松田探偵所 ( No.81 ) |
- 日時: 2007/09/04 16:24:29
- 名前: 涼
- 一枚の張り紙を、これから俺の記念すべき業務初めとして
心をこめて、丁寧に、少しの狂いも無く、きれ〜〜〜〜〜に貼るっ! そしてそのあくまで優雅な動作をじっと見つめる子供がいるわけで・・・
「おぬし、探偵やるのか・・・?」
確かに俺これから探偵やろうと、広告もこうやって貼ってる・・・ って、そこじゃなくて!! なんでまた、こんな子供がこんなジジ臭い喋りをしてるワケ?! こんな赤いランドセルを背負った可愛い子に、そんな喋り方似あわない!!
「よし、わしもこれからすることがない事じゃし・・・ 少々遊んでやるとするか」
って、そっち俺の事務所だから!! って、入っていかないで!! あわてて追いかける俺だが、傍から見れば怪しいお兄ちゃんなんじゃないだろうか・・・?
「あの、えっと・・・困るんだけどなぁ、仕事の邪魔になるんだけど?」 「仕事・・・・はて、今始めたばかりで依頼人が来ちょってか・・・?」
うっ・・・、そうだけどさ、そうだけどさ!! 依頼人なんていなくて、仕事もまだ入ってないけどさ!! って、そこじゃなくて!!!
「なんで知ってるの?今日が業務初めって・・・?!」 「・・・ふふっ、知りたいのか?でも、探偵ならこれごとき簡単に解けるもんじゃと思うのだがのぉ?」
なんて可愛くないガキだ・・・・・・!!! ホント追い出してしまいたいっ!
「まぁ、そこに座れ」
って、ここ俺の事務所っすけど?!! なんで彼女がしきってんの?! 違ったっけ・・・?!違ったっけ?!!
「まずはお前が今さっき貼っていた広告から、今日が初めてなのだと推測できる」 「でも、そんなの広告を張り替えただけかもよ?!」
大人気なく無駄なあがきをしてみる
「いや、おぬしはどう見たって若いからな 職業換えをしたわけでもないし、広告が古くなって変えたわけでもない」 「うっ・・・・」 見事撃沈・・・・ しかし俺はこんな事ではへこたれない!!!
「でもさ、でもさ、依頼人はいるかもよ?!今日始めたばっかでも!!」 「それはないのぉ、もっといいトコを付いてくればと期待しておったんじゃが・・・・ 張り紙をしたのが今さっきなら、おぬしが探偵をすると世間に知らしたのもさっきという事 わしはおぬしがそれはもうきれ〜〜〜〜〜〜いに(むかつくほど長かった)広告を貼り始めて、貼り終えたのを見ちょる その間にこの事務所に人が出入りしたのかねぇ?」
それはもう大きなため息をつかれてしまった!! ダブル撃沈〜〜〜〜〜〜〜・・・・・
「それにこの机には(俺のデスクの事だ)見事に生理整頓されちょる 一つも仕事が入っていない証拠じゃろう? ・・・仕方ないのぉ、わしがおぬしの弟子にしちゃるけん!」
いや、ここ俺の事務所じゃなかったっけ・・・?!! いや、違ったのか・・・?!むしろ違うのか?!!
「ぬしの名は?」 「・・・松田浩介」 「ありふれた名じゃの〜〜 まぁ、えぇ わしの名は“めい”じゃ」
にかっと笑うその顔はまさしく子供のもので少し輝いて見えた・・・・かも?
