう、でしたね。何分、長い事闇のデュエルとは無縁でしたから、忘れていました」 氷牙「・・・あの時、お前が受けたダメージは戦闘及び効果により、通算で12600ものダメージを受けていた。それが、どう言う意味か分かるか?」
氷牙が真剣な表情でカイに問う。
カイ「・・・・・・通算とは言え、それだけの蓄積ダメージです。普通なら、何かしらの後遺症が残るでしょうね。」 氷牙「まぁな。だが、俺を誰だと思っている?」
真剣な表情から一転して、親指を自身に向けてニヤリと笑う氷牙。
カイ「・・・現存するドクターの中で、他の者の追随を許さない程の名医。ドクターアイスマン。ですよね?」 氷牙「その通り。俺様にかかれば後遺症なんざ残さん!し か し !お前は一カ月絶対安静!!散歩とかの運動は許すが、それ以外の激しい運動は全面禁止!デュエルディスクも使用禁止!まぁテーブルデュエルならいいが・・・とりあえず、完全回復するまで・・・もしくは俺が許可するまで体に負担が掛る事は禁止だ!」
これでもかと言う程徹底させる氷牙。こと医療に関しては妥協を良しとしない。患者の事を思っての事だが・・・まぁ日を追うごとに緩和される事だろう。
氷牙「ま、何でもかんでも禁止してたら息苦しいだろうからな。こんなモノを用意させてもらった。」
氷牙はゴソゴソと何かを取り出してきた。
カイ「・・・・・・・・・巻物?」
何故に巻物何だろうか?そう思っていると・・・
氷牙「鳴人に頼んで内波の忍術書を数点見繕って貰った。流石に門外不出の奥義書は無理だが、現代まで生き延びた正真正銘の忍術書。それも内波の家系に纏わる代物と言えば例え低ランク忍術と言えどお目にかかれるものじゃないからな。休養中の暇潰しにはなるだろう?ガスタの忍さんよ?」
ニシシと笑いながらウィンクを打つ氷牙だった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.2 ) |
- 日時: 2013/04/29 23:50:47
- 名前: カイナ
- 氷牙「その代わりと言っちゃなんなんだが……」
カイ「……なんですか?」
しかし巻物を渡す前に氷牙はさらにそう言い、カイが首を傾げて問いかけると氷牙はまず保健室にいる鮎川先生に席を外すようにお願いし、鮎川先生が保健室を出ていくのを見送ってから左腕の袖を捲り上げ、そこに刻まれている龍の頭を思わせる痣をカイに見せた。ちなみに吹雪は未だ昏睡状態であり、レオは逆にぐーすか寝息を立てている。闇のデュエルで重傷を負ったにも関わらずその回復力は氷牙をして「まあ、後は寝てりゃ治るだろ」とどこか呆れたような顔で言わせるほどだった。
カイ「ああ、シグナーの証ですか」 氷牙「やはり知ってるのか!?」
と、竜の痣を見たカイがあっさりそう言い、それを聞いた氷牙はカイに詰め寄りカイはその勢いに僅かに引いた後頭をかく。
カイ「シグナー……まずはこれについて説明しておきましょうか。と言ってももう大分前なので細かい記憶はかなり曖昧になってますけどね……」 氷牙「構わない。知っていることを教えてくれ」
カイは少し困ったように頭をかいてそう前置きをし、それに氷牙がうんと頷いて返すとカイは遠い昔の記憶を思い出すように目を閉じた。
カイ「まずシグナー。これは俺達は世界を守る赤き竜と呼ばれるドラゴンの化身と教わりました。シグナーの竜は……えーっと……たしか全部で五体、閃光りゅ……こちらの名前で言うスターダスト・ドラゴン様、レッド・デーモンズ・ドラゴン様、ブラックローズ・ドラゴン様、ブラックフェザー・ドラゴン様、エンシェント・フェアリー・ドラゴン様……だった……ような気がします」 鏡夜・メリオル・風華・アルフ「「「「……」」」」
カイの説明を聞き、そのカードを持っている四人がカードを取り出すとまじまじと眺め始める。
カイ「ん? あともう一、二体いたようないなかったような……」 氷牙「あー、まあいい。で?」 カイ「ああはいはい。それで次に地縛神を操るダークシグナー、奴らは赤き竜様と敵対する存在と考えてくだされば早いです。それは俺の記憶が正しければ合計七体、つまり氷牙先生が戦った一体と俺の戦ったバルバトスのコカ・パク・アプを除いて残りは五体です……いや、でもやっぱこっちも後何体かいたような気が……」
カイは氷牙達に説明しながら曖昧な記憶に首を傾げたりし始めていた。
氷牙「おーい」 カイ「あ、失礼。まあ手っ取り早く言えばシグナーはシグナーの竜に選ばれし者、ダークシグナー略してダグナーは地縛神に選ばれた者で立ち位置としては永遠のライバルと考えてください」 氷牙「ほんと短く纏めたな……ところで、お前が使ってた閃光竜ってのはなんなんだ? まるで黒いスターダストのような姿をしていたが……」
カイのさらっとしためっさ短いまとめに氷牙はそう漏らした後、さっきのデュエルでカイが使っていた閃光竜について尋ねる。それにカイはああと漏らした後エクストラデッキから一枚の破れたカードを取り出す。
カイ「あれは決闘竜。シグナーの竜の力を受け継ぐシグナーの竜と似て非なる存在……というか、そこのところは曖昧なんですよ」 氷牙「は?」 カイ「いや、精霊界の歴史家の中でも色々学説が出まくってて、俺が精霊界で生きてた頃に主要となってた説はシグナーの竜と決闘竜は似て非なる存在って説なんですがその他にも決闘竜はシグナーの竜の力の一部が闇に堕ち作り上げられた闇の力だとか、そもそも決闘竜から力が抽出されてシグナーの竜が生まれた、つまり決闘竜がシグナーの竜の起源だとか……ウィンダ、何か分からないか?」 ウィンダ[……えへへ〜] カイ「ああ、お前に訊いた俺が馬鹿だったよ」 ウィンダ[ご、ごめんなさい……]
カイは自分の記憶の中にある精霊界での学説を思い出しつつ現役精霊のウィンダに尋ねるが彼女は現れると誤魔化し笑いを漏らし、それにカイが呆れたようなジト目で返すとウィンダはごめんなさいと言って姿を消す。
カイ「……」 カノンノ「…………」
ちなみにカノンノにも目配せしたが彼女は汗をだらだらと流しながら目をそらしており、カイはやれやれとため息をつく。
カイ「ま、ガスタの地は辺境だからな。魔法都市エンディミオンの魔導学校に進学してたウィンか他部族から入手した書物読みふけってたカーム姉さんじゃないと分からんか……」 ヴィヴィオ「ウィン?」 カイ「ああ、人間界では[風霊使い ウィン]って言ったっけ? あいつ、元はガスタの民でウィンダとは血を分けた妹なんだが類稀なる魔法の才能と風のモンスターと心を通わす霊使いの資質から魔法都市の魔導学校に進学したんだ、広い世界を見たいからってね。いやーあん時はムスト兄さんと一緒に旦那を説き伏せるのに苦労したしその後ヤケ酒かっくらって酔い潰れた旦那の相手が大変だった……」 氷牙「そ、そうなのか……」 カイ「そうなんすよあの親馬鹿……」
ヴィヴィオは風霊使いウィンのカードを取り出して首を傾げながら尋ね、それにカイは説明を返す。さらにその後そういう彼は遠い昔を思い出ししみじみとした様子を見せていた……が直後おっとと声を漏らす。
カイ「話が逸れましたね。ま、決闘竜の学説はともかく俺は合わせ札の儀式という精霊界に伝わる特別な儀式で決闘竜を呼び出しました。まあそんじょそこらのカードじゃ決闘竜の力に耐えきれず、このザマですが」
カイはそう言って破れたカードをひらひらと振り、「結構なレアカード媒体に使ったのに畜生」とか漏らす。
氷牙「なるほど……つまり、一番最初に話を戻すがダークシグナーは後五人、地縛神も残り五体……それに対抗する力を持つ存在、シグナーは俺の他に……シグナーの竜の持ち主で考えるとレッド・デーモンズ・ドラゴンを持つ鏡夜、ブラックローズ・ドラゴンを持つメリオル、ブラックフェザー・ドラゴンを持つ風華、エンシェント・フェアリー・ドラゴンを持つアルフ……というわけか」 カイ「ま、シグナーの竜のカードを持つからと言ってイコール必ずシグナーに目覚めるとは限りませんけどね」
氷牙は先ほどカイに上げられたカードを持つ者達を思い出しながら呟き、それに対してカイはひょいっと肩をすくめて見せる。と氷牙はうんと頷いた。
氷牙「分かった。お前から教えられた情報は参考にさせてもらう……じゃあ、安静にしておけよ」 カイ「へ〜い」
氷牙はそう言うと彼に内波家の巻物を渡し、他のメンバーに目配せすると「カイが無茶しないように見張る」と言いだしたカノンノを除いて保健室を出ていく。カイはそれを見送り、巻物にちらりと目をやった後それを枕元に置いた。
カイ「シグナーとダグナーの戦いか……それが俺達とはいえ前世の争乱と言い今と言い、面倒事に巻き込まれるもんだな……」 カノンノ「確かにね。前世の騒乱はそれを未然に防ぎ、防げなかった場合現住部族と共に戦い、皆を守るのが使命。現世に至ってはバルバトスが同じ時代に転生してるのを知って探し回ってただけなのに今度は地縛神との戦いに巻き込まれちゃって……」 カイ「地縛神の力を得たダークシグナー……セブンスターズ、一体何者なんだ?……」
カイの皮肉交じりの呟きにカノンノも苦笑しながら返した後カイはそう呟き、考え込もうとする。とカノンノが彼のほっぺをふにふにとつついた。
カノンノ「カイはもう寝なさい。病人は寝るのがお仕事なんだからね」 カイ「へいへい……」
カノンノの言葉にカイはそう返し、目を閉じる。そしてやはり体力を消耗していたのかすぐに寝息を立て始め、カノンノは愛しげな瞳で彼を見守り始めた。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.3 ) |
- 日時: 2013/05/03 03:45:31
- 名前: 孝(たか)
- それから1週間。
バルバトス撃破以降、新たなセブンスターズは現れていない。
レオもカイも順調に回復していき、レオの方は未だ完全には塞がってはいないものの、既に三割程再生している。
通常ならば最低でも3カ月は掛けて治る筈の傷が、である。 この様子では、カイが退院する前には完治してそうで末恐ろしい。
と言うか、既に人生の半分は生きているのに未だにこれ程の生命力を失わないのは人として何か間違ってる気がしないでもない。
氷牙「う〜〜ん。大分良くはなっているが・・・まだまだだな。後1週間は大人しくしとけ。」 レオ「え〜〜〜。もういいじゃないっすかぁ?ほら?もうこんなに元気だし!」
ムキ!っモリモリ!とポージングを取り、元気だと訴えるレオ。
しかし・・・
氷牙「プス。」
ポリポリと頬を掻いた後、綿棒で右脇腹をちょこんとつつく。
レオ「・・・・・・・・・・・・・・・ぐはぁっ!?」
2秒後、意図も簡単に撃沈した。
氷牙「治りかけているとはいえ、16針も縫った傷だぞ。しかもギリギリだったが肺に届きかけていた。普通なら今も意識不明でもおかしくない怪我だ。お と な し く 寝 て い ろ い い な ?」 レオ「・・・・・・・・・・・うす。」
氷牙の腕は確かなので大人しく従う事にした。
鏡夜「それにしても・・・まさかセブンスターズ2人に対して、4人も倒れたね。氷牙と十代君は結構軽めですんだから良いけど・・・」
またも唐突に現れる鏡夜。 常に神出鬼没であるが、この3人は長い付き合いである。この程度の事ではもう驚く事すら無い。
氷牙「・・・だな。次も、相応の被害が出る事を考えると・・・負け=死を頭に入れておかねぇといけねぇかもな・・・。」
そう、今のところは死者は出ていない。しかし、これからもそうであるとは言えない。 ならば・・・覚悟を決める時かもしれない。
翔「た!大変っすううううううううう!!!」
バーーーン!と保健室の扉を勢いよく開いて翔が飛び込んできた。
氷牙「扉壊す気かお前は・・・で?何が大変なんだ?」 翔「おし、おししし!」 鏡夜「トイレなら出て左ね。」
慌てていて何を口走っているのか分からないが予想としてトイレの場所を指差す鏡夜。
翔「オシッコじゃないっす!おし、お城が!海の上にお城が出来たッす!!!」
しかし、どうやらオシッコではなく、お城。と言いたかったようだ。
氷牙「・・・・・・ん〜36度4分。平熱だな。はい、舌出して・・・異常は無いか・・・」 翔「あの、氷牙先生?もしかしなくても馬鹿にしてます?」
いきなりオデコを合わせて熱を図り、舌を診察して目を見て軽く診断する。
氷牙「失敬な。心配して診察したんじゃないか。」 翔「僕は正気っすよ!?良いから来てくださいッす!!」
そう言って翔は鏡夜と氷牙の二人の手を引いて走り去っていった。
レオ「・・・・・・俺も行きてぇなぁ・・・」 カイ「・・・・・・我慢しましょうよ。」
病人2人は淋しさを覚えながらも我慢するのであった。
海岸・・・
翔「はぁ、はぁ・・・ほら!あそこっす!」 氷牙「・・・・・・ふむ。確かに城だな」 鏡夜「城・・・だねぇ」
翔の指差す先・・・そこには全長40メートルはありそうな不気味な城が佇んでいた。
十代「氷牙さん!鏡夜さん!」 氷牙「おう、十代。お前らも来ていたのか?」
声をかけられたのでそちらに視線を向けると、対セブンスターズメンバーが勢揃い(レオ&カイ除く)していた。
明日香「ええ。また、セブンスターズが攻めて来たんじゃないかって思いまして。」 鏡夜「・・・確かに、これまでの事を考えると、それが一番高い可能性だね。じゃぁ・・・手っ取り早くあの城壊してみようか?」
ニッコリ笑顔でまたとんでもない事言いだしましたよこの人。
氷牙「そうだな。何かされる前にこちらから仕掛けて見るか。」
『『『・・・へ?』』』
まさか氷牙まで鏡夜のノリに付き合うとは思ってもみなかった生徒一同+クロノス。
ゴソゴソ・・・ズルリ・・・ジャコン!!
氷牙は白衣の中から使い捨てのバズーカ・・・M72ロケットランチャーを取り出した。
鏡夜は、服のポケットから様々なモノを取り出して組み立てる。 と言うか、どこに入れていたそんなもの。
どう見ても質量的に絶対に入りきらないモノが出るわ出るわ。
組み立て終わると其処には・・・
神楽坂「あ、あのぉ・・・鏡夜先生?それは一体・・・?」 鏡夜「コレ?・・・電子レンジを応用して作った、荷電粒子砲ならぬ家電粒子砲だよ!」
ドヤ顔で家電粒子砲をズズイと見せる鏡夜。誰が上手い事を言えと。
神楽坂「そ、そうですか・・・(あれ?でも、荷電粒子砲って確か加速器の小型化が進展しないから未だにサイエンスフィクション上の架空の兵器なんじゃぁ・・・)汗」 三沢「(電子レンジを応用って・・・あの大きさでどうやって10ギガワットのエネルギーを賄っているんだ?)」
個人でこれだけの技術があるのなら、特許とれるんじゃ?と思うのだが・・・深く考えたらヤバイ気がしたのですぐに思考から消すのだった。
氷牙「んじゃ、まずは俺から・・・あ、後ろに立つなよ?危ないから。念の為耳も塞いどけよ。」
言われ、一同は10メートル近く離れてから耳を塞ぐ。
氷牙「角度は・・・ちょい高めにして・・・このぐらいでいいか?3・・・2・・・1・・・ファイヤアアアア!!!!!!」
シュポン・・・と、気の抜ける様な音の後、弾が発射される。
ひゅるるるるるるるる・・・・・・チュドオオオオオオオオオオオオオン!!!!