〜続く・・・かも?〜
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6 ( No.82 ) |
- 日時: 2007/09/04 23:49:23
- 名前: 黒瀬
- 参照: http://id29.fm-p.jp/8/ginduki/
- ぱんと身体の奥が弾けて、身体のなかを光が突き抜けていく感触。
それを一瞬我慢して瞼を開けると、其処には先ほどとは別の世界が広がっていた。
「……これはまた、強烈だね」
隣で蒼伊がわざとらしく肩を竦める。
――真紅に染まる空。 割れたコンクリートの地面。 窓の割れたビルの群れ。 倒れた信号機。悲鳴をあげ、逃げ纏う人間たち。 そして……
ひときわ大きいビルの上に佇む、異形のものが数匹。
「わあ、なにあれっ!」 遊紫が無邪気に叫んでそれらを指差し、俺と蒼伊を見た。 彼には恐怖心というものが無いのか、ある意味グロテスクな造形の「怪物」を見てもさして怖がるような様子を見せない。 蒼伊がふーと息を吐く。 「あれはね、ユウシ。"ルシファー"って云う、世界を壊しに来る化け物。 …というより、壊れた世界に出現する化け物なんだ」 「なんで?」 「それは僕たちでもわからない。 ただ、これらを放っておいたら、この想像世界は確実に破滅する。 そうさせない為に、僕ら帯刀一族はいるんだ」 「ふうん……よくわかんなーいけど、つまり、」 そこで遊紫はにいっと笑って、ビル群に向かって歩き出した。
「アレを倒しちゃえばいいんでしょ?」
途端。遊紫の纏う雰囲気が、明らかに変異した。 傍目には少しも変わっていないが、今この瞬間、彼から見えない「空気」が発せられたのがわかる。 例えるならば、そう………殺気や、狂気の類。 俺と蒼伊はそれを敏感に感じ取り、顔を見合わせる。 そして彼の後ろ姿を見て、蒼伊がぽつりと呟いた。 「透吾さん? あの子、もしかしたらとんでもない子かもしれないよ」 その声音には愉しむような、見定めるような、帯刀蒼伊らしい飄々とした色が混じっている。 俺は口端を吊り上げ、それに頷いた。
「……期待の新人、ってとこかな」
もうすでに遊紫の背中は遠ざかっている。 踊るように歩いてルシファーのいるビルへ向かっていく遊紫は、傍から見れば脅威であった。 しかし……俺は、会心の笑みを浮かべる。
俺と蒼伊もそれを追うようにして、ゆっくりと歩き出した。
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(イチャつき具合=周りの呆れ度) ( No.83 ) |
- 日時: 2007/09/05 23:39:40
- 名前: Gard
- 参照: http://watari.kitunebi.com/
- あれをイチャついていると言わずして何と言おうか。
夏真っ盛りの八月を過ぎ、秋へと移り変わる九月に入っても残暑は猛威を振るっていた。寧ろこれでは残暑とは言えない。 それぐらいの気温になることも度々な中、丁度予想気温が低い日に恭哉は彼女である玲奈と待ち合わせをしていた。 公園の木々の緑が風に揺れてざわめいた。 予定より十分近くも早く来てしまった恭哉は何の気無しに日陰のベンチに座り込んで玲奈の到着を待っていた。特に何もすることはないのか、その目は地面の上で踊る木漏れ日を映している。 風で樹々が揺らめく度にきらきらと場所と影の濃さを変える木漏れ日はある意味天然の万華鏡のようだった。 ふ、と視線を地面から前の方へ向ける。 じりじりと、予想気温が低いと言っても夏日並の太陽に照らされた日当たりのいい公園の地面を挟んで向かい側、そこにあるベンチで一組の男女が並んで座っているのが見えた。 まず恭哉の最初に目に飛び込んできたのは。
「ぺあるっく…………」
思わず呆然と幼稚な感じで言ってしまったが、その男女は本当にペアルックだった。同じ赤いTシャツに何かのロゴが同じように入っている。 何というか、近付きたくない。 更にその男女は肩をくっつけあって腕を絡め、楽しそうに笑っている。特に女性が楽しそうに見えた。 何というか、凄く近付きたくない。 見ていれば、絡めた腕をそのままに、逆の手同士を組み、指を絡め始める。いわゆる恋人繋ぎという奴だ。それを笑顔のまま、くっついたまましている。 何というか、絶対近付きたくない。 こんな熱い夏日に何故こんな暑苦しい人間を見なければいけないのか。 思わず恭哉の眉が寄り、眉間に皺が刻まれた。 けれど、そんな表情も長くは続かない。