数秒後・・・城に届いた弾が、発射された時の気の抜ける様な音とは段違いの破壊音を招いた。
鏡夜「次、いっきまーーす!ターゲット!ロックオン!!」
家電粒子砲を肩に担ぎ、片膝をついて自らを砲台として固定する。 プァープァープァーとチャージ音が響く。
鏡夜「エネルギー充填120%!目測による進路上の遮蔽物無し!と言うか遮蔽物毎撃ち抜く!!狙い撃つよ!!!家電粒子砲!!ファイヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ビュビイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!
直径凡そ300ミリの砲撃が直進し、未だに氷牙の放ったロケットランチャーの余波で撒き上がった煙が晴れる前に、1秒と掛らずに城に直撃した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.4 ) |
- 日時: 2013/05/07 15:16:46
- 名前: 孝(たか)
- 剣一「・・・・・・やったか?」
氷牙「剣一よぉ。それはフラグだ。」
そうして煙が晴れた先には・・・無傷の城が残っていた。
鏡夜「あーあ。剣一がフラグ建てるから・・・」 氷牙「全く、余計な事をしてくれたな。」
ジト〜〜〜っとした目で剣一を睨む2人。
剣一「あ〜〜スンマセンデシタ」
なんとなく納得がいかないが素直に謝る事にした剣一。
鏡夜「後でお仕置きねw」 剣一「スンマセン!マジスンマセン!!俺が全面的に悪かったです!!どうか勘弁してください!!」
一瞬で誠心誠意心を込めた魂の土下座が実行された。 一体、剣一は今までどんなお仕置きをされていたのだろうと、生徒達一同は思ったのだった。
氷牙「・・・・・・仕方ない。乗り込むか。」 鏡夜「ん〜でも、全員で行くのは得策じゃないよね?」 メリオル「なら、今回は半々だけ行く?」
あーだこーだ言っていても埒が明かないので、メリオルが案を出す。 2人もそれに賛成を示す。
そうして選ばれたのは・・・
傲慢の鍵を持つクロノス・亮・アルフチーム。 怠惰の鍵を持つメリオル・翔・美海チーム。 暴食の鍵を持つ鏡夜・万丈目・明日香・神楽坂チーム。
この三チームとなった。
氷牙「じゃ、頼んだぞ。俺達はここで待機してっから」 鏡夜「うん。あ、念の為。はいこれ、通信機。随時これで映像送るから。閉じ込められたら救援よろしく。さぁみんな!油断せずに行こう〜〜!」
『『おう!』』
鏡夜の掛け声に返事を返し、モーターボートを使って城に突き進んでいった。
ボートで近づいていくと、重厚な雰囲気を出す扉が少しずつゆっくりとだが開け放たれていく。
鏡夜「どうやら、歓迎してくれるみたいだよ?」 アルフ「入った途端に落とし穴とか仕掛けられてたりしないですかね?」
アルフは罠があると思い進言してみる。
鏡夜「ん〜僕なら落とし穴なんて詰まらない事はしないかな。どうせならいくつか部屋を用意して、ダンジョンみたいにそれっぽいモノを壁に書いて進ませて、到着した先は密室にして浸水させて鰐とかピラニアとか鮫とか入れて慌てふためき阿鼻叫喚の地獄絵図にするよ?」
またさらっとエゲツナイ事を良い笑顔で言い放つ鏡夜。 本当になんでこんな奴教師になれたんだよ。と、思わなくもない一同だった。
ボートから降りて道筋に沿って城の中へ入っていく。
??「ようこそ我が城へ・・・」
声のする方へ視線を向ける。
そこに居たのは血の様に赤いドレスを着た緑の髪を腰まで伸ばす美女が佇んでいた。
メリオル「貴女が・・・今回のセブンスターズの刺客かしら?」 カミューラ「ええ。私が、今回のセブンスターズの一人、カミューラ。ヴァンパイア・カミューラ」
鏡夜「ヴァンパイア?まだ生き残りが居たの?」 クロノス「何を言っているのーネ。ヴァンパイアなんて、いる訳ないのーネ!カンピオーネ!」
テキパキと通信機を起動させ、城の中の様子を待機している氷牙達にも分かるようにしながら鏡夜は、さも当たり前のようにヴァンパイアが居ても驚かないと言い、しかし逆にクロノスはその存在を真っ向から否定する。
カミューラ「別に信じる必要はないわ。だけど、私はこうしてここに居る。それが事実よ。さぁ!最初の生贄は誰かしら!」 クロノス「ワタクシが行きますーノ!ヴァンパイア?闇のゲーム?そんなものが無い事を、ワタクシーが、証明するのーネ!」
『『デュエル』』!!
クロノス「ワタクシのターン!ドローニョ!」
開始早々先攻を奪い取るクロノス。
クロノス「私ーは、フィールド魔法『歯車街』を発動!このカードがあるかぎーり、私ーノ『古代の機械』と名のついたモンスターのリリースが1つ減るのーネ。そして、私ーハ、手札から『先史遺産トゥーラ・ガーディアン』を特殊召喚するのーネ!このカードは、フィールド魔法が表側表示で存在する時、手札から特殊召喚出来るのーネ!」
トゥーラATK1800
クロノス「更に、[トゥーラ・ガーディアン]をリリースし、『古代の機械巨人』をアドバンス召カーン!」
機械巨人ATK3000
先攻1ターン目で最上級にしてクロノスの切り札古代の機械巨人が早々に姿を現した。
クロノス「カードを1枚伏せて、ターンエンドなのーネ!」手札2 カミューラ「私のターン。ドロー!私は、魔法カード[おろかな埋葬]を発動。デッキから[ゾンビ・マスター]を墓地へ送る。[ゾンビ・マスター]を攻撃表示で召喚。」
ゾンビ・マスターATK1800
カミューラ「更に、手札のモンスターカード1枚を墓地に送り、自分か相手の墓地のレベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚出来る。私は、3体目のゾンビ・マスターを墓地に送り、最初に墓地に送ったゾンビ・マスターを蘇生。更に[ペインペインター]を送り、3体目のゾンビ・マスターを蘇生。更に[馬頭鬼]を墓地に送り、チューナーモンスターペインペインターを蘇生。」
たった1枚のカードから4体ものアンデットを展開して見せるカミューラ。
クロノス「いくらモンスターを展開しようとも、私ーノ古代の機械巨人の足元にも及びませんーノ!」 カミューラ「それはどうかしら?私は、ペインペインターの効果を発動!1ターンに1度、私の場のアンデット族2体のレベルを2にする。ゾンビ・マスター2体のレベルを2に変更!ただし、この効果が適用されたモンスターをシンクロ素材とする場合、アンデット族のシンクロ素材にしか出来ないわ。」
ゾンビ・マスター☆4→☆2
クロノス「シンクロをする気ですーノ?」 カミューラ「・・・いいえ。私がレベルを変更したのは、こうする為よ!3体のレベル2モンスターで”オーバーレイ”!」
『『『オーバーレイだって(ですって)(デスーと)!?』』』
カミューラ「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!”現れろ、No.96!! 漆黒の闇からの使者”『ブラック・ミスト』!!」
カミューラの右側の首から肩にかけて96の文字が浮かび上がる。
ブラック・ミストATK100
翔「攻撃力・・・100?」 鏡夜「極端に低い攻撃力・・・何かある!」
カミューラ「ブラック・ミストで、古代の機械巨人に攻撃!」 クロノス「むむ!?攻撃力の低いモンスターで攻撃・・・何かしらの効果があるのーネ!?」
クロノスも今までパラメータ変化効果で苦汁をなめさせられている身。 そう簡単にはやられはしない。
カミューラ「この瞬間、ブラック・ミストのモンスター効果発動!オーバレイユニットを一つ使い、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を半分にし、その分をこのカードの攻撃力に加える!”シャドー・ゲイン”!!」
ブラック・ミストATK100→1600 古代の機械巨人ATK3000→1500
メリオル「フォース系能力!?」 亮「戦闘を行えばほぼ必ず戦闘破壊出来る数値に変動する効果だと!?」
パワーで攻めるカイザーにとっては天敵とも言えるモンスター効果だ。
カミューラ「食らいなさい!”ブラック・ミラージュ・ウィップ”!!」
ブラック・ミストの腕が触手の様に伸び、鞭の様に撓ると古代の機械巨人を滅多打ちにする。
クロノス「アウチ!?」LP4000→3900 カミューラ「ゾンビ・マスターで攻撃!”ポイズン・クロウ”!!」
毒の爪でクロノスに飛びかかるゾンビ・マスターをゾンビ・マスター。 しかしその瞬間、クロノスは罠を発動する。
クロノス「永続罠発動![リビングデットの呼び声]!墓地からトゥーラ・ガーディアンを攻撃表示で特殊召喚するのーネ!」
両者の攻撃力は1800。ここで同士撃ちにする事も出来るが・・・
カミューラ「・・・私は攻撃を中断。カードを1枚伏せて、ターン終了」手札0
だが、カミューラはそうせずにバトルを終えると、1枚仕掛けてターンを終了する。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.5 ) |
- 日時: 2013/05/11 00:17:22
- 名前: カイナ
- クロノス「私のターン、ドローニョ。手札から速攻魔法[禁じられた聖杯]を発動するノーネ! ブラック・ミストの攻撃力を400ポイントアップさせる代わりに効果を封じるノーネ!」
カミューラ「くっ!?」 No.96 ブラック・ミスト 攻撃力:1600→2000
翔「これでブラック・ミストの攻撃力の吸収効果はなくなるっす!」 亮「いや、それだけではない……そうなんだろう?」 翔「え?」
クロノスが発動した魔法の効果でブラック・ミストの力が失われていき、翔が歓声を上げると亮もふっと笑って呟く。
クロノス「ナンバーズ、セブンスターズが使う不思議なカードと氷牙先生から聞かせてもらったノーネ。ナンバーズはナンバーズ以外では戦闘破壊不能、そして当然私のデッキにナンバーズはない。しかーし所詮はカード効果、無効にしてしまえば破壊は可能ナノーネ!」 カミューラ「く……」
翔「そこまで読んで!?」 十代[すっげーぜクロノス先生!!]