「ごめんなさい! 待たせた?」
玲奈の声にそちらを見やれば、可愛らしくコーディネイトした服装の玲奈が立っていた。
「ううん、全然。僕が少し早すぎただけだから」
それにまだ約束の時間まで五分あるよ。 微笑みながらそう言えば、玲奈もつられるようにして微笑みを浮かべる。
「とりあえずどこに行く?」 「えっと、映画館行ってから図書館なんてどう?」 「……………………電王見ていい?」 「……え。あ、うん」
そんな遣り取りをしながら先程の男女を見る。 とりあえず、あそこまで暑苦しいことは自粛しよう。 恭哉は一人そう思った。
――――――――――――――――――――――――― (>>35の続き) (>>94へ続く)
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Re: 短筆部文集 2冊目 (残暑の暑さに耐えつつ制作しましょう!) ( No.84 ) |
- 日時: 2007/09/07 12:53:58
- 名前: 神凪由華(元壱ノ由華
- 迷路屋敷『始まりの屋敷』
「ようやく・・・・出来ましたね!」 「そうですね。感謝してますよ。卯月、葉月。」
燈壱はやわらかに、微笑んだ。
「この屋敷を3人の魔力だけで造るのには、かなり魔力をつかいましたね。」 「はい・・・私も卯月もバテバテですぅ・・・・。」
卯月は、完璧に寝っ転がっていた。 かなりの不思議な仕掛け、そして部屋を造ったのだから。
「これから・・・この世界を、徐々に、私たちの理想の世界変えましょう。」 「はい。燈壱様・・・いや、管理者様・・・・。」
葉月は、少し目を伏せた。 自分は・・・・私たちはこれでよかったのか? 不安がよぎる。
「大丈夫です。心配は要りません。」
心を見透かしたように、温かい声で、燈壱は言った。
「はい・・・。燈壱様の仰せのままに・・・・・。」 「ふう・・・・卯月、そんな所で寝ては、風邪をひきます。屋敷内に、部屋があります。そちらにいきましょう?葉月も。」
燈壱が手を差し出す。 一瞬、戸惑った。・が、二人はその手を握った。
その手は、とても・・・・
温かかった。
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生きてく強さ ( No.85 ) |
- 日時: 2007/09/07 13:12:57
- 名前: 竜崎総久◆OMBM0w5yVFM
- 参照: http://id40.fm-p.jp/29/html202
- 『夏音さんへ
……私のことなら大丈夫だから。 本当のことを受け入れるっていうのは、………辛いけど、 できないことじゃないから。 それに、人生ってプラスマイナスゼロになるようになってるんだし。 …だからね。 …待ってるから、大好きだから ……いつでも、戻って来て下さい。 尚』
郵便受けに入っていた、一通の手紙。 夏音はもう、学校に行くことすらできなくなっていた。 虚ろな目で、何度も何度も文を読み返す。 そのうち、だんだんその瞳に感情が戻ってきた。 ……どうして、尚はこんなに優しいのだろう。 『大好きだから』 好きと思う気持ちは、こんなに人を強く、優しくするのか。 …だったら私も強くなろう。
夏音はひとつ深呼吸をし、頬を流れるものを乱暴に拭った。
<完> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 >>67の続き。シリーズ完結ってことで。
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校庭から夏が逃げてゆくような、風の強い朝だ ( No.86 ) |
- 日時: 2007/09/07 19:50:20
- 名前: 色田ゆうこ
- 「その声、風邪? 森田」
からかうような口調に彼は咳払いをしながらうつむいて、ああ、と言った。 いつもよりわずかにかすれたそれは、まるで声が幾重にも重なっているようにさえ聞こえた。 「のどは痛くないんだよな」――がさがさの声で首をかしげながら、彼は喉を撫でる。 ある一点を手の甲の骨がかすめるときに、なんだかむず痒い感覚があるだけで、痛みも感じない。 喉は熱すら持っていない。