クロノスのびしっとブラック・ミストを指差しながらの宣言にカミューラが苦しげな声を漏らすと翔が驚愕に叫び、通信機の向こうの十代も歓声を上げる。
クロノス「さらに私は歯車街の効果でリリースを一体少なくし[古代の機械合成獣]を召喚ナノーネ! バトルナノーネ! 古代の機械獣でブラック・ミストを攻撃! プレシャス・キメラ・ファング!!」 古代の機械合成獣 攻撃力:2300 カミューラ「ぐうぅっ!」LP4000→3700 クロノス「さらにトゥーラ・ガーディアンでゾンビ・マスターを攻撃するノーネ!」 カミューラ「ぐっ!」 クロノス「ターンエンドナノーネ!」手札一枚
一気にカミューラの場が全滅、クロノスはにやりと笑ってカードを一枚伏せるとターンを終えた。
カミューラ「私のターン、ドロー……ククク」
カミューラはカードをドローするとクククと不気味に笑い始め、クロノスが眉をひそめるとカミューラはクロノスを見る。
カミューラ「あなた、なかなかやりますわね。正直最初はそっちのイケメンとチェンジしてもらいたかったんですが」
亮「む……」
クロノス「私の大切な生徒に手は出させないノーネ!」
カミューラはそう言って亮に目を向け、亮が声を漏らすとクロノスは毅然として言い放つ。とカミューラはくっくっと笑った。
カミューラ「でも、もうここまでですわ! 魔法カード発動[幻魔の扉]!!」 クロノス「幻魔の扉!? なんなノーネ!?」
亮「聞いたことがないカードだ……」 神楽坂「俺も見たことがない……」 鏡夜「あのカード……まずい……」
カミューラがドローしたカードを発動するとクロノスが声を上げ、亮と神楽坂のこの生徒の中でもカード知識トップの二人も首を傾げ、鏡夜はそのカードを直感的にやばいものだと判断したのかそう漏らす。そう思うとカミューラの背後に巨大な扉が現れ、少しずつ開き始めた。さらにカミューラの口元が裂けていく。
カミューラ「幻魔の扉……このカードはまず、相手フィールドのモンスターを全て破壊する事が出来る!!」 クロノス「なぬっ!?」
そう言うと同時に開いた扉から漏れ出した煙がクロノスの場の古代の機械合成獣を破壊した。
カミューラ「もっといいことを教えて差し上げますわ、クロノス先生。フフフフフフ……」
カミューラの口元が元に戻ったと思うとカミューラの身体がもう一つ現れる。
クロノス「シ、シニョーラカミューラが二人!?」 カミューラ「このカードは、このデュエル中に使用されたモンスターを、条件なしで特殊召喚できる」 クロノス「わ、私のモンスター全滅の上召喚条件無視の特殊召喚!? まるで禁止カードサンダーボルトと制限カード死者蘇生上位バージョンナノーネ!?」 カミューラ「もちろん、その代償は高いわよ。このカードの発動条件、それは……この私の魂! 私が負けた場合、私の魂は幻魔のもの!」
クロノスはカミューラが二人に増えたことと幻魔の扉の能力に二度驚きの声を上げ、さらにカミューラがそう言うと同時に分身体カミューラが白く輝きだす。
明日香「幻魔の……」 万丈目「命がけのインチキカードってことか……」
クロノス「馬鹿馬鹿しい! 二つのインチキ効果には驚きマシターガ、そんな発動条件のカードナンーテ存在するはずがないノーネ!」
明日香の万丈目の呟きとは対照的にクロノスはその発動条件を馬鹿馬鹿しいと一蹴する。
カミューラ「ふふふ、では証拠としてせっかくの闇のカード、もっと闇のデュエルらしく使わせていただきますわ」
クロノスの言葉に対しカミューラはふふふと怪しく笑い、生徒達をちらりと見る。
カミューラ「例えば、あなたの大切な生徒達に身代わりを頼むとしたら?」 クロノス「っ! 鏡夜先生!! 私はいいカーラ皆を逃がすノーネ!!!」
鏡夜「くっ! すみません、クロノス教諭!!」
カミューラの怪しげな笑みを浮かべながらの言葉、それにクロノスは教師としての本能的に生徒の危険を感じ取ったのか鏡夜に向けて叫び、鏡夜も咄嗟にモーターボートを反転させその場を逃走しようとする。
カミューラ「遅い!!!」
しかしカミューラの分身は不思議な光を纏いまるで瞬間移動したかのような速さで、走り出したモーターボートに肉薄。
カミューラ「ま、この子でいいかしら」 翔「え?」
そこで標的に選ばれたのは偶然にも鏡夜から離れた席に座っていた翔。
亮・美海「「翔!!!」」
兄と恋人の二人が咄嗟に手を伸ばすが間に合わず、カミューラの分身は翔の首筋に噛みつくとそのまま浮遊し、カミューラ本体の元に戻る。
クロノス「シニョール丸藤翔!!!」 カミューラ「この子の魂を生け贄に、古代の機械巨人を召喚!!!」 翔「う、あああぁぁぁぁっ!!!」 古代の機械巨人 攻撃力:3000
クロノスも声を上げ、カミューラがそう叫ぶと共に彼女の場にクロノスのエースカードがゆっくりと立ち上がる。それと共に翔の悲鳴が響き渡った。
カミューラ「この古代の機械巨人を倒してごらんなさい? 蘇るために生け贄にされたこの子の魂は、もう二度とこの世界に戻れなくなる!!……それでもいいかしら?」 クロノス「そんな、そんなはずないノーネ……」
カミューラの言葉にクロノスは否定の言葉を紡ぐがその声は弱々しく、身体も若干震えていた。
カミューラ「古代の機械巨人でプレイヤーにダイレクトアタック!!」 クロノス「ぬあああぁぁぁぁっ!!!」LP3900→900
全員『クロノス先生!!!』
カミューラの指示と共に動き出した機械の巨人は自らの真の主を躊躇いなく殴り飛ばし、クロノスは悲鳴を上げながら吹っ飛ばされ観客となっている全員が悲鳴を上げる。
クロノス(こ、この痛みーは、まさか……闇のデュエルとやらは現実ーニ?……)
クロノスは立ち上がりながら心の中で呟き、突如身体を走ったダメージに膝をつく。とカミューラはそれを見てふんと鼻を鳴らした。
カミューラ「ふん、この私にこんな弱くて、無様なデュエリストを差し向けるとは――」 ??[そいつは違うぜ!!!]