校庭から夏が逃げてゆくような、風の強い朝だ。
「でもさー、」 目を手元の数学のノートに落として、元気な声がそう笑う。 「しゃべんないほうがよくね? お大事にー」 今日は計算テストだ、と、彼はその声を聞きながら思い出した。 事前にプリントが配られていたことも。 勉強してない、口の中で言って、少しだけ口をとがらせる。 自分の席に鞄を下ろして、なぜか調子の悪い喉をまた、さすってみる。 風邪。しかし痛みはない。痒みもない。 口から吐く息だって、何も変わっていないのに。 そう思って声を出してみると、たしかにおかしい。自分の声じゃない。あ、あ、あ。 風邪を引いてる声。耳に違和感が残る。あ、あ、あ。 「大ちゃ〜ん、計算テスト、どうだった?」 背中がボールペンでつつかれるのと同時に、元気な声が投げやりな雰囲気を纏いながら振ってきた。 振り返って、首を横に振れば、「あーもー、やべえよ俺ぇ〜」、と少年は天井を仰ぐ。 「再テスト組になったら一緒に勉強しよーぜ、大助」 先ほどの数十分間の自分の頭の弱さを思いながら頷いてみせる。 こう言いながらも勉強にはかなり努力家なこの友人とは違って、自分にはかなりの確率で再テストが待っているのだ。 面倒くさい。数学は嫌いだ。頭痛を感じそうになりながら、彼はまたそっと首に手を置いた。
終業式の頃は暑すぎてどうしようも無かった教室の中を、乱暴な風がびゅうびゅう吹き抜けていく。 空を鉛色が支配している。教室を暗く感じた。 安っぽい蛍光灯が、頭上でひどく逞しく光っている。 「台風来るんだっけー? 強いの。臨時休校とかあるかなあ」 弾んだ声で前髪を押さえつけながら彼女は言った。 ストレートが自慢の彼女の、束ねられた漆黒の髪の毛が、ばさばさと風に乗って忙しなく揺れた。 その横で、彼はしきりに喉を撫でていた。風に当たって、つめたくかわいているような気がしていた。 「学校きらいなの、吉田」 思わず言ってから、しまった、と思った。 乱れた髪を掴んで撫で付けている彼女は静かに目を瞠って、それから困ったように、そっと笑う。 「んー、最近忙しいから。ちょっとだけ」 瞬きしながら、彼は内心ほっとしていた。そして、頷くように咳払いをした。 むしろこの行為が、痛いような気がする。声は未だ可笑しかった。
「森田くん、その声」
ひらきなおって風邪なんだよと言いながらわざとらしく咳をする。彼女が大きく首をかしげた。 「違うよ、」 穏やかな表情で瞼を下ろし、彼女がそう言った。 強い風に前髪を揺らされながら、ふとあたたかいものに包まれたような気がした。
「声変わりしてるとこだよ、森田くん」
少なくとも彼女は時々、そういったものに包まれて微笑んでいることがあった。 そう感じているのは彼だけだろうが、彼女はたしかに、こうやってひどくやさしく笑った。
ベランダの向こうですっかり灰色に染まった空が水分をふくんで重くなりながら、必死で雨を堪えていた。 彼は口をあけて、また閉じた。何故か唐突に、彼女の名前を呼んでみたくなったのだった。
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(限りなく黒に近い紅は腐臭を白で包み込み、) ( No.87 ) |
- 日時: 2007/09/09 17:31:55
- 名前: Gard
- 参照: http://watari.kitunebi.com/
- イノセンス。
神の石と呼ばれるそれは、この世で唯一AKUMAに対抗できる武器を創り出す。 そして、神の石を使う者を、人はエクソシストと呼ぶ。
エクソシスト総本部、黒の教団の一室。コムイは一人のエクソシストと対面していた。 普段は男性と性別を偽っている彼女は、滅多に人前に見せない本当の姿を晒している。 長い(それこそ神田よりも長い。女性の標準よりも長いだろう)黒髪を束ねもせずソファの上に流し、蒼い瞳でコムイを真正面から見つめている。普段の男装を見慣れているせいか、どうしても違和感が拭えない。 彼女、現在の男性名をキト・ザライカーと言う。
「……それで、キト。どうしたんだい? 任務の要請も何も、君には入っていなかったはずだけど」