カミューラの言葉を遮る力強い言葉。それに全員が声の方を向いた。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.6 ) |
- 日時: 2013/05/11 00:18:10
- 名前: カイナ
- 全員『十代!』
そこにいたのは半透明の十代の姿。いや、通信機のソリッドビジョンシステムを使ってソリッドビジョンとして姿を現している十代だ。
十代[クロノス先生は強ぇぜ!]
クロノス「ドロップアウト……ボーイ……」
十代[戦った俺が言うんだ! 間違いない!!」
クロノス「くっ……ぐ、ぬぬぬぬぬ……」
十代の言葉を聞いたクロノスは身体中に力を込めて立ち上がり、カミューラを毅然とした瞳で睨み付けた。
カミューラ「あら、お目覚め?」
クロノス「私はデュエリストであり教師! 生徒の前で無様を見せるわけにはいかないノーネ! 私のターン、ドロー!! 私は魔法カード[強欲な壺]を発動し、カードを二枚ドロー!」
クロノスはそう叫んでカードをドローし、目の前の古代の機械巨人、そしてその後ろに佇むカミューラとその横で分身体に抱かれている翔を見る。
クロノス(私のドローカードは二枚目の[歯車街]と[リミッター解除]、歯車街をセットする事で既に発動している歯車街を破壊、その効果でデッキから古代機械の巨竜を特殊召喚。さらに間髪入れずセットした歯車街を発動、手札にある[古代の機械獣]をリリースを一体少なくして召喚し、リミッター解除を発動しアンティーク・ギアを強化。巨竜で巨人を打ち倒し、獣でのダイレクトアタックで私の勝ち……ですが……)
クロノスは頭の中で一気に策を練り上げていく。しかしその中で一つどうにも出来ない気がかりがあった。彼の瞳にぐったりとなっている翔の姿が映る。
クロノス(もしこれでシニョール丸藤翔が……くっ)
クロノスは心の中で呟き、悔しそうに拳を握りしめる。
クロノス「私は、ターンエンドナノーネ!」
十代[クロノス先生!?]
クロノス「私は、教師として大切な生徒を守る義務があるノーネ!……諸君、よく見ておくノーネ! そして約束するノーネ!」
クロノスは毅然とした態度で言い放ち、生徒達を見て力強く言う。
十代[約束……]
クロノス「例え闇のデュエルに敗れたとしても闇は光を凌駕できない。そう信じて決して心を折らぬ事。私と約束してくだサイ」
亮「クロノス教諭……」 十代[クロノス先生……]
クロノスの言葉に亮と十代は声を漏らし、クロノスはふっと優しげに微笑む。
クロノス「シニョール十代、あなたの大切な友達はせめて私が守るノーネ……鏡夜先生、メリオル先生、氷牙先生……後はお任せします。レオ先生にもそう伝えて欲しいノーネ」
鏡夜「……任せておいてください」 メリオル「はい。クロノス教諭」 氷牙[ああ]
クロノスの言葉に教師陣が頷き、生徒達も全員決意を込めた表情で頷く。
カミューラ「最後の授業は終わったかしら?」 クロノス「いつでも来いナノーネ!!!」
カミューラの問いかけにクロノスは力強く叫び、カミューラはニヤァと笑みを見せる。
カミューラ「ならば、古代の機械巨人でダイレクトアタック!!」 クロノス「うああああぁぁぁぁぁっ!!!」LP900→0
その言葉と共に動き出した巨人の一撃がクロノスに止めを刺す。
十代[クロノス先生!!!]
クロノス「ボーイ……光の、デュエルを……」
十代の声が響き、クロノスはそう呟くとがくりと倒れこむ。
カミューラ「ジ・エンドよ」
カミューラは丁寧なお辞儀をするようなポーズを見せてそう呟く。
万丈目「クロノス……教諭……」 十代[……かっこよかったぜ。クロノス先生……]
万丈目と十代の呟き、それが静かに響き渡った。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.14 ) |
- 日時: 2013/05/12 02:45:06
- 名前: 孝(たか)
- 鏡夜「クロノス教諭!返事をしてください!」
気を失ったクロノスに駆け寄る鏡夜。攻撃力3000もの直接攻撃を2度も食らったのだ。 セブンスターズとの対決で最も大きい一撃は氷牙や十代の受けたダメージとは段違いの威力である。
鏡夜「・・・よかった、息はある。」
クロノスを抱き寄せ、安否を確認した鏡夜の一言に一同は一様の安堵を見せる。
鏡夜「ヴァンパイアカミューラ。翔君を返して貰おうか?」
クロノスを再び床に寝かせると、ユラリを立ち上がってカミューラを睨みつける鏡夜。 大人しく返せば良し、でなければ・・・と、殺気を込めて。
カミューラ「そう言われて、はいそうですかと返すと・・・」 鏡夜「”俺は”、返せと言った。」
いつの間にかカミューラの背後に立ち、どこからか取り出したのか二振りの刀を交差してカミューラの喉元と首の左側に刀を添えて皮膚の寸前で止めている。
カミューラ「いつ、の間に・・・?」
鏡夜はまるで最初からそこに居たかの様に一瞬でカミューラを追い詰める。
鏡夜「返してほしいのは質問ではない。翔君を返せと言っている。3度目は・・・無い」 カミューラ「くっ・・・」
カミューラは仕方がないと思ってか、分身を消して翔を解放する。 解放された翔は気を失っている為、そのまま床に倒れる。
鏡夜「亮君。翔君を安全な所へ」 亮「はい!」
亮も急いで翔の元へ駆け寄るり、すぐさま抱き起す。 首から少しばかり血が出ているが、命に危険は無い様なので翔を背負って仲間と合流。
??「くくく・・・無様だな、カミューラ」
どこからともなく、カミューラとは違う女性の声が響く。
カミューラ「・・・帰って来たのね。エヴァ。」 エヴァ「詰まらん手を使っているから腕が鈍るのだ。少しは悪としての誇りを持ったらどうだ?」
声のする方へ視線を向けると・・・レオタードの様な衣装に、ボロボロの黒いマントという奇抜な恰好をした美しい金髪の女性がガラス窓の淵に腰かけていた。
鏡夜「うわ。変な恰好・・・露出狂?」
いつの間にかカミューラから離れ、既に皆と合流していた鏡夜。 しかも口調も素にもどり、エヴァを見て率直な感想を漏らす。
エヴァ「どの様な恰好をしようと私の勝手だろうが。まぁいい。自己紹介と行こうか。我が名はエヴァンジェリン。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。真祖の吸血鬼だ。 裏の世界では闇の福音、マガ・ノスフェラトゥ(不死の魔法使い)、人形使い、禍音の使徒(かいんのしと)などと呼ばれていたな。今回は、コヤツの相方として参上した。」
氷牙[な・・・なぜ・・・] 鏡夜「どうしたの氷牙?もしかして、あの露出狂と知り合いなの?今度から僕に近づかないでね?」
ソリッドビジョンの氷牙には遠慮なく毒を吐く鏡夜。しかし、当の本人たる氷牙はそれどころではない。
エヴァ「氷牙?氷牙ではないか!漸く見つけたぞ!苦節26年。どれほどこの時を待った事か!」 氷牙[何故、お前が此処に居る・・・キティ!!]
何とも可愛らしい愛称でエヴァを呼ぶ氷牙。
エヴァ「だからその部分で呼ぶなと言っておろうが!?だが許す!お前が私のモノとなるのならその愛称で許してやろう!」
十代[氷牙さん。なんでキティなんだ?] 氷牙「A・Kってのは、アタナシア・キティの略だ。あいつは元人間。今から凡そ600年ほど前にある実験によりその存在を吸血鬼へと変貌させられた10歳の少女。 当時は魔女狩りのあった時代だ。火あぶりにしても串刺しにしても死なない為に、200年くらい前にある遺跡で封印されていた。 因みに、あの姿は幻術で大人に見えるだけで、本当の姿は小学生くらいだ。」
十代の質問に答え、己の知る限りのエヴァの情報をすらすらと吐き出す。
エヴァ「覚えていてくれたか。私は嬉しいぞ氷牙。さぁ、私と共にめくるめく快楽の・・・」 氷牙[だから嫌だって言ってんだろうが!?600年も生きてきて脳味噌腐ってんのか!?お前本当は吸血鬼じゃなくてゾンビじゃねぇのか!?]
氷牙にしては珍しく、まるで鏡夜にツッコミを入れる様に毒を撒き散らす。
エヴァ「ふふふ・・・あぁ。良い。良いぞ!もっと罵れ!その声で私を蔑み、罵倒してくれ!?」
『『『へ、変態だ・・・』』』
氷牙に罵られ、軽蔑されているのにそれに快感を覚えて頬を赤く染めながらゾクゾクと震えるエヴァ。
氷牙[うああああああ!?!?だから嫌なんだよコイツの相手は!誰かコイツを倒してくれ!?頼む鏡夜!あの変態をコテンパンにしてくれ!?再起不能に!]
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱しながら鏡夜に懇願する。
鏡夜「嫌だよ変態の相手なんて・・・ていうか、なんで君あんなのにストーカーされてるのさ?」
が、即答で拒否られた。
氷牙[・・・アイツの封印解いたの俺なんだよ]
ものっそい暗い表情と焦燥仕切った表情がないまぜになりながら答える。
鏡夜「なんでわざわざ解いたのさ。」 氷牙[解きたくて解いたんじゃない。紛争地域で暴れてて、偶々弾避けに遺跡の壁に隠れてたら床が崩れて落ちた。 そしたら落下した先に罠のスイッチがあって、偶然にも踏んで罠が作動。 まるで鏡夜の研究所に誤って踏み込んだ時みたいに次々に罠が作動して、全部から逃げ切った部屋で躓いたら持ってた槍で部屋にあった棺壊しちまって・・・]
鏡夜「そこに居たのが、あの変態の女の人?」 氷牙[いや、そんときはただの尊大な態度の生意気なマセガキみたいな感じだった。いきなり抱きついてきたと思ったら噛みついて血を吸われて、しかも俺の血が気にいったらしい。]
エヴァとの慣れ染めを淡々と、しかし心底嫌そうな表情で語る。
氷牙[なんか知らんが手から氷柱とか雷とかバンバン撃ち出してきたから・・・全部避けて槍のフルスイングで倒して逃げた。]
真祖の吸血鬼とガチバトルして勝利する人間て・・・。
氷牙[それからというもの、見敵必殺とでも言う様にどっかで遭遇する度にガチバトルになって・・・勘弁してほしくてとりあえず休戦して1年程旅してた。] 鏡夜「まさか・・・」 氷牙[それがまずかった。戦争に行ったり孤児院に寄付とかして回ってたらなんか気にいられた。]
戦争になれば敵は容赦なく殺した氷牙。孤児たちに見せる穏やかな表情。 表と裏の表情のギャップがツボに入ったらしい。
氷牙[そんでプロポーズされたからスッパリ断った。] 鏡夜「なんで?」 氷牙[なんでてって・・・俺そん時もう凛と婚約してただろうが。] 鏡夜「・・・あぁ〜そう言えばそうだね。って事は何?婚約者がいるのに女の子と旅してたの?浮気じゃん。」
事も無げに浮気扱いされた氷牙。
氷牙[誰が浮気だ!?ストーカーされてただけだ!?言ってみれば、お前と神鈴と同じようなもんだ!?]
それは自分の娘を変態ストーカーと認めた事になるのだが自覚はあるのだろうか?
鏡夜「でも、それだけでなんであんな変態になるの?」 氷牙[・・・多分、プロポーズされた日の夜中に簀巻きにして川に流したからじゃね?]
吸血鬼は流水が苦手です。
鏡夜「それって、溺れたんじゃないの?まさか、無駄に頑丈な身体だから精神障害に陥ったけどそれが変態って方向にベクトル変換したの?」 氷牙[・・・恐らく、な。]
鏡夜「自業自得じゃん。責任取りなよ。」 氷牙[俺に凛と別れろと言うのか!?絶対嫌だ!今の幸せを捨てるなど、俺には出来ん!]
出来る妻と一男二女という家庭円満な暮らしを捨てるなんて出来ないと声高に叫ぶ氷牙だった。 その後も、エヴァの要求を呑もうとしない氷牙に業を煮やし、遂には悪の魔法使いらしいやり方・・・頷くまで生徒を一人ずつ闇のデュエルで葬ると宣言し、手始めにカイザー亮へデュエルを仕掛けるのだった。
『デュエル!』 エヴァ「私の先攻。ドロー!私は、[ギミック・パペット‐死の木馬]を召喚。効果を発動する。自分フィールド上の[ギミック・パペット]を破壊し、手札から2体のギミック・パペットを特殊召喚する! 来い!ギア・チェンジャー!ボム・エッグ!更に、ボム・エッグの効果!手札のギミック・パペットを捨て、ボム・エッグのレベルを8に変更! そして、ギア・チェンジャーは他のギミック・パペットのレベルをコピーする。ボム・エッグのレベルをコピーし、1から8へ変更!更に、墓地に捨てたネクロ・ドールの効果発動!墓地のギミック・パペットを1体除外し、自身を蘇生させる!来い!ネクロ・ドール!」
十代「レベル8のモンスターが・・・3体!?」 エヴァ「行くぞ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!”王者の前にひれ伏すが良い”!現れよ!《No.88 ギミック・パペット−デステニー・レオ》!」」
運命獅子:ATK3200 ORU3
エヴァ「効果発動。バトルフェイズを放棄し、ORUを1つ取り除き、デステニーカウンターを1つ置く。カウンターが3つ乗った時、私はデュエルに勝利する!」手札2 亮「俺のターン。ドロー!相手の場にのみモンスターが存在する時、[サイバー・ドラゴン]は手札から特殊召喚出来る。守備表示で場に出し、カードを3枚伏せて、ターンエンドだ」手札2
流石のカイザーも、今の時点では防衛に回るのがやっとであった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.16 ) |
- 日時: 2013/05/21 19:43:34
- 名前: カイナ
- 亮「俺のターン、ドロー!……俺は[サイバー・フェニックス]を守備表示で召喚し、ターンエンドだ」手札二枚
サイバー・フェニックス 守備力:1600 エヴァ「私のターン、ドロー。私はデステニー・レオの効果を発動し、オーバーレイユニットを一つ取り除いてデステニーカウンターを一つ乗せる。ターンエンドだ」手札二枚
メリオル「これであと一つ。次のターンでデステニーレオを除去しなければ……」 翔「お兄さん……」
エヴァは着々と勝利に手を進めていき、メリオルの冷静な言葉に対し翔は心配そうな声を漏らし、亮はそれをちらりと見るとキッとエヴァを睨み、デッキに指をかけた。
亮「俺のターン、ドロー!」
そして勢いよくカードを引き抜き、ドローカードを見る。とにやりと笑みを浮かべてそのカードをデュエルディスクに置いた。
亮「俺は[プロト・サイバー・ドラゴン]を攻撃表示で召喚!」 プロト・サイバー・ドラゴン 攻撃力:1100 エヴァ「ふ。そんなモンスターが最後だったか」
亮の召喚したモンスターを見たエヴァがふっと笑みを見せると亮はさらに手札を取った。
亮「俺は速攻魔法[フォトン・ジェネレーター・ユニット]を発動! 俺の場のサイバー・ドラゴン二体をリリースし、手札・デッキ・墓地から[サイバー・レーザー・ドラゴン]を特殊召喚する!」 エヴァ「何!? 貴様の場にサイバー・ドラゴンは一体しか……そうか!?」 亮「そう。プロト・サイバー・ドラゴンはフィールドに存在する時そのカード名をサイバー・ドラゴンとして扱う! よってサイバー・ドラゴン二体をリリースし、デッキから[サイバー・レーザー・ドラゴン]を特殊召喚!!」 サイバー・レーザー・ドラゴン 攻撃力:2400
その言葉と共に姿を現すのは全体的にシャープな身体となり、尾にレーザー砲を装備したサイバー・ドラゴン。
亮「サイバー・レーザー・ドラゴンの効果発動! 一ターンに一度このカードの攻撃力以上の攻撃力か守備力を持つモンスター一体を破壊する事ができる! デステニー・レオの攻撃力は3200! サイバー・レーザー・ドラゴンよりも上だ!!」
翔「ナンバーズは効果破壊には対応してないっす!!」
亮の言葉に翔は顔をぱぁっと輝かせ、その声を聞いた亮の口元に笑みが浮かぶ。
亮「サイバー・レーザー・ドラゴンでデステニー・レオを破壊する! 破壊光線、フォトン・エクスターミネーション!!」 エヴァ「くっ!?」