だからこそ、執務室でコムイと対面している彼女は浮いていた。普段ならその身に宿るイノセンスの力で男性として見せていることも相まっている。 暫く俯いてコムイから手渡された珈琲の揺らぐ様を見つめていた彼女は、ふと顔を上げた。 十代前半にしかどう見積もっても見えない顔は、けれどそれ以上の年月を過ごしている。
「コムイに、話があってきたんだ」
今にも泣き出しそうな声だった。
「決戦前でしょう? アレンもラビも、リナリーも、戦場に向かってしまった」
その通りだった。 今この本部に残っているエクソシストは、彼女一人だけ。 何故なら彼女に師と呼べる者は居らず、攻撃も出来ず、援護も出来ない。自分の身を守ることすらやっとなのだ。 イノセンスを宿した、エクソシストなのに。
「だからこそ、だからこそ来たんだ。思い出したことを全て話して、返さなきゃって思ったから」 「なにを、」 「わたしはもうすでにこのよにそんざいしてはいないのです」
一瞬聞き間違えたかとコムイは耳を疑った。 理解してから、すぐに馬鹿なことを、と思う。
「キミは今僕の前に座って珈琲を飲んで喋っているじゃないか」
言った途端、彼女の顔が歪んだ。今にも涙を落としそうなほどに。
「そう、でもそれは、いけないこと。死体が生きて動いて喋ってはいけないんだ」 「し、たい?」 「私は既に一度この世から切り離された死体。けれど私を蘇らせたかった人がいた」
その人はどこからかイノセンスという力ある石を手に入れ、心臓の位置に入れ、死んだはずの人間を蘇らせた。 ほぼ、完璧に。
「元々イノセンスに適合できた身体だったんでしょうね。イノセンスは馴染み、私は生き返った。けれど、完璧なんて無かったんだ」
古い記憶が新しい記憶に消されていく。どんどん、どんどん。 昨日降り積もった雪の上に今日降った雪が積もっていくように、どんどん、どんどん。 消えていく、思い出。 日に日に消える早さは上がり、やがて彼女を蘇らせた人間が突然の事故で死んだときには、もう憶えていることは皆無に等しかった。
「私は眠りに付きました。何時か私が滅びるだろうと思って」
けれどイノセンスは許さなかった。彼女が眠りに再び付くことを。 彼女の身体を侵食し、仮死状態へと誘った。 そして、目覚めの時が訪れる。
「私は目覚め、イノセンスの侵食によって奇怪ではなくエクソシストと認識されてしまった。…………アレンの初任務の内容、聞きました」
ぐ、と握り拳を膝の上で作り、指先が白くなるほど力を込める。
「私は、ララとマリアの中間地点。ララのような奇怪ではなく、マリアのような使用者のいるイノセンスでもない。中途半端な、死体なんだっ」
絞り出すような声。 コムイは何も言えずに聞き続けているしかなかった。
「思い出したからにはこのイノセンス、教団に返しますっ。イノセンスはエクソシストと教団のものです。私みたいな、死体のものじゃない……っ」 「それは、」
違う、と言いかけて、けれど止めた。 筋道は一応通る。 彼女がエクソシストでないならば、イノセンスの力を十二分に発揮できない。エクソシストとは、神が選んだ使徒なのだ。 たとえ今までエクソシストとして戦ってきたと言っても、本来は死人なのだ。 クロスのマリアのようなイノセンスでもない彼女に、何と言えばいいのかコムイには判断が付かなかった。
「ですから、」
彼女の手には、否、彼女の手は鋭く光る銀色に変化していて。
「イノセンスをお返しいたします」
真っ直ぐに彼女の左胸を貫き、神の結晶を引きずり出した。 真っ紅な、けれど何処か黒くも見える液体が、飛び散った。
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(胸に秘めた想い〜これからもずっと〜) ( No.88 ) |
- 日時: 2007/09/10 09:49:28
- 名前: 幻永響
好き―――。
こんな簡単な気持ちに気づき始めたのは、いつからだろう。
多分もう、とっくに気づいていた。 只、私がそれを認めたくなかっただけ。
だって、私がもしも好きだと認めてしまったら。 もう、アイツと顔を合わせらんないよ。
もし、私がアイツに好きだといってしまったら。 もう、アイツと今までどうりの関係が崩れてしまう。
そんなの嫌っ!!