サイバー・レーザー・ドラゴンの尾から放たれた破壊光線がデステニー・レオを撃破。一気にエヴァの場ががら空きとなる。
亮「サイバー・フェニックスを攻撃表示に変更し、バトル! サイバー・フェニックスでダイレクトアタックだ!!」 サイバー・フェニックス 守備力:1600→攻撃力:1200 エヴァ「くくく。残念だが手札の[バトルフェーダー]の効果発動。ダイレクトアタックの宣言時にこのカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させてもらう」
機械の不死鳥の突進が突如出てきた悪魔に遮られ、バトルフェイズが強制終了される。
亮「く……俺はこれでターンエンドだ」手札一枚 エヴァ「私のターン、ドロー。私は魔法カード[死者蘇生]を発動。墓地からデステニー・レオを特殊召喚。まあオーバーレイユニットはないからバニラも同然だ、気にするな」 デステニー・レオ 攻撃力:3200
エヴァの場に再び姿を現す運命の獅子。特殊勝利の効果は使えなくなっているとはいえ攻撃力は3200で亮どころか今ここにいるメンバーに対してならば実質的な戦闘破壊耐性を持つ厄介なモンスターであることには変わりなかった。
エヴァ「バトル。デステニー・レオでサイバー・レーザー・ドラゴンを攻撃!」 亮「ぐあああぁぁぁっ!!」LP4000→3200 エヴァ「リバースカードを一枚セットし、ターンエンドだ」手札零枚
運命の獅子の一撃がレーザー砲装備サイバー・ドラゴンを一撃で破壊し、エヴァは最後の手札を伏せるとターンエンドを宣言した。
亮「俺のターン、ドロー! 俺は魔法カード[壺の中の魔術書]を発動! 互いにデッキからカードを三枚までドローする。俺は三枚ドロー!」手札四枚 エヴァ「私も三枚ドローさせてもらおう」手札三枚 亮「さらに魔法カード[天使の施し]を発動! デッキからカードを三枚ドローし、二枚捨てる……よし。俺は魔法カード[パワー・ボンド]を発動! このカードは機械族モンスター専用の融合カード、それにチェーンして速攻魔法[サイバネティック・フュージョン・サポート]を発動! このカードはライフを半分払って発動し、機械族モンスターを融合素材とする時、墓地から融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを除外する事で融合素材の代用とすることができる! 俺は墓地のサイバー・ドラゴン三体をゲームから除外!!」LP3200→1600
翔「お兄さんの最強カードっす!!」
亮は一気に増えた手札と手札交換カードを駆使して自身の最強モンスターを呼び出す準備を整え、そのコンボに翔が歓声を上げる。
亮「いでよ、[サイバー・エンド・ドラゴン]!!! パワー・ボンドの効果で攻撃力は倍となる!!!」 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:4000→8000
そして亮の場に彼の切り札である白銀の機械竜が降臨した。
亮「バトル!!! サイバー・エンド・ドラゴンでデステニー・レオを攻撃!! エターナル・エヴォリューション・バーストォ!!!」 エヴァ「リバースカードオープン[和睦の使者]!! このターン受ける戦闘ダメージは0となり、私の場のモンスターは戦闘によっては破壊されない!」
機械竜のブレスが突如現れた修道服姿の淑女達に防がれてしまい、亮は悔しそうに口元を歪める。
亮「メインフェイズ2に移行。[サイバー・ジラフ]を召喚し、効果発動! このカードをリリースする事でこのターンのエンドフェイズまで、俺が受ける効果ダメージを0にする。サイバー・フェニックスを守備表示に変更し、ターンエンドだ」手札一枚 サイバー・フェニックス 攻撃力:1200→守備力:1600
しかし亮は自身のカードで自爆する事はなく、自身の場に最強のモンスターを残したままターンエンドを宣言した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.17 ) |
- 日時: 2013/05/21 19:44:14
- 名前: カイナ
- エヴァ「私のターン、ドロー……ほう」
エヴァはカードをドローするとほう、と笑みを見せた。
エヴァ「面白いことになりそうだ……私は墓地のネクロ・ドールの効果発動。墓地からマグネ・ドールを除外しネクロ・ドールを再び特殊召喚。魔法カード[星に願いを]を発動する。自分フィールド上に存在するモンスターを一体選択し、そのモンスターと同じ攻撃力もしくは守備力を持つモンスターのレベルは選択したモンスターと同じとなる。私が選択するのはネクロ・ドール、その攻撃力・守備力は0。よって攻撃力・守備力が0のバトルフェーダーのレベルが8となる」 ネクロ・ドール 守備力:0 バトルフェーダー レベル:1→8
鏡夜「またレベル8モンスターが二体……」
エヴァの言葉に鏡夜がそう漏らす。
エヴァ「さあ、もう一体ナンバーズを見せてやろう。私はレベル8のネクロ・ドールとバトルフェーダーをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!! 出でよ、[No.15 ギミック・パペット−ジャイアントキラー]!!」 ジャイアントキラー 攻撃力:1500
その言葉と共に姿を現すのは巨大な操り人形としかいいようのないモンスター。そのなんとなく不気味な外見に子供達は僅かに後ずさった。と、エヴァはさっきドローしたカードを発動する。
エヴァ「魔法カード[強制転移]を発動。互いのプレイヤーは自分のモンスターを一体選択し、そのモンスターのコントロールを相手に移す。私はデステニー・レオを選択する。さあ、ぼーやも自分のモンスターを選択したまえ」 亮「……俺はサイバー・フェニックスを選択する」
エヴァの発動したカードによって亮の場に移る運命の獅子とエヴァの場に移る機械の不死鳥。あまりに不可解なプレイングに亮は眉を顰め、逆にエヴァは興奮しているような笑みを見せた。
エヴァ「ジャイアントキラーの効果発動。自分のメインフェイズ1にこのカードのエクシーズ素材を一つ取り除き、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター一体を破壊する。この効果は一ターンに二回まで発動可能だ。私はジャイアントキラーのエクシーズ素材、ネクロ・ドールとバトルフェーダーを取り除き、サイバー・エンド・ドラゴンとデステニー・レオを破壊する!!!」 亮「何!?」
エヴァの言葉と共にジャイアントキラーの両掌から糸が放たれて三本首の機械竜と運命の獅子を束縛。すると胸部のローラーが高速回転を始め、二体のモンスターは少しずつそのローラーに引っ張られていく。
メリオル「ま、まさか……」
メリオルが呟くのもつかの間、二体のモンスターは高速回転するローラーへと引きずり込まれ、ギャゴオオオォォォォッという粉砕音が響き渡る。それはまるで生きたまま粉砕されるサイバー・エンド・ドラゴンの悲鳴のようにも聞こえ、その凄惨な光景を目の前で見せつけられる亮はわなわなと震え子供達は必至で両手で顔を覆い目を背ける。その中でも翔からは泣き声が聞こえてくる。メリオルや鏡夜達大人も顔をしかめていた。そしてエヴァはその粉砕音を聞いて興奮したように頬を上気させ、妖艶な笑みを浮かべたまま言葉を紡ぐ。
エヴァ「そして破壊したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。デステニー・レオの攻撃力は3200……ぼーや、それを受けてもらおうか」 亮「な、ぐああああぁぁぁぁっ!!!」LP1600→-1600
エヴァの言葉と共に亮のライフが一気に削られる。しかしエヴァはまだ終わっていないとばかりに笑みを見せていた。
エヴァ「これはおまけだ、遠慮せずに受け取るといい。サイバー・フェニックスを攻撃表示に変更」 サイバー・フェニックス 守備力:1600→攻撃力:1200
鏡夜「まさか!?」
エヴァ「サイバー・フェニックスとジャイアントキラーでダイレクトアタック!!! 受けよ、ファイナルダンス!!!」 亮「ぐあああああぁぁぁぁぁっ!!!」LP-1600→-4300
エヴァはデュエルが終了しているにも関わらず追撃をしかけ、亮の苦痛の悲鳴が響き渡りそれに翔ははっとしたように顔を上げ、そこで亮が吹っ飛ばされる光景を見る。
翔「お、お兄さん!!!」
そして翔の悲鳴も城内に響き渡った。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.18 ) |
- 日時: 2013/05/23 04:59:51
- 名前: 孝(たか)
- 氷牙「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ガシッ!!