アイツの側に居られなくなるのは嫌なの・・・。
・・・だから私は、この想いを胸に秘めてきたんだから。
だから、これからも・・・・。
「おい、沙希。早く行かないと置いてくぞ。」
ドアの前に立っている青年が1人。 青年は、呆れた顔でこちらを見ている。 こちらが呆然としていると、青年はさっさと行ってしまう。
「あ、ちょっと待ってよっ!!」
私はアイツを追いかける。 そして、やっと追いついたのに私は、足を止めた。 それを見たアイツも足を止める。アイツがニ、三歩出た形となっていた。 アイツは首をかしげて、私を見る。
「沙希・・・?」
「ねぇ、私達・・・ずっと一緒だよね・・・・?」
私がらしくない事を言うものだから、アイツが不思議そうにこちらに近付き、見てくる。 私はアイツの手を両手で握り締めた。
だけど、その手もすぐに振り払われてしまった。 それを見て私は、落ち込んだ。
アイツは私と一緒に居たくないのか・・・。 私はその程度の人なの・・・?
「ばーか。俺達はこれから大人になっていくんだぜ?いつまでも一緒に居られる訳がないだろう?」
アイツはそう言うと、振り払った手で私の頭を撫でた。 優しく、丁寧に撫でられるその感覚が、とても心地良い。
分かってるよ? それでも・・・。 それでも私はね・・・。
アンタといつまでも一緒に居たいんだよ・・・?
そう思う事はいけないの? そう夢を見てちゃ、いけないの?
あなたが好き――――。
だけど、その思いが伝えられる事は無い。
永遠に―――。
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Re: 短筆部文集 2冊目 (残暑の暑さに耐えつつ制作しましょう!) ( No.89 ) |
- 日時: 2007/09/10 18:41:12
- 名前: 神凪由華
- 「げっ・・・・・。」
やってしまった。 神流が本気でそう思った瞬間だった。
「今回は・・・・神流さんですね〜。」
今日はカードゲーム。ビリが死神・・・というルールだったのだが・・・。 今日は最悪に運が悪かった。
「今回のは、短期だから・・・1週間かなあ?」
葉月が笑いながら言う。
ルル「案外楽しいって。私なんか、いまだに死神だし・・・。」
なだめるようにルルは言うが・・・納得いかない。 死神になる?冗談じゃない!!!
・・・・だが、ルールはルール。 こうして、私の最悪な1週間は始まりを告げる・・・・。
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Re: 短筆部文集 2冊目 (残暑の暑さに耐えつつ制作しましょう!) ( No.90 ) |
- 日時: 2007/09/10 19:00:12
- 名前: 神凪由華
- 「お〜い!!卯月が新作ケーキ作ったってよ〜。」
葉月がケーキを差し出しながら言う。
「本当ですか!!・・・・もぐもぐ・・・おいしい!!」 「だね〜絶品!!!」
そのケーキをいち早く察知して食べるサクラとルル。
「・・・・なんつーか・・・・。」
第一感想・・・平凡 第二感想・・・平和 第三乾燥・・・生活感ありすぎ・・・・・。
「はあ・・・もっとこう・・・・キビキビした集団かと思ってたよ。」
前からの行動でも、マイペースさが目立ったが、ここまでとは・・・。
燈壱「?神流さんは、食べないのですか?ケーキ。」
おいおいおいおい。あんた仮にも管理者だろ?ラスボスだろ? こんなんでいいのか?
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