ズザザザザアアアアアアアアアッ!!
何処からか駆けつけた氷牙が吹っ飛ばされた亮をキャッチするとブレーキをかけるように止まる。
鏡夜「氷牙。もう来たの?」 十代[凄かったぜ。海の上を文字通り走ってたからな]汗
どうやら氷牙はエヴァと亮がデュエルを始めた時点でこちらに向かって来たらしい。 文字通り海の上を走って。
氷牙「亮!亮!!」 亮「う・・・ぐぅ・・・はぁっ!・・・氷、牙・・・さん。」
闇のデュエル。それもナンバーズのライフ超過後のダイレクトアタックは思いの外ダメージが大きかった様だ。
氷牙「なんとか、無事の様だな。ここは任せて・・・脱出しろ」 亮「すみ、ま、せん・・・クロノス、教諭の・・・仇、とれごほっ!」
亮は痛みよりも、クロノスの仇を取れなかった事の方が苦しい様だ。
氷牙「もういい。後は俺がなんとかして見せる。だから、もう休め。」 亮「おね、がい・・・します。」
そういって、亮はガクリと気を失った。
氷牙「鏡夜。ここは、俺がなんとかする。今の内に、脱出してくれ。」 鏡夜「・・・・・・・はぁ。・・・わかったよ。でも、無茶はしない様にね」
溜め息を吐きつつも了承し、亮を背負うとモーターボートへ戻り、脱出していく。 鏡夜達が城から出ると同時に、氷牙を逃がさないとばかりに扉が閉じた。
エヴァ「氷牙・・・漸く私のも・・・」 氷牙「”エヴァンジェリン”・・・」
先程までキティという愛称で呼んでいたのに、ファーストネームで呼ぶ氷牙。
ジャキン!!
そして、紛争地域ではよく使っていた槍を取り出す氷牙。 その槍は、槍と言うよりは大剣と言えるような形状をしていた。 突撃槍の刃に、直接グリップを埋め込んだ様なその槍は、大剣の様な巨大さながら、片手で振りまわせるように作られている。
氷牙「・・・・・・俺の生徒を傷付けた以上、お前は俺の”敵”だ」
今までの変態に対する拒絶ではない。敵に対する絶対の拒絶。 同じ拒絶で有るが、その内容は大きく違っている。
エヴァ「氷、牙?」 氷牙「二度と、俺の名を気安く呼ぶな!闇の福音。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。俺はお前を許さない。ここで、果てろ!!」
ドゴッ!!っと、床を陥没させる程に踏み込み、エヴァに肉薄すると左手に持った槍を振り下ろす。
ガキンッ!!
振り下ろされた槍を、魔力を腕に纏わせ剣の形に固めて受け止めるエヴァ。
ギチギチと鍔迫り合いになりながら、氷牙は酷く冷たい瞳でエヴァを睨んでいる。
エヴァ「・・・・・・・何故だ。」 氷牙「・・・・・・」
エヴァの問いに答えるつもりは無いと、無言のまま腕に力を込めて押しやる。
エヴァ「何故判ってくれない。どうして私を認めてくれない・・・私は!」
シャキンッ!
聞く耳は持たないと瞳で語りながら氷牙は軸を逸らして振り払い、その反動を利用して一回転しながら横凪に振るう。
ガキンッ!!
魔力の剣に左手を添えて再び氷牙の槍を受け止めるエヴァ。
エヴァ「私は!こんなにも、貴様を愛しているのに!」
その瞳から涙を溢しながら慟哭の如き激しさで訴える。
氷牙「・・・認めていたさ。お前の誇りある悪としてのお前はな。だが、お前は俺の生徒を傷付けた。拒絶する理由はそれで十分だ!」
ギャギンッ!!
エヴァの剣に槍を走らせバランスを崩したところで、残像が見えそうな程の速さで連続突きを放つ。
ガギンッ!ギャギンッ!ギンッ!キンッ!
エヴァ「くっ!ぬ!くぅ!?」
氷牙の片腕で放たれる連続の突きに対して、両手で剣を支えながら防ぐのがやっとのエヴァ。明らかに氷牙に分がある。
エヴァ「ううう・・・氷爆!!」
突きが迫るその瞬間、指を鳴らすと冷気の爆発が起こった。
ズザザアアアアアア・・・
爆風により吹き飛ばされ、距離を開けられてしまう。軽く身体を見て損傷を確認すると、白衣の一部が凍結していた。
氷牙「・・・・・・ちっ。魔法か。」 エヴァ「・・・・・・氷牙、一つ賭けをしないか?」
エヴァは一瞬で策を練った様で、賭けに出た。
氷牙「・・・・・・」
氷牙はそれに答えないが、一応話だけは聞く様だ。
エヴァ「ここは、デュエルで勝敗を決めよう。私はセブンスターズとして、貴様は鍵の守護者として・・・元々、そう言う立場で対峙してるのだからな・・・」 氷牙「・・・」
そう、考えて見れば元々敵対関係でここに居るのだ、たまたまエヴァがセブンスターズという敵になった。
氷牙を手に入れるという私利私欲で闇のデュエルを亮に仕掛けたが、結局は戦わなければならなかったのだ、それが遅いか早いかの違いではないかと言う事なのだろう。
言外にそう含めて、氷牙とのガチバトルを回避しようとするエヴァ。
エヴァ「私も、血が昇って居たとはいえ、遅かれ早かれ七精門の鍵を手に入れるには貴様達を全員倒さねばならない立場。そこに、たまたま氷牙、お前が居ただけの事だ。」 氷牙「・・・だから、自分は悪くないとでも言うつもりか?」
更に視線をきつくしてエヴァを睨む氷牙。
エヴァ「そうではない。理由がどうであろうと、仕掛けたのは私だ。弁解はしない。」 氷牙「・・・・・・・・・・・良いだろう。エヴァンジェリン。その潔さに免じて、今だけは怒りを鎮めてやる。」
エヴァは表情には出さないが、内心ホッとしていた。 26年前・・・何度もガチバトルしたが、氷牙の人間離れした戦闘力は真祖の吸血鬼である自身が勝てないと認めている。
だが、デュエルであるならばまだ勝機はあると踏んだ。
エヴァ「私が勝ったら、私を、私として見てくれるか?」 氷牙「・・・・・・・俺が勝ったら、二度と言い寄らないと誓えるか?」
熟考・・・エヴァは葛藤を続ける。 負ければ氷牙へのアプローチを諦める。 勝てば氷牙に自分を一個人として見てもらう。
勝っても負けても、エヴァにとっては低いデメリット。 言い寄らなければいいだけで、来るなと言われた訳ではない。
だが、負けるつもりなど毛頭ない!
エヴァ「ああ・・・ち、誓う。」 氷牙「・・・まぁ、良いだろう。」
多少の躊躇はあったが、お互いに了承を取り、デュエルディスクを構えた。
『『デュエル!!』』
カミューラ「・・・・・・あんた達・・・私の事を忘れてないか?」
2人のガチバトルに呆気にとられ過ぎて、しかも、ほぼ全員の眼中から忘れられていたカミューラは少し拗ねていた。
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